シュレッダー

監修:シグマー技研株式会社

シュレッダーとは

シュレッダーとは、不要な文書などを細かく切る(細断する)機械です。

“シュレッダ”と呼ばれることもあります。一般にシュレッダーと呼ばれるのはペーパーシュレッダーのことを指し、“文書細断機”とも言います。プライバシー保護や情報漏洩を防止するために使用されます。中にはメディア(CD、CARDなど)を細断できるものもあります。

シュレッダーは大きく分けると、企業や官公庁などでよく使用される業務用と一般家庭や個人で使用される家庭用に分けられます。

使用する人数や目的により多様な機種の中から選定ができます。2005年に施行された個人情報保護法により、個人データが記録された媒体の物理的な破壊が必須となったことから、シュレッダーによる文書やメディアの細断が普及しました。

シュレッダーの使用用途

シュレッダーは、個人情報や企業などの機密情報が記載された文書・メディアなどを細断して、情報の漏洩を防止するために使用されます。

機密情報をその場ですぐに処理できるため、確実に情報の漏洩を防止します。
(回収ボックスの利用や外部委託の場合は、情報漏洩に至る可能性があります。)

シュレッダーの種類

1. 細断方式

文書の細断方式には、ストレートカット、クロスカット、スパイラルカットなどがあります。

・ストレートカット:文書などを縦方向にカットする方式です。細断する文書のセキュリティーがそれほど要求されない場合や、梱包材などとして再利用したい場合に使用します。

比較的安価な業務用シュレッダーや文具タイプのシュレッダーなどで採用されています。
長い麺状に細断されるため紙の投入方向によっては文書を読み取られる危険性があります。

・クロスカット:文書などを縦・横の両方向で同時にカットする方式です。多くのシュレッダーがこの細断方式を採用しており、現在のシュレッダーの主流になっています。

細断した文書などがバラバラになるためセキュリティー性が高いのが特徴です。細断する枚数や細断くずの寸法によって選定することができ、耐久性にも優れています。

・スパイラルカット:文書などを縦切りした後にスパイラル形状のカッターで横切りする方式です。パーティクルカット、ダブルカット、フラットスクエアカットなどと呼ばれる場合もあります。細断した文書などがバラバラになり細断くずの縦方向の寸法が短くできるのが特徴です。

2.電源による分類

市販のシュレッダーに使用されている電源は、単相100V(50Hz/60Hz)と三相200V(50Hz/60Hz)があります。

単相100V(50Hz/60Hz)は、多くのシュレッダー(業務用・家庭用)に採用されています。三相200V(50Hz/60Hz)は、大量に細断する工場や処理施設などで使用されることがあります。小型シュレッダーの中には、手動ハンドルで使用するタイプもあります。

シュレッダーの選び方

シュレッダーには多くの種類があり、選定する際に投入口の幅・セキュリティレベル・ダストボックスのサイズ・使用人数などを考慮する必要があります。

1. 投入口の幅

細断する文書が、A4サイズまでの場合は幅210mm(A4縦切)以上、A3サイズまでの場合は幅300mm(A3縦切)以上の製品を選定する必要があります。

2. セキュリティレベル

セキュリティレベルが高い文書の細断には、クロスカットやスパイラルカットなど細断した文書がバラバラになるタイプのシュレッダーが必要です。メーカーのカタログに細断くずの寸法が記入されているためそれを参考に選定します。ストレートカットのシュレッダーでは、セキュリティレベルが要求に合わないことがあるため注意が必要です。

3. 使用する人数

シュレッダーをあまり使用しない場合や1人で使用する場合は、安価に購入できる家庭用シュレッダーを推奨します。法人など複数人でシュレッダーを使用する場合は、業務用シュレッダーを推奨します。使用する人数に応じてシュレッダーのサイズや処理能力を選定します。

4. ダストボックスのサイズ

シュレッダーによってダストボックスのサイズが異なりますが、市町村などでゴミ袋の指定がある場合やリサイクルの回収などでも袋の指定がある場合があります。指定のゴミ袋が装着できるダストボックスを収納したシュレッダーを選ぶことも重要です。

市販のゴミ袋は「ℓ」などの容量で表記されていることが多いですが、間口の寸法が異なる場合があるためダストボックスの寸法を確認してから大きめのゴミ袋を選定することを推奨します。

シュレッダーのその他情報

<参考> 細断サイズを含むセキュリティレベルの定義(ISO/IEC 21964)
(ドイツではDIN 66399によりセキュリティレベル1~7で定義されています。)

・セキュリティレベルP7:細断寸法 面積5m㎡以下、かつ幅1mm以下
・セキュリティレベルP6:細断寸法 面積10m㎡以下、かつ幅1mm以下
・セキュリティレベルP5:細断寸法 面積30m㎡以下、かつ幅2mm以下
・セキュリティレベルP4:細断寸法 面積160m㎡以下、かつ幅6mm以下
・セキュリティレベルP3:細断寸法 面積320m㎡以下、もしくは
幅2mm以下のストレートカット(長さ制限なし)
・セキュリティレベルP2:細断寸法 面積800m㎡以下、もしくは
幅6mm以下のストレートカット(長さ制限なし)
・セキュリティレベルP1:細断寸法 面積2000m㎡以下、もしくは
幅12mm以下のストレートカット(長さ制限なし)

※日本では明確なセキュリティレベルの基準はありません。

本記事はシュレッダーを製造・販売するシグマー技研株式会社様に監修を頂きました。

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指サック

監修:株式会社鈴木ラテックス

指サックとは

指サックとは、指の先端に装着して指を保護したり、紙をめくりやすくする道具です。

袋状又は指輪状で、事務や電子部品の組み立て時に使用します。工業用途の指サックは、袋状のゴムでできており、天然ゴムや合成ゴムなど、用途に応じた素材が使用されています。指先に装着することで、電子部品の組み立て時に、指の汗や脂、ホコリなどが製品に付着することを防ぎ、部品の劣化や静電破壊を防止する効果があります。また、滑り止め効果もあり、小部品が滑るのを防ぎ、作業をスムーズに進められます。

事務用指サックには、袋状やリング状のものがあり、主に指先の保護や紙めくりなどに使用されます。中には、シール貼り専用の指サックも存在します。

医療用としては、絆創膏や包帯の上から指サックをかぶせ、指先を保護するために使用されます。

指サックの使用用途

指サックは、主に以下の用途で活用されています。

1. 電子機器の作業

皮脂や汗、ホコリなどによる製品への悪影響や、静電気による静電破壊を防ぎます。電子産業では、銀・銅・真鍮・鉛フリーはんだなどが指サックの硫黄分と反応し、電子部品を損傷させることがあるため、硫黄を使わない指サックが製品化されています。

2. 事務作業

指サックを使用することで、紙をめくりやすくなります。特に大量の書類を扱う際、指先への負担を軽減し、作業効率を向上させると同時に、指先を保護します。また、指先による汚れや破損を防ぎ、書類をきれいに保つことができます。又テープやシールなどを使用する際には専用指サックを推奨します。

3. 医療用

医療用指サックは、防水性に優れ、滅菌処理されているため、傷の早期回復を促進します。指の怪我や炎症、あかぎれ、ささくれ、切り傷などで痛みがある場合、絆創膏の上から指サックをかぶせることで、痛みを軽減し、剥がれや水濡れを防ぎます。

また、ゴルフや釣りなどのスポーツ時にも、指の痛みを軽減する目的で使用されます。

指サックの種類

1. 用途による分類

工業用指サック: 使用環境(クリーンルーム等)や対象物に応じた指サックを選ぶことで、生産性や製品の信頼性が向上します。

文具用指サック: 強力な滑り止めや丈夫な被膜により、紙めくり作業の効率を高め、指を保護します。

医療用指サック: あかぎれやささくれ、切り傷などで痛みがある場合、絆創膏の上から被せることで痛みを軽減し、剥がれや水濡れを防止します。

2. 形状による分類

カットタイプ: 口元の断面をカットした形状で、指の付け根への締め付けが軽減され、長時間の作業に適しています。指との一体感があり、小部品や宝飾品を取り扱う細かい作業に最適です。

ストレートタイプ: 口元がリング状になっている形状で、脱着がしやすいのが特徴です。

ロールタイプ: 別名「巻き指」とも呼ばれ、最も装着しやすく、装着時間が短縮できるため、大規模工場などでの生産性向上に役立っています。

リング状タイプ: 指輪形式のサックで、指先にはめて使用します。着脱が容易で、そのままパソコン操作も可能です。

指サックの選び方

指サックには、使用するシチュエーションに応じてさまざまな特長があります。

1. 素材

天然ゴム: ゴムの木の樹液が主原料で、柔らかく、伸縮性に優れ、フィット感が高いのが特徴です。

合成ゴム: ニトリルゴムやポリウレタンなどがあり、石油製品を精製したナフサが主原料です。用途に応じてさまざまな性能を付加できます。ラテックスアレルギーをお持ちの方にはこちらがおすすめです。

シリコーンゴム: シリカを基にした化合物で構成され、薬品耐性や耐熱性に優れています。ラテックスアレルギーをお持ちの方にはこちらがおすすめです。

2. サイズ

一般的に、内径13.5mmから21mm程度のサイズが流通しています。合成ゴムは天然ゴムに比べて硬い傾向があるため、サイズバリエーションが豊富にラインナップされています。自身に合ったサイズを選びましょう。

3. エレクトロニクス分野

金属腐食対策: 指サックからの溶出物による錆や変色の可能性がある場合、硫黄や塩素を使用していないNBR指サックを推奨します。

静電破壊対策: 静電気が電子部品の回路にダメージを与える可能性がある場合、導電性材料を使用した指サックを推奨します。

発塵対策: 微細なホコリの混入・付着が不良原因となる場合、異物の付着がない工程管理で製造されたパウダーフリーの指サックを推奨します。

転写対策: 残留薬品がコーティングや塗装に不良を引き起こす場合、対象物に影響を与える薬品を使用していない指サックを推奨します。

本記事は指サックを製造・販売する株式会社鈴木ラテックス様に監修を頂きました。

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単眼鏡

単眼鏡とは

単眼鏡とは、離れた物体を見るための片眼で使用する光学機器です。

単眼鏡は、遠くの物体を拡大して観察するために使用します。双眼鏡に比べ、小型・軽量で携行に便利です。ポケットに入る大きさのものも多く、例えば、美術館やバードウォッチング、スポーツ観戦などで見たいものを簡単に観察できます。

単眼鏡にもデメリットがあります。片眼なので、どうしても立体感が不足し、視野も狭いことです。

単眼鏡には種々の倍率・最短合焦距離・明るさのものがあり、目的に適した製品を選択します。例えば、美術館や博物館では、比較的近くに対象物があるので、倍率が4~6倍で、最短合焦距離が小さいものが便利です。

単眼鏡の使用用途

単眼鏡の用途は、美術館や博物館での展示品の鑑賞、バードウォッチング、スポーツ観戦、動物観察、植物観察、観劇、音楽会などです。

単眼鏡は、視野が比較的狭く、片眼で立体感が乏しい欠点があり、動きの速いスポーツには適しているとは言えません。例えば、博物館などでガラスケースに入った展示物をじっくり観察する場合などには好都合です。

観劇や音楽会では、演技する人の表情・動作を観察できます。遠くのものを大きくする用途以外では、片方の目の視力が弱い場合や、片方の目に特定の視覚障害がある場合に、視力の補正や視覚の補正に使われる場合もあります。

単眼鏡の原理

1. 倍率

単眼鏡は、双眼鏡などと同じ部類の望遠観察機器とJISで定義されています。即ち遠くにある物体を拡大する用語として、「倍率」が使われます。

倍率は、遠くの物体について、裸眼で見たときの像の角度に対して、単眼鏡から見た像の角度の比率を言います。つまり、単眼鏡で見た像がどれだけ大きく見えるかを表す値です。

例えば、倍率10倍の単眼鏡で見た場合、100m離れた物体が10mの距離にある物体と同じ大きさに見えることを言います。

2. 対物レンズのサイズ

対物レンズの口径は単眼鏡の明るさの目安になり、口径が大きいほど明るさが大きくなります。ただし、口径が大きくなると、単眼鏡のサイズと重量が大きくなり、単眼鏡のメリットが減少します。手持ちで使用できるのは、口径50mmぐらいが限度です。

3. ひとみ径

「ひとみ径」」は対物レンズの口径 (mm) を倍率で割った値です。ひとみ径の二乗が単眼鏡の明るさです。ひとみ径が大きいほど明るいレンズと言えます。

単眼鏡の種類

単眼鏡は、構造面からいくつかの方式があります。

1. ケプラー式

対物レンズに凸レンズ、接眼レンズに凹レンズを使い、正立像です。初期の望遠鏡と同じ原理であり、プリズムを使用しないので小型軽量の特徴があります。倍率を上げるのは困難で、多くは2~4倍程度までです。

2. ポロプリズム式

対物レンズ及び接眼レンズに凸レンズを使います。見える像が倒立で、左右も反対に見えるため、プリズムを複数個使って正立像にします。低倍率から高倍率まで明るくシャープな視界です。光軸を1直線にできないため、やや大型です。

3. ダハプリズム式

対物レンズ及び接眼レンズに凸レンズを使います。ダハプリズムは、屋根型のダハ面を有し、上下と左右を同時に反転させて正立像を得ることが可能です。光軸がずれることなく鏡筒は真っすぐになり、小型でスマートです。ただし、光学性能を上げるためのコストが必要で、ダハ面の精度が高く、精密な技術の加工が要ります。

単眼鏡の選び方

単眼鏡を選定する場合、注意点は倍率、明るさ、最短合焦距離の3つが重要です。

倍率は、主要な目的によって選定します。ライブコンサートの場合は4~10倍程度を選びます。スポーツ観戦なら10倍前後、美術館や博物館なら4~6倍程度が適しています。

明るさは、ライブコンサートやスポーツ観戦では、屋外なら4以上、屋内なら9以上が必要です。美術館・博物館では、7以上が目安で、暗い場合が多いので、極力明るいものを選びます。

最短合焦距離は、単眼鏡からどのくらい近くのものにピントが合うかの指標です。美術館などで、近くの展示物を観る場合に重要になります。50cm以下の距離まで見えるものが適しています。

双眼鏡

双眼鏡とは

双眼鏡とは、2つの鏡胴を平行に並べて、両目で遠くのものを拡大して見る光学機器です。

双眼鏡は、片眼で見るより、疲労が少なく、遠近感や立体感を感じることができます。主な用途は、バードウォッチングやスポーツ観戦、観劇、ドライブ、旅行、登山、船舶の監視、天体観測などです。

小型・軽量なものは携行に優れ、高性能な大型のものもあります。見える像は、正立像で上下はそのままです。プリズムを使って正立像にしています。

観劇用の双眼鏡は、オペラグラスと呼ばれます。倍率は2~6倍程度で、美術館での観賞用に1~2mの近距離にもピントが合うものが製品化されています。

双眼鏡の使用用途

双眼鏡の用途は、遠いところにある物体を拡大して観察することです。例えば、野鳥観察では羽根や胴体の色・模様・嘴の形状・目の色などが分かります。スポーツや観劇では、人の動き・ボールの位置などの観察です。船舶や軍事用は、海上の安全確認のための監視などを行います。

付加機能として、屋外で使用する場合の防水型や、手ぶれ補正が付いた防振型が使われます。

双眼鏡の原理

1. 拡大の原理

対物レンズは物体の実像を目の前に結像し、接眼レンズによって虚像として拡大された像が観察でき、これが拡大の仕組みです。この像は一般には倒立像であるため、両レンズの間のプリズムにより正立像にします。

倍率が比較的小さいオペラグラスは、倍率が3~4倍程度、一般の手持ち双眼鏡は5~10倍位です。倍率の表示は、例えば8×30のように表します。倍率が8で、対物レンズの口径が30です。

レンズの口径は、視野の明るさに影響します。ある程度大きさがある物体の明るさは、対物レンズの口径を倍率で割った射出ひとみ径の二乗に比例します。

2. 倒立像を正立像にする方式

両レンズに凸レンズを採用した望遠鏡は、上下が逆で左右も逆の倒立像を観察します。天体観測ではそれほど問題にならないが、一般の観察には不便です。

倒立像を正立像に変換する方法として、複数のプリズムを使う方法があり、多くの双眼鏡がこのタイプです。プリズムのタイプは、ポロプリズムとダハプリズムがあります。

ポロプリズムは、2個の直角プリズムを使用して、倒立像を正立像へ変換します。対物側と接眼側の光路が直線ではなく、平行的にずれが生じます。その分大きさの面で不利です。

ダハプリズムは、複数のプリズムを使用します。対物側と接眼側の光路が直線的になるメリットがあり、スリムなデザインが特長です。

双眼鏡の種類

1. ガリレオ式

対物レンズに凸レンズ、接眼レンズに凹レンズを使い、正立像であり、双眼鏡はガリレオ望遠鏡を2つならべたものです。倍率は2~4倍程度であり、高倍率は困難です。プリズムを使用しないので、小型軽量になります。

一般的には、視野が狭く、視野周辺がボケる問題があります。軍用に使われていたが、現在ではオペラグラスや玩具に使われる程度です。

2. ポロプリズム式

対物レンズ及び接眼レンズに凸レンズを使います。見える像が倒立で、左右も反対に見えるため、プリズムを複数個使って正立像にします。低倍率から高倍率まで明るくシャープな視界です。光軸を1直線にできないため、やや大型です。

3. ダハプリズム式

ダハプリズムは、屋根型のダハ面を有し、上下と左右を同時に反転させて正立像を得ることが可能です。光軸がずれることなく鏡筒は真っすぐになり、小型でスマートです。ただし、光学性能を上げるためのコストが必要です。即ち、ダハ面の精度が高く、精密な技術の加工が要ります。

双眼鏡の選び方

多くの種類がある双眼鏡から選定するには、使用目的と性能・重量を考慮することが大切です。

使用目的が、探鳥か、旅行用か、観劇用か、スポーツ観察か、美術館用か、監視用か、防犯用か、などで適した仕様があります。また、性能と重量は相反するもので、携行用か、据え置き型かで大きく変わります。

双眼鏡の仕様で重要なのは、倍率・レンズ径・明るさ・最短合焦距離・視界の大きさ・重量・サイズなどです。一般的な観察では、8~10倍ぐらい、口径30~40mm程度で、持ち運びしやすいタイプが適しています。

口径が大きいと重量が増えるので、主な目的が何かを良く考える必要があります。

化成肥料

化成肥料とは

化成肥料とは、2種類以上の原料を混ぜて粒状に成形された肥料です。

化成肥料とは、化学的に合成された肥料のことで、植物の生育に必要な窒素 (N) 、リン酸 (P) 、カリウム (K) などの成分のうち2種類以上を含んでいる複合肥料の一種のことを指します。

原料は、有機質肥料でも化学肥料でもよく、植物が吸収しやすいように、粒状、粉末状、液体状、固形状に加工指定あります。

化成肥料は、植物の生育に重要なもので、農業やガーデニング、公園などで使われます。

化成肥料の使用用途

化成肥料の用途は、主に短期間で土に養分を補うことです。この肥料は肥料成分が植物の根から吸収し易いので、効果が比較的速く出ます。ただし、成分がゆっくり溶けて長続きするタイプもあります。

具体的な用途は、米・野菜・果樹・花卉などの栽培、家庭菜園、盆栽、鉢植え、公園の樹木・芝生・花壇、ゴルフ場の芝生育成などです。

化成肥料の原理

この肥料は、窒素・リン酸・カリウムの3要素を含むものが多く、植物の種類や用途により、適した比率の肥料を選びます。各成分の役割は次のようです。

1. 窒素N

葉・茎・根の成長を早める成分です。葉肥とも呼ばれ、窒素が不足すると、葉が小さくなったり、緑色が薄くなったりします。逆に窒素が多すぎると、葉や茎だけが大きくなって、実や花が少なくなります。

2. リン酸P

リン酸は、植物が花や実をつけるための栄養素です。花肥や実肥とも言われ、リン酸が不足すると、実や花が良く付きません。

3. カリウムK

根肥とも言われ、根の成長に必要な要素です。カリウムはもともと土中に殆どないので、植物を育てるには肥料が必要です。病害虫への抵抗力を高め、環境の変化に対しても効果大です。

化成肥料の種類

化成肥料は、肥料成分の合計含有率によって大きく2種類に分けられます。

1. 普通化成肥料

窒素、リン酸、カリウムの合計含有率が15%~30%の肥料です。成分バランスが比較的穏やかで、幅広い作物に利用されます。

2. 高度化成肥料

窒素、リン酸、カリウムの合計含有率が30%以上の肥料です。成分濃度が高いため、施肥量が少なくて済むというメリットがありますが、施用量を誤ると植物を傷める可能性もあります。

また、肥料が効く速さにより即効性・緩効性・液体肥料などに分かれます。

  • 即効性肥料
    成分が水に溶ける速さが大きく、効き目がすぐに表れます。長く持続しないので、追加の施肥が必要です。  

  • 遅効性、緩効性肥料
    成分がゆっくり水に溶けるので、1~12か月にわたり効果が持続します。製品によりこの期間が異なり、一般のガーデニングに多く使われます。

  • 液体肥料
    原液や粉末の肥料を水に溶かしたもので、植物の根にすぐ届き、速く効きます。鉢植え・プランターに良く使用されます。

化成肥料の選び方

1. 3要素等分型

N-P-Kの量が、8-8-8のものや、14-14-14など各種あります。花壇用、菜園用などに適しています。1つの成分が多すぎることが無いので、元肥にも追肥にも安心して使えます。ただし、数字が大きいものは、肥料成分が多く、根を痛めることがあるのでに注意が必要です。

2. 左上がり型

N-P-Kの値が、12-8-8などの肥料があります。窒素成分が多いので葉物野菜や観葉植物、芝生など、葉を育てたい作物用です。

3. 山型

N-P-Kが山型で、6-10-5などがあり、リン酸が多い肥料です。火山灰性土壌はリン酸分を利用するのが困難であるため、山型肥料で補うのに使われます。赤土や鹿沼土に使うときの元肥や追肥に便利です。

4. 右上がり型

N-P-Kが右上がりに増加するタイプです。6.5-6-19などがあり、カリウムが多いのが特徴です。観葉植物を冬越しさせる時などに使います。

 5.谷型

N-P-Kが10-5-10のものは谷型です。リン酸は果実の実が小さくなるので、このタイプを使うのは特殊な場合です。

化成肥料のその他情報

化成肥料を構成する化学肥料と有機肥料には下記のような特徴があります。」

1. 化学肥料

  • 窒素質肥料:尿素・硫安・塩安・石灰窒素

  • リン酸質肥料:過リン酸石灰、よう成リン肥

  • カリ質肥料:塩化カリ・硫酸カリ   
  • 複合肥料:高度化成肥料・普通化成肥料・配合肥料   
  • 石灰質肥料:消石灰・炭酸カルシウム肥料    
  • その他の肥料:ケイ酸質肥料・苦土肥料

2.  有機質肥料   

  • 堆肥:牛ふん堆肥・豚ふん堆肥・鶏ふん堆肥

  • 動植物質肥料:魚粕粉末・菜種油粕・骨粉    

  • 有機副産物肥料:汚泥肥料

化粧板

化粧板とは

化粧板とは、合板や集成材、石膏ボードなどの表面に薄いシートや薄い板を貼った建材です。

化粧板の表面は、印刷した紙、合成樹脂のシート、薄い木の板などで化粧されており、特徴は、美しく、見た目が良いことです。低コストの板に化粧板を貼ることにより、コストを抑えて見栄えを良くします。

さらに、見た目以外に、加工により耐水性、耐汚染性、耐薬品性、耐摩耗性、耐熱性、防火性、平滑性などが向上します。

化粧板の用途は、壁・天井・床などの建材、机や家具の材料、包装材、小物品入れ、棚板、間仕切り、衝立など広範囲です。

化粧板の使用用途

1. 建材

住宅やオフィスの壁・天井・床、間仕切り・建具などに広く使用されます。カウンタの用途もあります。

2. 家具

机・本箱・TV台・収納家具・下駄箱、棚板など日常生活で目に入ります。

3. 小物

宝石入れ、オルゴール、文具、コースタなどです。

化粧板の種類

化粧板は大きく分類すると、天然木化粧板と特殊加工化粧板とがあります。

1. 天然木化粧板

天然木化粧板は、天然の木材を薄く削ったシートを合板や集成材の表面に張り付けたもので、自然で独特な雰囲気を出すことが可能です。

張り付けるシートの厚さは、約0.2~0.6mmと薄く、高価な木材の使用量を大幅に減らすことが可能です。環境に優しい使い方です。

天然木化粧板は、突板ともよばれます。突板は強度を担う基材として合板や集成材を使い、表面にデザイン性を担う天然木の薄い板を接着剤で張り付けて製造されます。

2. 特殊加工化粧板

特殊加工化粧板は、大きく分類すると、高圧メラミン化粧板、低圧メラミン化粧板、その他化粧板などです。

高圧メラミン化粧板は、印刷紙・クラフト紙にメラミン樹脂を含ませて乾燥し、数枚重ね合わせて高圧 (約100kg/cm2) ・高温 (約150℃) で積層形成したプラスチック板です。テーブルの天板やカウンターなどに使われます。

特徴は、表面が堅いことです。耐汚染性・耐摩耗性・耐熱性・耐水性なども優れています。デザインも木目柄・石目柄・単色など豊富で、色など用途に合わせて選択が可能です。

低圧メラミン化粧板は、チタン紙などの化粧紙にメラミン樹脂を含ませたシートを、繊維板やMDF (中密度繊維板) などの木質基材に貼り合わせて、低圧で成形したものです。表面が堅く、耐汚染性・耐摩耗性・耐熱性・耐水性などが優れており、高圧メラミン化粧板の約1mmより薄い特徴があります。

低圧メラミン化粧板の用途は、建材、システム収納、台所の扉、棚板、ロッカーなどです。

3. その他の化粧板

化粧板はメラミン樹脂含侵ばかりでなく、フェノール樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタンコート紙、塩ビ (PVC) などをコーティングしたものもあります。

オレフィンシートはポリプロピレンやポリエチレンなどからできたもので、耐汚染性・耐候性・耐水性に優れていますが、熱・傷に弱い難点があります。また、合板と化粧板を貼り合わせ、その上からポリエステル樹脂を塗布したものは、傷・熱に弱いが、若干の耐摩耗性・耐水性があるものです。

ウレタンコート紙は、合板、繊維板、ウレタンコート紙を貼り合わせたもので、乾燥が速く、耐汚染性・耐熱性・耐薬品性に優れています。また、合板や繊維板に、印刷した塩ビフィルムを張り付けたものがあります。表面に凹凸が作れ、色・柄が豊富で安価で、用途は家の内装です。

化粧板の選び方

化粧板には多くの種類があり、選び方を次に示します。

1. 用途で選ぶ

見た目を美しくした化粧板は、その特徴を活かした使い方が重要です。用途を考えて選定するのが基本で、例えば、ダイニングテーブルの天板では、熱い鍋を置いても、耐熱性が高ければ異常は出ません。食器を置いても跡が付かない頑丈さがあれば便利です。

2. デザインで選ぶ

化粧板には多くの形・色・柄・機能などがあり、それらを発揮させるのが、選び方の1つです。表面が滑らかなもの、ざらざらで凹凸があるものなどがあり、質感も重要です。また、同じ部屋にある他の家具、インテリアとの調和も考慮が要ります。

段ボール

監修:久門紙器工業株式会社

段ボールとは

段ボールとは、平らな紙 (ライナ) と波状の紙 (中芯) を接着剤 (コーンスターチ) で貼り合わせて作られた板紙 (段ボールシート) のことです。
この板紙を箱状にして、主に商品を入れるのに使います。段ボールの箱は、商品を衝撃から中身を守り、水漏れや日光などの環境からの保護が可能です。

さらに、まとめて運ぶことができるので、輸送の効率化が図れます。段ボールに種々のデザインの図柄を印刷して、識別を明確にし、商品価値を上げることもできます。

段ボールは、リサイクルが可能なので、環境に優しい商品です。日本のリサイクル率は、約95%にもなり、環境の優等生です。

段ボールの使用用途

段ボール箱は、一般的には商品の包装・保管・輸送に使用されます。ファーストフードのパッケージ、封筒状にした包装材料、葬儀用の祭壇・棺桶などの用途があります。

また、シート状の段ボールを加工して、ベッド・家具・テント・間仕切りなど災害用の用途もあります。

段ボールの種類

段ボールは、波状に成形した中芯の片面又は両面にライナを貼り合せたものです。ライナと中芯の品質は、JISの規定があります。 (JIS P 3902 段ボール用ライナ、JIS P 3904 段ボール用中しん原紙) 構造により分類すると、次のようになります。フルートは中芯の波型の部分の段 (高さ) のことです。

1. Aフルート

外装用に多く使われる段ボールです。標準品で、全体の厚さが約5mmです。30cmあたりの段山数は約34です。山の高さが高いので、垂直方向の衝撃吸収力が大きく、箱の積み上げに適しています。

段ボール説明図 Aフルート

2. Bフルート

軽い商品の内装箱に多く使われる段ボールです。全体の厚さが約3mmで、30cmあたりの段山数が約50です。厚さが薄く、平面的な衝撃に強い特徴があります。

段ボール説明図 Bフルート

3. Wフルート

強度が高く、重い商品や海外向けの商品などに使われます。厚さ5mmのAフルートと3mmのBフルートを重ねて接着したもので、全体の厚さは約8mmです。

段ボール説明図 Wフルート

4. Eフルート

ギフトボックスや内装箱に使われる段ボールです。全体の厚さは約1.5mm、30cmあたりの段山数は約93です。強度が低いので、発送用には不向きですが、メール便には、薄いのでよく使われます。

5. Fフルート

小型軽量な商品に使われます。厚さが約1.1mmの薄い段ボールです。保管場所が少なくて済みます。30cmあたりの段山数は約120です。

6. Gフルート

最も薄い段ボールです。厚さが約0.9mmで、30cmあたりの段山数は約177です。ダイレクトオフセット印刷が普通紙のようにできます。

段ボールの構造

段ボールは、ライナと中芯に各々種類があり、組み合わせに多くの構成ができます。

1. ライナ

古紙含有率で種類分けされています。C5、K5、K6、K7などが使われ、Kの方が古紙含有が少なく、強度が高い紙です。数字は紙の重さを表し、数字が大きい程強度が上がります。

2. 中芯

中芯も重さで区分されます。重いものは強度が高く、S120g、S160g、S180g、S200gなどがあります。それぞれに強化芯があり、強化芯は特殊加工により強度を上げたものです。

S120gが多く使われますが、中芯の選定には、全体のバランスが重要です。ライナが弱く、中芯が強いと平滑性が悪くなり、ライナの割れが発生することがあります。

3. 貼り合わせ

コルゲーターと呼ばれる機械で貼り合わせを行います。2種類のライナ、中芯用の紙をセットして両面を貼り合わせます。接着剤はコーンスターチです。こうして、段ボールのシートが作られます。

4. 段ボール箱の成形

段ボールのシートから箱に成形します。次工程にて製函機に入れると、罫線引き (折れ線) 、カット、印刷、糊付け等の作業を自動で行い、箱に成形されます。

本記事は段ボールを製造・販売する久門紙器工業株式会社様に監修を頂きました。

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防水キーボード

防水キーボードとは

防水キーボードとは、水や液体がかかっても故障しにくいように設計されたキーボードです。

パソコンのキーボードは、近年、作業状況を選ばない環境で使われることが多く、液体に浸る機会が多々あります。防水キーボードなら、こうした場合にも水などで洗浄することが可能です。また、キーボードは洗浄・清掃がしにくい構造のものが多かったため細菌やバクテリアの温床となり易く、食品業界や医療業界など、衛生環境が重視される場所でのPC操作には、洗浄や消毒(清掃)ができる防水性能に優れたキーボードが求められます。

1口に防水と言っても、各種ランクがあります。防水性能の等級は、国際電気標準会議 (IEC) が定めた防水・防塵規格で表示します。防水規格は、9等級の性能が定められ、IPX0からIPX8まであり、IPX4以下は防滴タイプ、IPX5~8は防水タイプです。汚れたとき水で手入れをする場合は、IPX5以上を選びます。

防水キーボードの使用用途

防水キーボードは、データーサーバ、制御装置、工作機械、産業機械、食品機械、射出成型機、製鉄機械、製紙機械などのデータ出力装置に使用されています。また、衛生を保つことができることから、医療現場でも使用されています。汚れたとき、水で洗えるのは、IPX5以上です。また一部のキーボードは薬品洗浄が行えます。

単なる防水性能だけではなく、粉塵がキーボード内部に侵入するのを防ぐ防塵性能を備えたキーボードは、埃や粉末が発生する環境でも使用されています。

防水キーボードの原理

最も一般的な方法は、キーボードの下面に水を受けるアルミ板を設けることで、バスタブ構造と呼ばれます。キーボードの上から水をこぼしても受け皿で水を受け止め、受け皿に溜まった水はキーボード底面の排水口から流れ出る構造で、プリント基板などへの水の侵入を止める効果があります。

また、表面に耐水能力を持つコーティング層を設けて内部に液体が入らないようにする方法もあります。
この他、各メーカーは独自の方法で、防水性能を発揮しています。

防水キーボードの種類

防水キーボードにも多くの種類があり、代表例を次に示します。

1.有線/無線キーボード

一般のキーボードと同じように防水キーボードにも各種接続形式があります。有線のキーボードでは主にUSB接続やPS2接続があります。昔ながらの接続規格であるPS2接続を用いるものもあります。

無線のキーボードではUSBドングルを用いるものやブルートゥース接続など多彩な接続方法があります。

2. 薄型小型キーボード

通常のキーボードよりも薄型であり引っかかりが少ない設計のキーボードです。シリコンゴムでキーボードすべてを覆うような構造のキーボードもあります。

3. ポインティングデバイス付きキーボード

クリーンルームでの使用や工場での使用時に場所的にマウス等が設置できない場合、ポインティングデバイスが機能を有するキーボードもあります。ジョイパッド形式やタッチパッド形式を持つキーボードもあります。

エアシリンダ

監修:有限会社双葉製作所

エアシリンダとは

エアシリンダとは、圧縮空気を動力源として直線的な運動へ変換する装置です。

エアシリンダは、圧縮空気源があるところで容易に動力が得られるので、生産ラインの自動化、産業用ロボット、搬送装置、扉の開閉、制御装置、工作機械、工具などに広く使われます。

エアシリンダの使用用途

エアシリンダは、軽量・安価で力がある特徴があります。したがって、ハンドリング、クランプ、圧入などに向いており、2点間の高速移動や重量物の搬送にも使われます。工程別の使用用途は次のようです。

1. ハンドリング装置

ロボットハンドなどが生産ラインで部品をつかむ場合です。

・ハンドチャックは力が強いので、変形しにくい部品のハンドリングに向いています。軽量なチャックを選びます。

・グリッパは、壊れやすい部品に衝撃を与えないように、速度可変が可能です。

2. 搬送・昇降装置

搬送機構では、製品や部品を生産ステージから次の生産ステージへ移動させます。エアシリンダは、重量を優先し速く動かしたい場合に使います。

昇降機構としても利用されます。例えば、工場内での材料の持ち上げや、作業台の高さ調整などに使用されます。

3. クランプ装置

クランプ工程は、部品やワークを特定の位置に正確に固定し、圧入、形状変更、検査、組み立てなどの作業を行います。エアシリンダは力が強く動作も速いため、硬い部品のクランプに適します。

4. プレス機構

エアシリンダは、プレス機構としても利用されます。例えば、金属板のプレス加工や、部品の圧入工程で使用されます。

5. ドアやバルブの開閉装置

ドアやバルブの開閉装置としても使用されます。例えば、自動ドアの開閉や、工業用バルブの操作に利用されます。

エアシリンダの原理

エアシリンダは、圧縮空気をシリンダ内に供給することでピストンを動かし、その動きをピストンロッドを通じて外部に伝えます。これにより直線的な押出し・引込みの動作が可能になります。

1. 押出し作動

圧縮空気をシリンダのヘッド側に入れると、ピストンは押出し方向に動き、ピストンロッドは外側に押出し作動します。また、ロッド側の空気が外部へ排出します。

2. 引込み作動

圧縮空気をシリンダのロッド側に入れると、ピストンは引き込む方向に移動し、ピストンロッドは引込みます。このとき、ヘッド側の空気が外部へ排出します。

3. 複動式エアシリンダの作動

圧縮空気を供給することでピストンロッドが両方向に動作する仕組みです。電車のドア開閉、制御装置、ロボットなどに使います。 空気消費量が単動式と比べ約2倍になります。

4.単動式エアシリンダ

圧縮空気を供給することでピストンロッドが一方向に動作し、ばねの力で初期位置に戻る仕組みです。 空気消費量が複動式と比べ少ないです。

エアシリンダの種類

エアシリンダは自動化・省力化に欠かせないものです。代表的なタイプを次に示します

1.一般形

標準形は一般に最も普及しているタイプです。シンプルな形状をしており、安価です。

2.省スペース型

標準形よりストロークを短くしたものです。したがって、コンパクトで軽量であり、狭いスペースに設置する場合などに便利です。

3. ガイド付き型

ピストンをガイドする部品を付加して、正確な直線運動ができるようにします。ガイド付きは、精密な位置合わせを可能にし、ピストンロッドに側面から外力を受ける場合などに使います。

4. ブレーキ付き型

標準形にブレーキを追加してピストンを停止できるタイプです。ピストンを特定の位置で止めることができます。停止が必要な場合や電源トラブルでの安全対策に使われます。

5. ロッドレス型

ロッドレス型は、ロッドが無いのでそのぶん全体の長さが短くなり、スペースを小さくすることが可能です。非常に長いストロークのものは、移動や長さを最小限にしたい場合などに使われます。

エアシリンダの特徴

1.  シンプルな構造

エアシリンダはシンプルな構造を持ち、小型で軽量です。このため、設置やメンテナンスが容易です。

2. 高速動作

圧縮空気を利用するため、エアシリンダは高速で動作することができます。これにより、生産ラインの効率を向上させることができます。

3. コスト効率

圧縮空気は比較的容易に入手できるため、エアシリンダはコスト効率が高いです。また、エネルギー源としての空気は安全で環境に優しいです。

4. 多様な用途

エアシリンダは多様な用途に対応できるため、産業機械や自動化システムなど、さまざまな分野で利用されています。

5. 制御の簡便さ

エアシリンダは、電動アクチュエータに比べて制御が簡便であり、特に細かな制御が必要ない場合に適しています。

 

本記事はエアシリンダを製造・販売する有限会社双葉製作所様に監修を頂きました。

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板鍛造

監修:株式会社寺方工作所

板鍛造とは

板鍛造とは、板金加工と冷間鍛造を融合させた加工サービスです。

板鍛造は、板金加工のコイル材を使って高品質で大量に生産が可能な点と、冷間鍛造の塑性変形を常温で行い高精度な成型が可能な点の両方のメリットを融合させた加工法です。板鍛造を活用すると、複雑な形状の肉厚部品を一気に成型ができます。しかも、高精度かつ低コストです。

FCF工法 (英:Flow Control Forming in Sheet Metal) とも呼ばれています。板鍛造の加工を引き受ける会社はまだ少ないが、依頼すれば、適切な加工サービスを受けられます。

板鍛造の使用用途

板鍛造は、板厚がほとんど変化しない通常のプレス加工に、鍛造要素を取り入れて板厚の変化を制御可能な加工法で、自動車部品や電機製品の小物精密部品などに多く使用されます。例えば、歯車構造を有するギヤ部品や、フランジのように部分的に増肉が必要な部品です。事例の一部を次に示します。

1. 自転車リアーディレーラー用ブラケット

外寸40mm以下の材質S45C、板厚4.6mmの部品です。鍛圧部の公差4.4±0.03、穴径10.15±0.08、座ぐり部11±0.1mmが主要寸法です。工法の特徴は、減厚・エンボス・座ぐり加工などの複合成形です。

2. シートリクライナー用ロックギア

材質S45C、板厚6.0mm、ギアモジュール0.55の部品で、特徴は、つぶしによりギヤとカム面を成形です。粉末冶金による成形部品や、溶接・圧入などによる部品を板鍛造に変更すると一体成形ができ、大幅なコスト削減が得られます。

3. 4輪ブレーキ用ブラケット

材質SAPH440、板厚6.0mmの部品で、ファインブランキング順送加工して、必要な部分のみ増肉することで、材料費を低減し軽量化を実現したものです。

4. ドアロック用ラッチ・ラチェット

前方押し出しによりエンボスを一体成形し、ピンの製作と圧入の工程を省きます。板鍛造により材料のファイバーフローが切断されないので、強度が上がり、ピンが抜ける製品不良もなくなります。

板鍛造の原理

板鍛造は、打ち抜き・絞り・曲げ・バーリングなどを行う板金成形工法と、据えこみ・しごき・押し出しなどの鍛造成形工法を取り込んだ複合成形加工法です。板鍛造の主なメリットを次に示します。

1. 後加工の切削が不要

後加工の切削加工が不要であり、「ネットシェイプ加工」の一つです。加工時間の短縮や材料歩留まりの向上などで大きなコスト低減が可能です。

2. 高強度

製品形状に沿ったファイバーフローができるので、高強度になります。また、鍛造加工で金属内部の気泡や欠陥を押しつぶして、金属の結晶構造を緻密にすることで、粘り強い金属になります。

3. 高精度

板鍛造の加工で、ファインブランキングを用い、高精度な平面度・直角度が得られます。また、従来のプレス成形では困難であった高精度、差厚・段差、歯形のような、高付加価値形状の成形が可能です。

ただし、板鍛造では金型の負担が大きくなるため、金型を高剛性・高精密にし、高剛性のプレス機械が必要です。

板鍛造のその他情報

加工サービス

鍛造は日本が発祥の技術で、2015年前後から普及が始まりました。コスト低減に大きな効果があり、今後の発展が期待されています。板鍛造用の金型を設計・製作できるメーカーはまだ少なく、現時点では専門メーカから加工サービスを受けるのが得策です。

本記事は板鍛造を提供する株式会社寺方工作所様に監修を頂きました。

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