慣性計測装置

慣性計測装置とは

慣性計測装置とは、物体の位置や速度、姿勢の変化を計測する装置です。

慣性計測装置は、加速度センサやジャイロスコープ、場合によっては磁気センサを組み合わせて物体の位置などを計測しています。各センサから得られるデータを統合することで、外部の基準信号に頼らない自律的な計測を実現しています。

GPS信号が届かない環境や通信が途絶した状況でも移動体の動きを継続的に推定できるため、高度なナビゲーションや制御システムの中核技術として活用されています。

加速度センサは直線的な加速や減速を、ジャイロスコープは角速度を測定し、両者を組み合わせて演算することで位置や姿勢を推定できます。さらに磁気センサを利用すれば、地磁気を基準とした方位計測も行うことが可能です。

慣性計測装置の使用用途

外部環境に依存せずに位置や姿勢を推定できる慣性計測装置は下記の用途で使用されています。

1. 航空・宇宙産業

航空機では、GPSが利用できない電波干渉下や高緯度地域での飛行時に、飛行経路を維持するための補助として機能しています。宇宙分野では、人工衛星や探査機が地球や他の天体を周回する際、外部信号に頼らず軌道や姿勢を維持するために使用されており、長期間にわたる安定した航行を可能にしています。

2. 自動車産業

自動運転車両や先進運転支援システム (ADAS) においては、車両の位置推定や姿勢把握に慣性計測装置が用いられています。GPSの信号が遮断されるトンネルや都市部の高層ビル街でも精度の高い走行を実現しています。またカーナビゲーションシステムにも搭載され、走行環境に左右されない案内を提供しています。

3. 建設・土木業

建設機械や産業用ロボットでは、作業精度や安全性の向上のために慣性計測装置が活用されています。例えば、油圧ショベルのアームの動きを高精度に制御するために、慣性計測装置を用いた姿勢検出が行われています。その他にも、地盤調査や構造物の傾斜監視に慣性計測装置が使われています。

ETFEフィルム

ETFEフィルムとは

ETFEフィルムとは、エチレン・テトラフルオロエチレンというフッ素系樹脂を原料とした高機能フィルムです。

ETFEは、ポリマーの中でも特に耐薬品性・耐候性・耐熱性に優れています。フィルム状に加工することで、軽量かつ高強度な素材として活用できます。厚みは一般的に12〜250μm程度です。透明性が高いうえ、紫外線透過率に優れています。

ETFEフィルムの最大の特長は、耐久性と柔軟性が両立されている点です。高温環境下でも物性が安定しており、−200℃から+150℃程度まで使用できます。自己洗浄性を持ち、表面に汚れが付着しにくいため、メンテナンス性にも優れています。さらに難燃性を有しており、火災への安全性が求められる用途にも使用可能です。

ETFEフィルムの使用用途

軽量で高強度、耐候性や耐薬品性に優れた素材であるETFEフィルムは下記の用途で使われています。

1. 建築・土木

膜構造建築において、ガラスの代替材料としてスタジアムや大型アトリウムに使用されています。ガラスの約1%の重量であるため、構造物全体の軽量化が可能となり、施工コストや輸送負担の低減につながります。また自己洗浄性を持ち、雨水で表面の汚れが流れ落ちるため、メンテナンス性に優れているという利点もあります。

2. 電子・半導体

ETFEフィルムには耐薬品性と絶縁性があるため、クリーンルーム内で使用される保護フィルムやフレキシブル基板の絶縁材として使用されています。高周波特性にも優れているため、RFIDタグやアンテナ部材などの通信関連の部品にも使われています。

3. 食品製造業

食品製造業において、ETFEフィルムは食品包装材として利用されています。耐熱性・耐寒性に優れ、高温殺菌や低温保存の両方に対応できるため、レトルト食品や冷凍食品の包装に適しています。また酸素や水蒸気の透過を抑えることで食品の鮮度や風味を長期間維持できるため、真空パックや電子レンジ対応パッケージなどにも使用されています。

難燃剤

難燃剤とは

難燃剤とは、素材が燃えにくくなるように処理するための化学物質です。

火災の発生時に燃焼の進行を抑制し、延焼を防ぐために利用されています。プラスチック・繊維・木材・ゴムなどの可燃性材料に添加され、素材自体の燃焼性を低下させます。難燃剤には、ハロゲン系・リン系・窒素系・無機系などの種類があります。

ハロゲン系難燃剤は、燃焼時にハロゲン化合物が分解し、ラジカル反応を阻害することで燃焼を抑制します。リン系難燃剤は、凝縮相で炭化層を形成し、熱や酸素の侵入を防げます。窒素系難燃剤は、熱分解時に不燃性ガス (窒素・アンモニアなど) を発生させ、酸素の供給を遮断します。無機系難燃剤は、加熱により水分を放出し、冷却効果と希釈効果で燃焼を抑制します。

難燃剤の使用用途

安全性を確保するため、難燃剤は下記の用途で使用されています。

1. 電気・電子機器

電気・電子機器は、発熱やショートによる火災のリスクがあるため、筐体や内部部品に難燃性が求められます。プリント基板 (PCB) には難燃性樹脂が使用され、コネクタやケーブルの被覆材にも難燃剤が添加されています。

2. 建築・建材

建築物の内装材・断熱材・床材・壁材などにも難燃剤が使用されています。火災発生時の避難時間を確保し、延焼を防ぐために、建築基準法でも一定の難燃性が求められています。環境配慮型の無機系難燃剤を用いた断熱材や、リサイクル可能な難燃性建材もあります。

3. 自動車・輸送機器

自動車や鉄道車両、航空機などの輸送機器では、乗員の安全確保のために難燃性部材が使われています。シート・内装・電装部品・ワイヤーハーネスなどに難燃剤が使用され、万が一の火災時にも燃焼の拡大を抑える設計がされています。特にEV (電気自動車) では、バッテリー周辺の部材に難燃剤が用いられており、車両の安全性を高めています。

ガラスフリット

ガラスフリットとは

ガラスフリットとは、ガラスを高温で溶融し、急冷して得られる粉末状のガラス材料です。

ガラスフリットの粒径は数ミクロンから数百ミクロン程度で、粉末化されているため焼成時に溶融しやすく、被覆性や接着性に優れています。無色透明のものだけでなく着色されたものもあります。

シリカ・アルカリ金属酸化物・ホウ酸・アルミナなどを主成分とし、用途に応じて酸化物を調整することで、融点や化学的性質をコントロールすることが可能です。

ガラスフリットは、釉薬やコーティング材として使われています。基材に塗布して焼成することで、美しい光沢や色彩を付与できるだけでなく、耐摩耗性・耐薬品性・電気的絶縁性などの機能を付与できます。ガラスフリットは一度焼成されているため安定した化学構造を持ち、再加熱時に滑らかに溶融する特性があります。

ガラスフリットの使用用途

低融点・接着性・装飾性といった特性があるガラスフリットは下記の用途で使われています。

1. セラミックス・建材業界

ガラスフリットは、陶磁器やタイルの釉薬 (ゆうやく) として利用されています。タイルにガラスフリットを施釉することで、光沢や美しい色合いを表面に持たせられます。さらに耐摩耗性や耐水性を付与できます。浴室やキッチン用タイル、外壁タイルなどは、フリットによるガラス質の被膜により耐久性を高められます。

2. 電子機器業界

ガラスフリットは、電子部品の封止材や絶縁材として利用されています。センサやコンデンサなどの製造工程では、金属とセラミックの接合部にガラスフリットを用いることで気密性と電気絶縁性を確保できます。

3. 自動車業界

自動車のフロントガラスやリアガラスの縁には黒色のセラミック層が印刷されています。「セラミックエッジ」と呼ばれ、紫外線の遮蔽・接着剤の保護・美観の向上といった目的のために印刷されます。この黒色層の形成にはガラスフリットを含むペーストが用いられ、焼成によってガラスと一体化します。

アルミ押出形材

アルミ押出形材とは

アルミ押出形材とは、アルミを金型から押し出すことで成形された材料です。

アルミ押出形材は、アルミニウム合金を加熱し、押出機によってダイスと呼ばれる金型の開口部から圧力を加えて押し出すことで成形されます。アルミニウムは軽量でありながら、強度が高く、耐食性や加工性に優れています。また押出し加工により、複雑な断面形状を成形することが可能です。

アルミ押出形材は、同一断面を長尺で連続的に得られるため、一定の寸法の部材を大量に生産できます。合金の種類や熱処理によって強度や硬度を調整できるため、機械的特性や用途に応じた製品を作ることが可能です。さらに押出後に、切断・曲げ・溶接・アルマイト処理などの二次加工を施すことで機能性や美観を高められます。

アルミ押出形材の使用用途

軽量性・強度・耐食性・加工性といった特長があるアルミ押出形材は下記の用途で使われています。

1. 建築・建材業界

アルミ押出形材は、窓枠・手すり・外装材などに使われています。軽量で加工性が高いため施工性に優れ、建築現場での作業効率を高めます。またアルミは、酸化皮膜による耐食性を持ち、アルマイト処理によってさらに防錆性や装飾性を強化できるため、長期間にわたり美観と耐久性を維持できます。

2. 輸送機器業界

軽量化による燃費の改善や二酸化炭素の排出削減が求められる輸送機器業界では、車両のフレーム・バンパー補強材・シートフレームなどにアルミ押出形材が使われています。また鉄道車両では、車体外板や窓枠、内装材に使用され、軽量化によるエネルギー効率の向上や高速運転時の安全性に寄与しています。

3. 産業機械・設備業界

工場などで使われるアルミフレームとしてアルミ押出形材が活用されています。アルミフレームは、アルミ押出形材に専用の溝を設け、ボルトやナットで自在に組み立てられます。設備の作業台・安全柵・搬送ラインのフレームなどに使われています。アルミ押出形材は放熱性や導電性もあるため、ヒートシンクや電子機器の筐体としても利用できます。

除草剤

除草剤とは

除草剤とは、農作物や樹木の生育を妨げる雑草を効率的に除去するために使用される薬剤です。

除草剤には、植物の光合成や細胞分裂を阻害する化合物が含まれています。除草剤は、「選択性除草剤」と「非選択性除草剤」に分けられます。選択性除草剤は、特定の雑草にのみ効果を発揮し、農作物には影響を与えにくい特性があり、非選択性除草剤には、広範囲の植物を枯らす作用があります。

さらに除草剤は、「土壌処理型」と「茎葉処理型」に分類されます。土壌処理型は、雑草が発芽する前に土壌に散布して効果を発揮します。茎葉処理型は、既に生育している雑草の葉や茎に直接作用します。雑草の種類や生育段階に応じて、適切な除草剤を選択する必要があるでしょう。

除草剤の使用用途

除草剤の使用用途は下記のとおりです。

1. 農業分野

雑草は、水分・養分・日光を作物と奪い合うため、収量や品質に大きな悪影響を及ぼします。人力での除草には限界があり、季節ごとに発生する雑草を効率的に抑制するために除草剤が使われています。水田では、イネを守るための選択性除草剤が使用されています。環境への影響を軽減する低残留型や、生分解性に優れた除草剤も開発されています。

2. 建設・土木分野

建設現場や道路、鉄道沿線などのインフラ分野でも除草剤は使われています。雑草が伸び放題になると、視界を妨げたり、道路標識やガードレールを覆ったりして安全性に悪影響を及ぼします。また鉄道の線路や舗装道路では、雑草の根が地面を押し上げて構造物を損傷する原因になります。そのため、施工前の整地や完成後の維持管理において除草剤が使用されています。

3. 造園・緑化管理分野

公園・庭園・工場の敷地・ゴルフ場など、景観や利用環境を維持するために除草剤が活用されています。雑草が繁茂すると景観を損なうだけでなく、害虫や小動物の温床となり、衛生管理の面でも問題が生じます。ゴルフ場では、芝生の品質がプレー環境に直結するため、選択性除草剤を定期的に散布し、芝を守りつつ雑草を効率的に管理しています。

オーニング

オーニングとは

オーニングとは、建物の外壁や窓、テラスなどに取り付けられる可動式の庇 (ひさし) です。

オーニングは、日差しや雨を遮り屋外空間の快適性を高めるために用いられています。必要に応じて収納できる可動性や、景観に配慮したデザイン性が特徴です。住宅では、窓際に設置することでプライバシーを守りつつ自然光を取り入れられます。

紫外線に強く、長時間の使用でも劣化しにくいポリエステルや、通気性の良いコットンなどの素材が使われています。

オーニングは欧米で普及しており、カフェやレストランのテラス席を彩る光景としてよく見られます。日本でも、省エネや街並みの景観向上の観点から需要が拡大しています。夏場は、直射日光を遮ることで室内温度の上昇を抑え、冷房の負荷を軽減できます。

オーニングの使用用途

オーニングは、機能性と美観を兼ね備えた外装設備として、下記の用途で使用されます。

1. 飲食業界

カフェ・レストラン・居酒屋などでは、客席の空間を拡張するためにオーニングが使われています。テラス席や屋外席を直射日光や小雨から守ることで、快適な滞在時間を提供できます。さらにオーニングの生地に店舗名やロゴを印刷すれば看板代わりとなります。観光地や商店街では、景観と調和したオーニングが街並みに統一感をもたらし、地域のブランド価値を高める効果があります。

2. 小売業界

小売店やショッピングモールでは、入口部分にオーニングを設置することで、来店客が雨に濡れずに出入りできる環境を整えられます。またガラス張りの建物に取り付けることで日射を遮り、商品や什器の色褪せを防ぐ効果もあります。特にアパレル業界では、商品を守るとともに、外観デザインの一部として店舗の個性を強調する役割も果たしています。

3. イベント・レジャー業界

屋外に設営されるイベントブースでは、来場者や出展者を直射日光や急な雨から守るためにオーニングが活用されています。特に夏季イベントでは、オーニングの下に日陰をつくることで熱中症の対策にもつながります。また設営や撤収が比較的容易なため、移動式のイベントブースや仮設店舗にも適しています。

消火器

消火器とは

消火器とは、初期火災において人が安全かつ確実に火を消すための器具です。

持ち運び可能な容器に消火薬剤を充填し、加圧ガスを利用して薬剤を噴射します。燃焼の三要素である可燃物・酸素供給源・熱源によって火災は発生しますが、消火器はこれらの要素を遮断・除去することで鎮火します。例えば粉末消火器は、燃焼の化学反応を抑制し、強化液消火器は燃焼物を冷却して鎮火します。二酸化炭素消火器は、酸素を遮断して窒息効果を発揮します。

消火器は火災の種類ごとに適応が定められており、一般火災 (A火災) ・油火災 (B火災) ・電気火災 (C火災) などに対応するタイプがあります。法律や各種の規格により、工場・商業施設・オフィスなどに設置が義務づけられています。

消火器の使用用途

下記は、火災を最小限に食い止めるための一次防衛設備である消火器の使用用途です。

1. 製造業

製造業の現場では、電気設備や可燃性の溶剤、油脂類を扱う工程が多く、火災のリスクが常に潜在しています。特に金属加工や化学工場では、火花や反応熱による出火が想定されるため、粉末消火器や二酸化炭素消火器が配備されています。また高温炉を扱う現場では、強化液消火器が備え付けられています。

2. 飲食業

厨房では、ガスコンロ・フライヤー・オーブンなどの高温機器が稼働し、食用油やアルコールなど可燃性の物質が大量に使用されています。そのため、強化液消火器や泡消火器が設置されています。

また飲食店では、冷蔵庫やIH機器などの電気設備が稼働していますが、電気火災の場合、水系消火器は感電のリスクがあるため使用できません。そのため、電気火災に対応できる二酸化炭素消火器が設置されることがあります。

3. 運輸・物流業

輸送中の火災に備え、トラックやバスなどの車両には車載用の消火器が設置されています。また倉庫や物流拠点には、段ボールなどの可燃性の資材が多くあり、火災拡大のリスクが高いため粉末消火器が配備されています。

スロープ

スロープとは

スロープとは、段差や高低差を解消するために設置される傾斜路です。

建築物の出入口や通路に設けられ、車椅子や台車、ストレッチャーなどが円滑に移動できるようにする目的で使用されています。高齢者や障害者の安全で快適な移動を可能にするだけでなく、荷物の運搬などの利便性の向上にも寄与しています。

常設タイプのスロープは、コンクリートやタイルなどで建物の構造物として作られ、長期間にわたり利用されます。一方、持ち運び可能なアルミ製・樹脂製のスロープや簡易スロープは、必要に応じて設置・撤去できる柔軟性があり、イベント会場などで使用されています。

公共施設や商業施設では、建築基準法やバリアフリー法 (高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律) に基づき、スロープの設置が義務付けられています。

スロープの使用用途

人やモノの流れを円滑にするための重要なインフラであるスロープは下記の用途で使用されています。

1. 医療・福祉

医療機関や介護施設では、車椅子の利用者やストレッチャーの搬送のためスロープが設置されています。救急搬送時には出入口の段差が大きな障害となるため、緩やかな傾斜を備えたスロープが設置され、迅速かつ安全な移動を実現しています。また介護施設では、利用者が自立して移動できるようにするためのバリアフリー環境整備として各所にスロープが設けられています。

2. 物流業

物流センターや工場では、台車やフォークリフトの移動効率を高める役割をスロープが担っています。例えばトラックの荷台と倉庫内の床面には段差があるため、移動式スロープを使用することでスムーズな積み降ろしが可能となります。また設備の搬入や大型製品の移動にも利用されており、搬送時間の短縮と作業者の安全性の向上に寄与しています。

3. 小売・サービス業

小売店や商業施設では、バリアフリー法に基づき、スロープの設置が義務化または推奨されています。ベビーカーやキャリーケースを使って買い物客が移動する際、段差を避けられることで利便性が向上します。特に大型ショッピングモールやスーパーマーケットでは、顧客の動線をスムーズにすることで、滞在時間の増加や購買機会の向上に繋がります。

酸性洗剤

酸性洗剤とは

酸性洗剤とは、水垢・カルキ・尿石・錆などのアルカリ性の汚れに対して高い除去効果があるpH値が7未満の洗浄剤です。

酸性の成分が汚れと化学反応を起こし、固着した無機物を分解・溶解することで、通常の中性洗剤やアルカリ性洗剤では落としきれない汚れを除去します。代表的な成分には、天然由来で安全性の高いクエン酸、業務用で強力な洗浄力を持つスルファミン酸、工業用途で使用される塩酸などがあります。

ただし酸性洗剤は、金属腐食や素材変質のリスクがあるため、ゴム手袋や保護メガネの着用、十分な換気などの安全対策が求められます。また酸性洗剤とアルカリ性洗剤を混合すると有毒ガスが発生するため注意が必要です。

酸性洗剤の使用用途

化学的アプローチで汚れを効率的に取り除く酸性洗剤は下記の用途で使われています。

1. 建物・設備メンテナンス業

ビル清掃や施設管理において、トイレの尿石除去、浴室の水垢・石鹸カスの分解、鏡やタイルのウロコ落としなどに酸性洗剤が使用されます。特にスルファミン酸を含む業務用製品は、短時間で頑固な汚れを除去できるため清掃効率が向上します。

2. 製造業

工場設備や金属部品のメンテナンスで酸性洗剤が使用されています。熱交換器や配管内部に蓄積するスケール (カルシウム・マグネシウム化合物) や、金属表面の錆 (酸化鉄) を除去するために、塩酸や硫酸をベースとした強酸性洗浄剤が使われています。蓄積したスケールを酸性洗剤で除去することで、設備の熱効率や動作精度が回復し、生産性を維持することが可能です。

3. 医療・介護業

医療施設や介護現場では、衛生管理の一環として酸性洗剤が利用されています。トイレや洗面所の尿石・水垢の除去に加え、アンモニア臭やタバコ臭の中和にも効果があるため、快適な環境の維持に貢献します。またクエン酸系の弱酸性洗剤は、素材へのダメージが少なく安全性が高いため、患者や高齢者が利用する設備でも使用できます。