SCADAとは
SCADAとは、工場やプラントなどで遠隔監視と制御を可能にするシステムです。
SCADAはSupervisory Control And Data Acquisitionの略であり、産業分野を中心に導入される監視・制御の仕組みです。制御対象の機器やセンサーから得られた情報をリアルタイムで収集し、それらを統合的に管理する役割を担います。大規模な生産ラインやインフラ設備などで、複数の装置からのデータを読み取り、警報表示や稼働状態の調整を行える点が特徴です。
またSCADAはPLCと呼ばれる制御装置などと組み合わせることで、複雑な生産工程や設備全体を一元的に把握しやすくなります。多様な通信プロトコルに対応しているため、既存システムとの連携がしやすい点も強みです。導入方法としては、あらかじめ作り込まれたパッケージ製品を利用できる場合もあれば、施設の規模や独自要件に応じて開発作業を行い、カスタマイズを施す場合も存在します。
SCADAの使用用途
SCADAは包括的に情報を管理できるため、多様な業界で重要な機器として活用されています。以下はそれらの用途の一例です。
1. 工場・プラント
主に工場やプラントなどの産業現場における生産ラインの管理に用いられます。例えば、複数のラインで同時に生産が進行している際に、SCADAを通じて個々のラインの稼働状況や品質データを確認することが可能です。オペレーターや生産管理者が現場を広く見渡しながら迅速に判断を下せます。生産速度の調整や品質検査の頻度変更などを遠隔で行えるため、稼働率の向上やコスト削減といった効果も期待できます。
2. インフラ設備
エネルギーや飲料水の供給など、インフラ設備の監視にも広く活用されます。送電網やガス配管、水道設備などの状態をSCADAで一元的に把握することで、障害が発生した際の早期発見と復旧が容易になります。制御室から離れた場所に設置された設備でも、定期的に送信される情報を基に必要な指示を出すことが可能です。設備の安定運用に寄与する重要な制御装置の一つです。
3. ビル・商業施設
大型ビルや商業施設などの建物管理にも応用される場合があります。空調や照明及びセキュリティシステムなどの稼働状況をSCADAで集約することで、利用者が多い施設全体を効率的に運営する手段となります。設備の稼働データを蓄積しておけば、負荷のピークに合わせた制御や、異常兆候の検出に基づく予防保守も実践しやすくなります。