工業用スプレー

監修:株式会社ヤヨイ

工業用冷却スプレーとは

工業用冷却スプレーとは、工業用途で使われる冷却スプレーです。

大きくは電子部品の故障診断や性能評価などを目的にした製品と、錆で固着したねじ部品を外すことを目的とした製品があります。

一般家庭で使われる冷却スプレーと異なるのは冷却温度です。家庭用の冷却スプレーは打撲や捻挫の際の冷却や、暑さ対策として用いられるため冷却温度が0°C前後であるのに対して、工業用の冷却スプレーでは、温度を一気に−30℃〜−40℃程度まで冷却、製品によってはさらに低温まで冷却します。

工業用冷却スプレーには冷媒ガス (フロンや代替ガスなど) が高圧で封入されており、噴射と同時に気化することで対象表面の熱を奪うことで冷却を実現します。冷媒ガスは製品自体に事前に封入されているものや、別途封入するもの、カードリッジ式で取り換えるものなどがあります。

工業用冷却スプレーの使用用途

1. 電子部品向け

代表的な用途のひとつは、電子部品の故障診断です。ICチップやトランジスタなどは、温度によって挙動が変化することがあり、不具合の原因が熱に関連している場合があります。冷却スプレーをピンポイントで吹き付けて一時的に冷却し、誤動作の有無を確認することで、異常箇所の特定が可能になります。この手法は、特に精密な制御機器や回路基板の診断において有効です。

2. 固着したねじ部品の取り外し

次に挙げられるのが、固着したねじやボルトの取り外しです。長期間の使用や高温環境で焼き付いた金属同士は、容易に緩まないことがあります。冷却スプレーで金属を急冷することで、わずかな収縮が起こり、錆に亀裂を入れることで固着した部品同士を外すものです。冷却とともに潤滑剤も噴射することで、より固着した部品を外しやすくした製品もあります。

3. 圧入部品の脱着

機械には圧入によって固定されている部品があります。例えば軸受として用いられるブッシュやベアリングのアウターレース、インナーレースなどです。圧入部品を取り外す際に、冷却することによって部品を収縮させ、圧入の締め代が少なくなることで圧入力を低下させ、外しやすくすることができます。

本記事は工業用冷却スプレーを製造・販売する株式会社ヤヨイ様に監修を頂きました。

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ロール梱包機

ロール包装機とは

ロール包装機とは、フィルムや紙、シートなどのロール状の製品を効率的に包装するための専用装置です。

製造現場や物流倉庫において、円筒状に巻かれたシート製品はそのままでは運搬や保管が難しく、また汚れや傷が付きやすいものです。そこでロール製品を保護しながら取り扱いやすくするために、ロール包装機が活躍します。

ロール包装機には、作業を自動で行う装置もあります。自動化された装置で最初に行われるのは、包装する円筒状製品の巻径や巾の計測です。その上で円筒の外周をストレッチフィルムやクラフト紙などで包み、外周や両端をテーピングなどによって固定します。作業を自動化することによって、作業効率の向上、人件費の削減、そして品質の安定を図ることなどが期待できます。

ロール包装機の使用用途

ロール包装機は多種多様な業界で使用されているものです。主な用途としては以下のようなものがあります。

1. 製紙業界

新聞用紙、コピー用紙、段ボール用原紙など、大型の紙ロールを出荷する際に用いられます。紙は湿気や摩擦に弱いため、包装により品質を守ることが重要です。感圧紙も扱いに注意が必要な製品であり、ロール包装機が使用されます。

2. フィルム・プラスチック業界

ストレッチフィルムやラミネートフィルムなどのロール製品も、搬送中の損傷を防ぐためにロール包装機で丁寧に包まれます。静電気や引き裂きにも注意が必要なため、繊細な包装が求められます。

3. 食品業界

食品用では、食品包装フィルムのロールや、食品容器、食品トレーを包装するシートやフィルムの包装に使用されています。

4. 建材用品

防水シートや断熱材などのロール状建材も、ロール包装機で包装される製品です。建材用では、特に外部環境に強い資材での包装がポイントになります。

5. 農業用品

農業も様々なシートやフィルム製品が使用される業界です。これらの製品を包装するのも、ロール包装機の使用用途の一つです。

プラスチックめっき

監修:柿原工業株式会社

プラスチックめっきとは

プラスチックめっきとは、樹脂製品の表面に金属の薄膜を形成する加工技術です。

めっきは金属を薄く覆う加工を指します。プラスチック表面にめっきを施すことで、金属のような外観や機能を持たせることができます。製品の外観や手触りが変わり、装飾性だけでなく耐摩耗性や耐食性といった機能性も向上させます。

プラスチックめっきには無電解めっきや電気めっきなどの種類があります。無電解めっきは電気を使用せずに化学反応だけで金属を析出させる方法であり、複雑な形状にも均一に処理を施す点が長所です。一方、電気めっきは外部から電流を流しながら金属を付着させるため、膜の厚みや性質をある程度コントロールできる特徴があります。いずれも製品の品質向上に寄与するため、ニーズに合わせて最適な方式を選定します。

プラスチックめっきの使用用途

プラスチックめっきは以下のような用途で使用されます。

1. 自動車

自動車の内装や外装などで多く使用されます。例えば、エンブレムやフロントグリル、ドアハンドルに金属調の光沢を付与する目的で採用されるケースが一般的です。質感が向上するだけでなく、表面が傷に強くなるため、機能性を重視する場面でも導入が検討されます。また、インストルメントパネルやコンソールパネルに使用すると、金属の光沢により上質感を演出できる点も評価されています。

2. 家電

家電製品の外装や操作パネルにも、プラスチックめっきは幅広く利用されます。家電筐体の縁や操作ボタンなどに金属感を加えることで、高級感と耐久性を両立しやすくなります。素材が軽いため持ち運びやすさを維持しつつ、金属特有の堅牢な印象を与えられる点が好まれています。

3. インテリア・装飾

装飾品やインテリア用品にも活用されます。金属を貼り付けたかのような外観を演出することで、装飾効果を高めながらも製品全体の軽さを保つことが可能です。また、細かな意匠を再現しやすい特性を生かして、デザイン性を重視する分野でも利用が進んでいます。とりわけ屋内装飾においては、耐久性と外観を両立できる点が好評です。

本記事はプラスチックめっきを提供する柿原工業株式会社様に監修を頂きました。

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第二種圧力容器

監修:高砂化工機株式会社

第二種圧力容器とは

第二種圧力容器の原理

第二種圧力容器とは、労働安全衛生法施行令第1条第7号に定める圧力容器の一つで、次に掲げる容器が該当します。

1)ゲージ圧0.2MPa以上の気体を内部に保有する容器、かつ
2)内容積が0.04m3以上の容器。あるいは胴の内径が200mm以上で且つその長さが1000mm以上の容器

製造時又は輸入時に公的機関による個別検定の受検と、1年に1回の定期自主検査が法的に義務付けられている、重要な設備です。
圧力容器の中でも危険性が高いとみなされる第一種圧力容器よりも圧力や取り扱う流体の条件が緩やかなものに当たりますが、内容物によっては腐食性や化学的性質に配慮した設計が必要となる場合も多いです。設計時に安全弁などの安全装置を配置することなど、万一の内部圧力上昇にも対応できる設計が要求されます。

第二種圧力容器の使用用途

第二種圧力容器は以下のような用途で使用されます。

1. レシーバータンク

第二種圧力容器は、比較的低い圧力での気体の貯蔵に使用されることが多いです。圧縮空気を保管するレシーバータンクが代表例です。圧縮空気を動力・計装に使用する工場などでは、加圧空気を安全に貯蔵できる第二種圧力容器が活用されます。

2. 化学工業

化学工場での貯槽や反応槽にも、第二種圧力容器が利用される場合があります。圧力を一定に保つことで成分の分離などを防ぎ、安定した品質を維持できる点が特徴です。腐食性や反応性を有する場合、特殊な金属や内面コーティングで耐食性を高めることで、安全性と耐久性を保つ工夫がなされます。

3. 食品・医薬品

食品や医薬品の製造工程においても、衛生面と安全性を両立するための装置として導入されることがあります。発酵タンクや滅菌装置などの一部として使用され、微生物の増殖や菌の混入を防ぐために精密な圧力管理が要求されます。熱交換器と組み合わせることで温度と圧力を同時に制御し、高品質な製品を作り出すことが可能です。上記のような衛生基準の厳しい分野では、容器内の圧力を適切に管理することが品質維持だけでなく、安全対策にも直結する重要な要素です。

4. ジャケット付きタンクのジャケット部

上記2,3の用途において、スチーム加熱を行うジャケットを取り付ける場合、圧力を0.2MPa以上 (約133℃以上) で使用するジャケットは、第二種圧力容器に該当します。 (この場合、タンク本体は原則大気開放です。タンク本体も密閉する場合は、第一種圧力容器に該当します。) 

本記事は第二種圧力容器を製造・販売する高砂化工機株式会社様に監修を頂きました。

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反応槽

監修:高砂化工機株式会社

反応槽とは

反応槽の原理

反応槽とは、内部で化学反応を安全かつ効率的に行う密閉構造の容器です。

化学薬品や原料を投入し、温度・圧力・撹拌効率速度などの条件を精密に制御して所望の生成物を得る装置です。内部はステンレスやガラスライニングなどの耐腐食性材料で造られ、内容物が外部と接触しないよう、ガスケットやメカニカルシールで気密性を確保します。槽体の外周にはジャケットやコイルが取り付けられ、温水・蒸気・熱媒あるいは冷媒などを循環させることで温度制御が可能です。

さらに、モーターを使用して撹拌翼を回転させる構造(撹拌機)を採用する(撹拌槽)ことで、液体を均一に混合して反応効率を高めます。圧力計,温度計,pHセンサーなどの計測機器を取り付け、リアルタイムで反応状態を監視できる点も大きな特徴です。反応の種類に応じて連続式・バッチ式などの形式が存在します。

なお、使用条件によっては、圧力容器(第一種圧力容器、第二種圧力容器、小型圧力容器)や消防法(危険物取扱設備,20号タンク)の適用を受けます。

反応槽の使用用途

反応槽の使用用途は、主に以下の通りです。

1. 化学プラント

化学工業の分野では、樹脂や塗料の製造に活用されます。化学製品の場合は、密度や粘度などの制御が重要となるため、撹拌強度や添加物の投入タイミングを調整しやすい構造が重宝されます。また、塗料の製造工程では顔料や溶剤の分散が仕上がりに大きく影響するため、反応槽の撹拌性能が品質を左右する要素のひとつになります。なお、内容物が消防法上の危険物に該当する場合は、危険物取扱設備や,消防法20号タンクの適用を受けます。

2. 医薬・化粧品などの合成工程

反応槽は、医薬品や化粧品などの合成工程で盛んに活用されます。反応槽内で温度や撹拌の条件を最適化することで、薬効の高い製品を生成することが可能です。これらの合成には、精密な温度制御や撹拌速度の調整が欠かせません。高い再現性が求められる研究開発の現場でも、多様な設定が可能な反応槽が有用とされています。

3. 環境施設

環境施設でも、反応槽は重要な役割を果たします。例えば、水処理施設では有機物や不純物を分解する生物反応を促進するために利用されます。バイオ燃料の製造過程でも、原料を分解する発酵反応に用いられ、再生可能エネルギーの普及に貢献しています。

本記事は反応槽を製造・販売する高砂化工機株式会社様に監修を頂きました。

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絶対に触らないでください(日本会社ニュース)

ゴールデンウィーク休業のお知らせ

平素よりメトリーをご利用頂き、誠にありがとうございます。

2025年4月29日, 5月5日, 5月6日は、ゴールデンウィーク休業とさせて頂きます。

研究者・エンジニア・購買担当者の方々のサポートを行うことで、世界の発展に少しでも貢献できるよう、メトリーの開発に邁進してまいります。

今後ともメトリーを宜しくお願い致します。

大型ディスプレイ

監修:イーツールズ株式会社

大型ディスプレイとは

大型ディスプレイのイメージ

大型ディスプレイとは、一般的なモニターやテレビに比べてサイズが大きく、視認性や表示能力に優れた映像表示装置です。

大型として扱われる明確な定義はありませんが、画面サイズが40インチ以上の製品が大型として扱われています。大型ディスプレイにはさまざまな種類がありますが、現在は液晶が多く、液晶でもTN、VA、IPSといった駆動方式によって特性が異なり、選定する際のポイントの一つです。

また、近年では4Kや8Kといった超高解像度に対応したモデルも登場し、細部まで鮮明に表示できることから、単なる「大きな画面」ではなく、精細な映像体験を提供する装置として進化しています。さらに、タッチ操作に対応した大型ディスプレイや、複数枚を連結して使えるマルチディスプレイシステムなど、多様な形式が存在しています。

大型ディスプレイの使用用途

大型ディスプレイの用途は非常に幅広く、ビジネス、教育、製造、医療、エンターテインメント、公共施設など、さまざまな分野で活用されています。

1. ビジネスシーン

大型ディスプレイの原理

ビジネスシーンでは、会議室におけるプレゼンテーションやWeb会議用モニターとして活躍しています。特に遠隔会議では、参加者の顔や資料を同時に大画面で表示してコミュニケーションの質を高めることも可能です。電子黒板としても使える製品もあります。

2. 教育施設

教育現場では、電子黒板やデジタル教材の表示に使用され、生徒が視認しやすい環境を整えることが可能です。また、複数のコンテンツを同時に映せるため、視覚的な学習効果も高まります。

3. 製造業

製品の設計や製造についての打ち合わせの際、大型プリンタで出力したA0やB1サイズの用紙を用いる代わりに、大型、高解像度の画面を使用することにより、ペーパーレス化が推進でき、省エネ効果も得られます。

4. 医療施設

医療分野においては、手術室や診察室での画像診断に用いられ、高解像度の映像でCTやMRI画像を確認することができ、精度の高い診断をサポートします。

5. 商業施設

大型ディスプレイの原理

デジタルサイネージとして商業施設や駅、港などの公共スペースに設置され、広告や案内情報のよりリアルな表示媒体としても活躍しています。

6. エンターテイメント

エンターテイメント分野では、ホームシアターやeスポーツ、ライブビューイングなど、迫力ある映像体験を楽しむための装置としても重要です。

本記事は大型ディスプレイを製造・販売するイーツールズ株式会社様に監修を頂きました。

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プラントエンジニアリング

監修:高砂化工機株式会社

プラントエンジニアリングとは

プラントエンジニアリングの原理

プラントエンジニアリングとは、大型生産設備を設計・建設する複数業務のサービス群です。

化学工場、食品工場、発電所、水処理施設、石油精製などの大規模設備を一から立ち上げるサービスで、計画・設計・調達・建設・試運転・保守までを統合的に管理します。資材調達や品質管理、環境・安全基準・及びコンプライアンスの順守など、経営的視点も求められるため、技術とマネジメントを橋渡しすることが重要です。各種業務には専門的な知識とスキルが必要です。

最終的には、設計図面上のコンセプトを現実の設備として具現化し、長期にわたり安定した生産を支える社会インフラへ昇華させます。そのため、ライフサイクル全体を見据えたデザイン や、運用フェーズでの改善活動も不可欠であり、これらがサービスに含まれる場合もあります。安心できるエネルギー供給や産業基盤を陰で支える技術体系です。

プラントエンジニアリングの使用用途

プラントエンジニアリングサービスは、以下のような用途で活用されます。

1. 化学・医薬品・食品

化学・医薬品・食品分野では、高純度化学品や原薬、及び食品の生産設備が対象です。化学分野では反応器内部の流体状態を数値解析で把握し、触媒活性を維持する温度管理を実施することで品質と安全性を確保します。また、全般的に、自動化により流量・圧力・濃度をリアルタイムで制御し、人為的ミスを削減します。バッチから連続生産への転換も設計段階で検討され、生産性向上に寄与します。

2. エネルギー

エネルギー分野で広く活用されます。天然ガス液化設備や火力発電所の建設では、高温高圧下での配管設計や燃焼制御及び排ガス処理までを統合的に最適化し、安定した電力供給を実現します。さらに、再生可能エネルギーを補完する蓄電システムや熱エネルギー回収設備設計も代行するサービスがあり、需給変動の平準化に寄与します。都市と産業の持続的成長を支えています。

3. 環境施設

水処理・環境保全分野でも活用される場合があります。上水場では凝集沈殿や膜分離を組み合わせたプロセスラインを設計し、飲料水基準を満たす水道水の安定供給に寄与します。下水処理施設や産業排水施設では、生物処理と高度処理を段階的に配置し、河川への環境負荷を軽減します。

本記事はプラントエンジニアリングを提供する高砂化工機株式会社様に監修を頂きました。

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溶接カメラ

監修:ウェルドビジョン合同会社

溶接カメラとは

溶接カメラは、溶接部を高解像度でリアルタイムに観察・記録する装置です。

溶接作業中のアーク光は肉眼ではまぶしく、また飛散するスパッタが視界を遮るため、詳細な状態を確認しにくい傾向にあります。溶接カメラなら、アーク光の輝度差を抑えながら高速撮影することが可能です。耐熱ハウジングや防塵ガラスを付属することが多く、スパッタや溶接ヒュームが飛ぶ過酷な環境でも長時間運用することが可能です。

撮影された映像はモニターへ送信され、作業者が遮光面を外したまま安全に溶融形状や凝固の進行状況を確認できます。さらに、溶接速度や溶け込み深さを数値化して品質管理へ活かすことも容易です。近年はAIベースの欠陥検出システムも存在し、クラックの兆候などを自動で検知する機能も搭載されています。

溶接カメラの使用用途

溶接カメラは以下のような用途で使用されます。

1. 新人教育

溶接カメラは溶接技能伝承教育の現場で活用されています。初心者は遮光面越しに手元を見ながら溶接姿勢を学ぶ必要がありますが、溶接カメラの映像を大型ディスプレイに映せば、指導者の運棒や溶融池の状態をリアルタイムに確認できます。映像を繰り返し再生することで、ビード形状の良否やトーチ角度の違いなどを視覚的に比較でき、習熟時間を短縮できます。

2. 製造現場

溶接カメラは、生産ラインでのリアルタイム溶接制御 (倣い制御) 、品質監視にも用いられます。溶接ロボット・台車の近傍に溶接カメラを設置し、遠隔で溶接線のずれをモニタリングすることでマニュアル制御または画像処理による自動制御を行うことが可能です。また倣いずれ、アークの乱れなど設定値から外れた挙動を検知した場合は即座にアラームを出し、ロボットを停止させることで不良品の流出を防ぎます。

3. 研究・開発

溶接カメラは研究開発分野での溶接現象解析に欠かせません。レーザー溶接ではキーホールの生成・崩壊をマイクロ秒単位で記録することで、エネルギー吸収率や蒸発圧の挙動を解析できます。またアーク溶接では溶接カメラから得られた高速動画から最適なパルス波形やシールドガス条件、あるいは溶接欠陥が発生する原因を探索する手がかりになります。

本記事は溶接カメラを製造・販売するウェルドビジョン合同会社様に監修を頂きました。

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ポリイミド樹脂

ポリイミド樹脂とは

ポリイミド樹脂とは、芳香族系のポリイミド構造を有する高性能な合成樹脂の一種です。

耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、機械的強度などに優れた特性を持つ「スーパーエンプラ (スーパーエンジニアリングプラスチック) 」に分類されています。その分子構造にはイミド結合 (–CO–NH–CO–) を含み、高温環境下でも物性が劣化しにくい点が最大の特徴です。

ポリイミド樹脂の特性

ポリイミド樹脂は、熱硬化性と熱可塑性のタイプが存在しますが、以下のような特性を持つものです。

  1. 耐熱性に優れており、耐熱温度は450°C以上とされている
  2. 誘電率、体積固有抵抗等の電気特性が、極低温から高温までほとんど変化しない
  3. 熱膨張率が小さく、熱収縮率も低い、寸法安定性が高い
  4. 熱伝導率が高い
  5. 難燃性に優れている
  6. ほとんどの有機溶剤に溶解しない。高温でも対化学薬品性に優れる

ポリイミド樹脂の使用用途

ポリイミド樹脂の優れた特性により、その用途は非常に多岐にわたります。以下に代表的な使用例を紹介します。

1. 電子・電気分野

電子・電気分野では、ポリイミドフィルムが柔軟基板 (FPC) や絶縁材料、半導体のパッケージングに使われています。これらの用途では、耐熱性と電気絶縁性が重要視され、ポリイミドの特性が理想的にマッチします。近年では、5G通信や高密度実装技術にも対応できる材料としての注目も高まっています。

2. 航空宇宙産業

航空宇宙産業では、軽量で耐熱性に優れた材料が求められるため、機体内部の断熱材やケーブル被覆材、コンポジット材のマトリックス樹脂として使用されています。宇宙空間の極端な温度変化にも耐えることができる点が強みです。

3. 産業用機械・自動車分野

産業用機械や自動車分野でも、ポリイミド樹脂は高温下での摩耗に強い部品に利用されています。具体的には軸受やシール材などです。また化学プラントなどでは、耐薬品性を活かしたパッキンやライニング材にも応用されています。医療機器や光学機器への応用も進んでおり、今後はさらなる用途拡大が期待されています。