監修:有限会社双葉製作所
エアシリンダとは
エアシリンダとは、圧縮空気を動力源として直線的な運動へ変換する装置です。
エアシリンダは、圧縮空気源があるところで容易に動力が得られるので、生産ラインの自動化、産業用ロボット、搬送装置、扉の開閉、制御装置、工作機械、工具などに広く使われます。
エアシリンダの使用用途
エアシリンダは、軽量・安価で力がある特徴があります。したがって、ハンドリング、クランプ、圧入などに向いており、2点間の高速移動や重量物の搬送にも使われます。工程別の使用用途は次のようです。
1. ハンドリング装置
ロボットハンドなどが生産ラインで部品をつかむ場合です。
・ハンドチャックは力が強いので、変形しにくい部品のハンドリングに向いています。軽量なチャックを選びます。
・グリッパは、壊れやすい部品に衝撃を与えないように、速度可変が可能です。
2. 搬送・昇降装置
搬送機構では、製品や部品を生産ステージから次の生産ステージへ移動させます。エアシリンダは、重量を優先し速く動かしたい場合に使います。
昇降機構としても利用されます。例えば、工場内での材料の持ち上げや、作業台の高さ調整などに使用されます。
3. クランプ装置
クランプ工程は、部品やワークを特定の位置に正確に固定し、圧入、形状変更、検査、組み立てなどの作業を行います。エアシリンダは力が強く動作も速いため、硬い部品のクランプに適します。
4. プレス機構
エアシリンダは、プレス機構としても利用されます。例えば、金属板のプレス加工や、部品の圧入工程で使用されます。
5. ドアやバルブの開閉装置
ドアやバルブの開閉装置としても使用されます。例えば、自動ドアの開閉や、工業用バルブの操作に利用されます。
エアシリンダの原理
エアシリンダは、圧縮空気をシリンダ内に供給することでピストンを動かし、その動きをピストンロッドを通じて外部に伝えます。これにより直線的な押出し・引込みの動作が可能になります。
1. 押出し作動
圧縮空気をシリンダのヘッド側に入れると、ピストンは押出し方向に動き、ピストンロッドは外側に押出し作動します。また、ロッド側の空気が外部へ排出します。
2. 引込み作動
圧縮空気をシリンダのロッド側に入れると、ピストンは引き込む方向に移動し、ピストンロッドは引込みます。このとき、ヘッド側の空気が外部へ排出します。
3. 複動式エアシリンダの作動
圧縮空気を供給することでピストンロッドが両方向に動作する仕組みです。電車のドア開閉、制御装置、ロボットなどに使います。 空気消費量が単動式と比べ約2倍になります。
4.単動式エアシリンダ
圧縮空気を供給することでピストンロッドが一方向に動作し、ばねの力で初期位置に戻る仕組みです。 空気消費量が複動式と比べ少ないです。
エアシリンダの種類
エアシリンダは自動化・省力化に欠かせないものです。代表的なタイプを次に示します
1.一般形
標準形は一般に最も普及しているタイプです。シンプルな形状をしており、安価です。
2.省スペース型
標準形よりストロークを短くしたものです。したがって、コンパクトで軽量であり、狭いスペースに設置する場合などに便利です。
3. ガイド付き型
ピストンをガイドする部品を付加して、正確な直線運動ができるようにします。ガイド付きは、精密な位置合わせを可能にし、ピストンロッドに側面から外力を受ける場合などに使います。
4. ブレーキ付き型
標準形にブレーキを追加してピストンを停止できるタイプです。ピストンを特定の位置で止めることができます。停止が必要な場合や電源トラブルでの安全対策に使われます。
5. ロッドレス型
ロッドレス型は、ロッドが無いのでそのぶん全体の長さが短くなり、スペースを小さくすることが可能です。非常に長いストロークのものは、移動や長さを最小限にしたい場合などに使われます。
エアシリンダの特徴
1. シンプルな構造
エアシリンダはシンプルな構造を持ち、小型で軽量です。このため、設置やメンテナンスが容易です。
2. 高速動作
圧縮空気を利用するため、エアシリンダは高速で動作することができます。これにより、生産ラインの効率を向上させることができます。
3. コスト効率
圧縮空気は比較的容易に入手できるため、エアシリンダはコスト効率が高いです。また、エネルギー源としての空気は安全で環境に優しいです。
4. 多様な用途
エアシリンダは多様な用途に対応できるため、産業機械や自動化システムなど、さまざまな分野で利用されています。
5. 制御の簡便さ
エアシリンダは、電動アクチュエータに比べて制御が簡便であり、特に細かな制御が必要ない場合に適しています。
本記事はエアシリンダを製造・販売する有限会社双葉製作所様に監修を頂きました。
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