監修:久門紙器工業株式会社
段ボールとは
段ボールとは、平らな紙 (ライナ) と波状の紙 (中芯) を接着剤 (コーンスターチ) で貼り合わせて作られた板紙 (段ボールシート) のことです。
この板紙を箱状にして、主に商品を入れるのに使います。段ボールの箱は、商品を衝撃から中身を守り、水漏れや日光などの環境からの保護が可能です。
さらに、まとめて運ぶことができるので、輸送の効率化が図れます。段ボールに種々のデザインの図柄を印刷して、識別を明確にし、商品価値を上げることもできます。
段ボールは、リサイクルが可能なので、環境に優しい商品です。日本のリサイクル率は、約95%にもなり、環境の優等生です。
段ボールの使用用途
段ボール箱は、一般的には商品の包装・保管・輸送に使用されます。ファーストフードのパッケージ、封筒状にした包装材料、葬儀用の祭壇・棺桶などの用途があります。
また、シート状の段ボールを加工して、ベッド・家具・テント・間仕切りなど災害用の用途もあります。
段ボールの種類
段ボールは、波状に成形した中芯の片面又は両面にライナを貼り合せたものです。ライナと中芯の品質は、JISの規定があります。 (JIS P 3902 段ボール用ライナ、JIS P 3904 段ボール用中しん原紙) 構造により分類すると、次のようになります。フルートは中芯の波型の部分の段 (高さ) のことです。
1. Aフルート
外装用に多く使われる段ボールです。標準品で、全体の厚さが約5mmです。30cmあたりの段山数は約34です。山の高さが高いので、垂直方向の衝撃吸収力が大きく、箱の積み上げに適しています。
2. Bフルート
軽い商品の内装箱に多く使われる段ボールです。全体の厚さが約3mmで、30cmあたりの段山数が約50です。厚さが薄く、平面的な衝撃に強い特徴があります。
3. Wフルート
強度が高く、重い商品や海外向けの商品などに使われます。厚さ5mmのAフルートと3mmのBフルートを重ねて接着したもので、全体の厚さは約8mmです。
4. Eフルート
ギフトボックスや内装箱に使われる段ボールです。全体の厚さは約1.5mm、30cmあたりの段山数は約93です。強度が低いので、発送用には不向きですが、メール便には、薄いのでよく使われます。
5. Fフルート
小型軽量な商品に使われます。厚さが約1.1mmの薄い段ボールです。保管場所が少なくて済みます。30cmあたりの段山数は約120です。
6. Gフルート
最も薄い段ボールです。厚さが約0.9mmで、30cmあたりの段山数は約177です。ダイレクトオフセット印刷が普通紙のようにできます。
段ボールの構造
段ボールは、ライナと中芯に各々種類があり、組み合わせに多くの構成ができます。
1. ライナ
古紙含有率で種類分けされています。C5、K5、K6、K7などが使われ、Kの方が古紙含有が少なく、強度が高い紙です。数字は紙の重さを表し、数字が大きい程強度が上がります。
2. 中芯
中芯も重さで区分されます。重いものは強度が高く、S120g、S160g、S180g、S200gなどがあります。それぞれに強化芯があり、強化芯は特殊加工により強度を上げたものです。
S120gが多く使われますが、中芯の選定には、全体のバランスが重要です。ライナが弱く、中芯が強いと平滑性が悪くなり、ライナの割れが発生することがあります。
3. 貼り合わせ
コルゲーターと呼ばれる機械で貼り合わせを行います。2種類のライナ、中芯用の紙をセットして両面を貼り合わせます。接着剤はコーンスターチです。こうして、段ボールのシートが作られます。
4. 段ボール箱の成形
段ボールのシートから箱に成形します。次工程にて製函機に入れると、罫線引き (折れ線) 、カット、印刷、糊付け等の作業を自動で行い、箱に成形されます。
本記事は段ボールを製造・販売する久門紙器工業株式会社様に監修を頂きました。
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