双眼鏡

双眼鏡とは

双眼鏡とは、2つの鏡胴を平行に並べて、両目で遠くのものを拡大して見る光学機器です。

双眼鏡は、片眼で見るより、疲労が少なく、遠近感や立体感を感じることができます。主な用途は、バードウォッチングやスポーツ観戦、観劇、ドライブ、旅行、登山、船舶の監視、天体観測などです。

小型・軽量なものは携行に優れ、高性能な大型のものもあります。見える像は、正立像で上下はそのままです。プリズムを使って正立像にしています。

観劇用の双眼鏡は、オペラグラスと呼ばれます。倍率は2~6倍程度で、美術館での観賞用に1~2mの近距離にもピントが合うものが製品化されています。

双眼鏡の使用用途

双眼鏡の用途は、遠いところにある物体を拡大して観察することです。例えば、野鳥観察では羽根や胴体の色・模様・嘴の形状・目の色などが分かります。スポーツや観劇では、人の動き・ボールの位置などの観察です。船舶や軍事用は、海上の安全確認のための監視などを行います。

付加機能として、屋外で使用する場合の防水型や、手ぶれ補正が付いた防振型が使われます。

双眼鏡の原理

1. 拡大の原理

対物レンズは物体の実像を目の前に結像し、接眼レンズによって虚像として拡大された像が観察でき、これが拡大の仕組みです。この像は一般には倒立像であるため、両レンズの間のプリズムにより正立像にします。

倍率が比較的小さいオペラグラスは、倍率が3~4倍程度、一般の手持ち双眼鏡は5~10倍位です。倍率の表示は、例えば8×30のように表します。倍率が8で、対物レンズの口径が30です。

レンズの口径は、視野の明るさに影響します。ある程度大きさがある物体の明るさは、対物レンズの口径を倍率で割った射出ひとみ径の二乗に比例します。

2. 倒立像を正立像にする方式

両レンズに凸レンズを採用した望遠鏡は、上下が逆で左右も逆の倒立像を観察します。天体観測ではそれほど問題にならないが、一般の観察には不便です。

倒立像を正立像に変換する方法として、複数のプリズムを使う方法があり、多くの双眼鏡がこのタイプです。プリズムのタイプは、ポロプリズムとダハプリズムがあります。

ポロプリズムは、2個の直角プリズムを使用して、倒立像を正立像へ変換します。対物側と接眼側の光路が直線ではなく、平行的にずれが生じます。その分大きさの面で不利です。

ダハプリズムは、複数のプリズムを使用します。対物側と接眼側の光路が直線的になるメリットがあり、スリムなデザインが特長です。

双眼鏡の種類

1. ガリレオ式

対物レンズに凸レンズ、接眼レンズに凹レンズを使い、正立像であり、双眼鏡はガリレオ望遠鏡を2つならべたものです。倍率は2~4倍程度であり、高倍率は困難です。プリズムを使用しないので、小型軽量になります。

一般的には、視野が狭く、視野周辺がボケる問題があります。軍用に使われていたが、現在ではオペラグラスや玩具に使われる程度です。

2. ポロプリズム式

対物レンズ及び接眼レンズに凸レンズを使います。見える像が倒立で、左右も反対に見えるため、プリズムを複数個使って正立像にします。低倍率から高倍率まで明るくシャープな視界です。光軸を1直線にできないため、やや大型です。

3. ダハプリズム式

ダハプリズムは、屋根型のダハ面を有し、上下と左右を同時に反転させて正立像を得ることが可能です。光軸がずれることなく鏡筒は真っすぐになり、小型でスマートです。ただし、光学性能を上げるためのコストが必要です。即ち、ダハ面の精度が高く、精密な技術の加工が要ります。

双眼鏡の選び方

多くの種類がある双眼鏡から選定するには、使用目的と性能・重量を考慮することが大切です。

使用目的が、探鳥か、旅行用か、観劇用か、スポーツ観察か、美術館用か、監視用か、防犯用か、などで適した仕様があります。また、性能と重量は相反するもので、携行用か、据え置き型かで大きく変わります。

双眼鏡の仕様で重要なのは、倍率・レンズ径・明るさ・最短合焦距離・視界の大きさ・重量・サイズなどです。一般的な観察では、8~10倍ぐらい、口径30~40mm程度で、持ち運びしやすいタイプが適しています。

口径が大きいと重量が増えるので、主な目的が何かを良く考える必要があります。