天体望遠鏡

天体望遠鏡とは

天体望遠鏡とは、天体の星などを観測するための装置です。

天体望遠鏡は、天体の星などの少ない光をレンズや反射鏡で効率的に集めて拡大することにより、天体の観測を可能にします。天体望遠鏡を使用することにより、月面や惑星、星雲・星団、彗星などを観測することができ、カメラやスマートフォンを接続すると撮影も可能です。

天体望遠鏡は、鏡筒と架台、三脚から構成され様々な種類があります。天体望遠鏡を選ぶ際は、観測対象の天体に最適な倍率を始めとして、撮影するかどうかや運搬など使い勝手も考慮しながら選択することが大切です。

天体望遠鏡の使用用途

天体望遠鏡を使用することにより、月のクレーターや海、土星の環や縞模様、木星の縞模様、金星・水星の満ち欠け、観測好期時に火星の模様などを観測できます。

アンドロメダ銀河やオリオン星雲など星雲・星団については低倍率で観測可能です。その他にも重星、変光星、彗星なども観測出来ますが、太陽の観測は屈折式の鏡筒で太陽投影板を使用してのみ観測可能です。

また、天体望遠鏡にカメラやスマートフォンを接続して撮影することもよくあります。

他には、天体望遠鏡を野鳥や風景の観測・撮影に使用する場合もあります。

天体望遠鏡の構造

天体望遠鏡は、鏡筒と架台、三脚の組み合わせで構成されています。

1. 鏡筒

鏡筒は、天体望遠鏡の筒の部分でレンズや反射鏡を内蔵し、観測対象を視界に捉えるための低倍率ファインダーを側面に備えます。

鏡筒には、屈折式、反射式、カタディオプトリック式の3種類あります。

・屈折式は、対物レンズで光を集め像を作り、接眼レンズで拡大します。

・反射式は、凹面鏡に光を集め反射させ、別の斜鏡で反射した光を接眼レンズで拡大します。接眼部は鏡筒の先端にあり、天体と90°違う方向から覗きます。

・カタディオプトリック式は、反射式の天体望遠鏡をベースに補正レンズを組み入れ収差を補正しています。

2. 架台

架台は鏡筒を三脚に固定する部分で、経緯台と赤道儀の2種類あります。

・経緯台は、垂直及び水平方向の2方向に動かし鏡筒の向きを調整し視野を移動させます。

・赤道儀は、日周運動に合わせて鏡筒の向きを自動調整します。

3. 三脚

三脚は、鏡筒と架台を安定保持する役割をします。

天体望遠鏡の選び方 

天体望遠鏡を選ぶ際に、考慮すべき主な観点を記載します。

1. 鏡筒の種類

3種類の鏡筒の特徴を踏まえながら選択すると良いでしょう。

・屈折式は、鏡筒の一番下側の接眼部から天体に向って覗くことができ、光軸調整が不要で初心者向きと言えます。保管時の手入れに手間が掛かりにくいこともメリットです。価格は高めで、レンズを複数枚使うので重い傾向にあります。

・反射式は、中心部の像がクリアで色収差が出にくく、価格が比較的安いことがメリットです。内部の汚れに注意し定期的なメンテナンスが必要で、光軸調整はやや手間がかかり、使用時には外気温に慣らす必要があります。

・カタディオプトリック式は鏡筒が軽量コンパクトで持ち運びに向いています。収差を補正した方式でクリアな観測が可能ですが、光軸調整は難しいです。

2. 架台のタイプ

経緯台は、組み立てやすく扱いやすい軽量なモデルが多く手軽に楽しみたい時に向いていますが、長時間観測したい場合や写真撮影には不向きです。

赤道儀は、極軸合わせなどの事前準備が必要ですが、長時間の観測・撮影に適しています。自動追尾機能や、観測対象を自動で探す自動導入機能など様々な機能をもった製品があります。

3. 三脚

鏡筒は長く重量もあり三脚の強度が必要になる為、天体望遠鏡のセット品になっている三脚を使用すると安心です。カメラを搭載する場合は更に注意が必要です。

4. 口径

口径は対物レンズ (反射鏡) の直径のことで、口径が大きくなるほど多くの光を集められ、天体の観測や撮影に有利になります。しかし、大口径モデルになる程本体サイズも大きくなります。

5. 倍率・適正倍率

天体望遠鏡の倍率は、以下の式で求められます。

天体望遠鏡の倍率 = 対物レンズ (反射鏡) の焦点距離 ÷ 接眼レンズの焦点距離

また、一定以上に倍率を高くすると像が暗くなり天体がぼやけて見えにくくなる限界は最高倍率と言われ口径 (mm) の2倍程度です。更に、最も観測に適した適正倍率は口径 (mm) からその半分程度です。例えば、口径60mmの場合最高倍率は120倍程度で適正倍率は60倍から30倍程度です。

天体により観測に適切な倍率は異なるため事前に確認した上で、適正倍率なども考慮しましょう。

6. 撮影

天体観測だけでなく撮影する場合は、アダプター等を介しカメラやスマートフォンが接続できる仕様になっているモデルを選択します。近年は、接眼レンズに取り付け出来るスマートフォン用アダプターが付属しているモデルも増えています。

7. 重量・サイズ

収納や運搬を考え、天体望遠鏡全体の重量やサイズを確認することが大切です。

翻訳サービス

翻訳サービスとは

翻訳サービスとは、文章や音声を元の言語と異なる他の言語に変換するサービスです。

翻訳サービスは、グローバル化に伴いビジネスを始め観光やイベントなど様々な場面で使用され、言語の壁を乗り越えた情報のやりとりを可能にします。

従来型の翻訳会社による翻訳サービスに加えて、ITの発達に伴いWeb上の翻訳サイトや翻訳アプリ、クラウド翻訳サービスが盛んに利用される様になりました。近年は翻訳サービスにAIが搭載され、更にAI学習機能を追加した翻訳サービスの利用により、翻訳精度が格段に向上し人による翻訳に近づいてきています。

翻訳サービスを利用する際には、各翻訳サービスの特色を比較しながら利用目的に合った翻訳サービスを選択することが大切です。

翻訳サービスの使用用途

翻訳サービスは様々な場面で使用されています。以下はその使用用途の一例です。

1. 技術文書・論文の翻訳

企業や研究機関で、技術文書・論文などの専門的な翻訳がなされています。従来型の翻訳会社による翻訳サービスに加え、マッチング型やニューラルネットワーク型のクラウド翻訳サービスがよく利用されています。

2. 海外支社との日常的なやり取り

海外支社を持つ企業において翻訳サービスを導入することにより、日常的なメールや資料のやり取りがスムーズに行われています。今まで翻訳業務にかけていた膨大な時間を他の業務に充てることが可能になり、資料の情報共有化スピードも上がり業務効率アップに繋がっています。

3. 外国人からの問い合わせ

グローバル化に伴い様々な企業で、国内外の外国人からのメール等の問い合わせが増加しています。翻訳サービスを導入することにより、多言語にも対応が出来るようになり、業務の効率化が図れています。

4. Webサイトや動画の翻訳

Webサイトへの海外からのアクセス増加に伴い、Webサイトの多言語表示のニーズが高まっています。翻訳サービスの導入によりWebサイトの多言語表示を可能にし、記事を更新した際もすぐに多言語に翻訳できる様になっています。また、タグ部分の翻訳もありSEO対策を取ることも可能です。Webサイト内のテキスト翻訳だけでなく動画の翻訳・字幕作成機能なども利用されています。

5. Web会議

外国人とのWeb会議も近年盛んに行われています。翻訳サービスを導入することにより、PCなどの端末に向かって自国語で話すだけで音声を各国の言語に翻訳しテキスト表示を行い、リアルタイムのコミュニケーションを可能にします。

翻訳サービスの種類

以下に、翻訳サービスの主な種類を記載します。

1. 翻訳会社による翻訳サービス

利用者が翻訳会社に依頼すると、専門知識や技術を有する翻訳者が翻訳し、その後ネイティブなど複数人が翻訳結果を確認する従来型のサービスです。

高度な翻訳精度が必要な場合に向いているサービスで、費用が比較的高額で時間が掛かる傾向にあることが難点です。

2. 翻訳サイト・アプリ

多くは無料で利用可能な、機械翻訳機能が搭載されているサイトやアプリケーションです。

モバイル用のアプリでは、テキスト以外にも音声や画像に対応しているものが増えてきており、海外旅行やビジネスシーンでも使用でき、瞬時に翻訳可能です。翻訳精度はあまり良くなく意味が通じなかったり不自然になる場合があります。

3. マッチング型クラウド翻訳サービス 

Web上で翻訳依頼から納品まで行うクラウドソーシングサービスです。

利用者の翻訳依頼内容に応じ、適切な翻訳者をマッチングさせます。翻訳分野や精度、言語などに応じ費用や納期が変わります。

4. AI利用クラウド翻訳サービス (機械翻訳)

Web上で、AIを使用し機械翻訳するクラウドソーシングサービスです。

機械翻訳には、ルールベース型、統計ベース型、ニューラル型の3種類があります。

 ・ルールベース型は、文法や辞書に基づき機械的に翻訳し、意訳を含まない専門的な文章の翻訳に向いています。

・統計ベース型は、Web上の膨大な情報を照らし合わせて翻訳するため、意訳的な翻訳向きと言えます。

・ニューラルネットワーク型は、人間の脳の仕組みをモデルとしたニューラルネットワークをAI学習に活用した翻訳方法であり、利用を続けることで翻訳精度が高まります。

近年AI利用の翻訳サービスは翻訳精度が向上しており、品質を一定程度確保しながら短時間でコストを抑えて翻訳することができますが、最終的には人による確認作業が必要と言えます。

翻訳サービスの選び方               

翻訳サービスを選択する際に主に考慮すべき点について記載します。

1. 利用目的

翻訳分野、求める翻訳精度、言語の種類、サービスの利用頻度など利用目的を明確にします。

2. 機能

クラウド翻訳サービスにおける機能では、入出力出来るファイル形式を始め、過去の翻訳記録のメモリ機能、専門分野などでは辞書機能、API統合機能など様々な機能があります。

3. セキュリティ

機密性の高いデータを翻訳する場合、セキュリティとプライバシー保護の確認が重要です。

4. 費用と納期

翻訳精度や翻訳分野、言語、そして翻訳サービスの料金体系などにより、費用や納期が変わってきます。翻訳サービス導入前に無料トライアルなどを活用しながら、費用対効果のバランスを取って利用目的に合うサービスを選択することが大切です。

順番待ちシステム

順番待ちシステムとは

順番待ちシステムとは、店舗や施設などにおける利用者の待ち時間を管理するシステムです。

順番待ちシステムは、利用者の順番・待ち時間を管理し、待ち状況の表示や呼び出しなどを行うシステムであり、WEB上で予約・順番待ち可能なシステムもあります。

店舗や施設などの訪問先が混雑している場合、利用者は長時間の順番待ちにストレスを感じることが多くあります。また順番管理を始めとする受付業務が煩雑化しますが、順番待ちシステムを導入することで待ち状況が見えるようになり、利用者のストレス軽減と待ち時間短縮を可能にし、スタッフの業務負担軽減に繋がります。

順番待ちシステムの使用用途

順番待ちシステムは様々な場所で使用されています。以下に代表的な例を記載します。

1. 病院・クリニック

病院やクリニックでは、音声呼び出しに加え、呼び出し番号等のディスプレイ表示、離れた場所でも受け取れる通知機能がよく使用されています。また、電子カルテと連動させ会計の順番待ちまで行うシステムを取り入れている病院もあります。

順番待ちシステムは、患者の待ち時間への不安を軽減し、スタッフの業務効率化に繋がっています。

2. 飲食店

飲食店でも順番待ちシステムが多く使用されており、WEB予約も増えています。

タブレット型の順番待ちシステムを配置することで来店者自身による受付を可能にし、配席管理まで行う機能も利用されています。

また、分析機能を使用し時間帯ごとの混雑傾向を見ながら、スタッフ配置に役立てることも可能です。

3. 役所・郵便局・銀行など

様々な人が利用する役所や郵便局などでは、利用目的を選択できる発券機タイプの順番待ちシステムが多く使われています。

ディスプレイと連携し、窓口ごとに呼び出し番号を表示でき、利用者の満足度向上に役立っています。

4. 宿泊施設のバイキング会場

宿泊施設のバイキング会場の予約・受付を、WEB上で可能にしたシステムも利用されています。

待ち状況をWEB上で確認したり、部屋のモニターや施設内のディスプレイなどで確認することができます。

順番待ちシステムの種類

以下に、順番待ちシステムの代表的な種類を記載します。

1. 発券機型

訪問先に到着した時に発券機から番号札を発行し、順番に呼び出しするシステムです。

ボタンを押したり、タッチパネルを操作することにより番号札を発券します。また、呼び出し番号や待ち時間目安、不在扱いになった番号などをディスプレイに表示する機能と連携して使用することも可能です。順番が近付いたことをLINEや電子メール、電話で知らせる通知機能や、現在の待ち状況をWEB上で確認できるQRコードも多く使用される機能です。

比較的導入費用が安く抑えられ、システムへの入力やディスプレイ表示もシンプルで分かりやすいことが特徴です。

2. WEB予約型

利用者がWEB上で事前に順番待ち予約を行うことができるシステムで、WEB上で受付まで済ませるタイプや、到着時にタッチパネル操作などで発券し受付するタイプなどがあります。

事前の順番待ち予約は、WEB上のホームページや専用アプリ、LINEなどで行うことができ、到着してからの待機時間を少なくします。

LINEは専用アプリのインストールも不要で、利用者のハードルが低いのが特徴です。店舗などのLINE公式アカウントの登録の増加にも繋がり、リピート率向上の効果も見込めます。

順番待ちシステムの選び方 

順番待ちシステムは、使用場所の特性に合ったものを選択することが大切です。以下に考慮すべき主な点を記載します。

1. 操作性                                                                    

施設の利用者とスタッフ共に操作しやすいことが重要です。

利用者にとって、発券機やタッチパネル、専用アプリの操作が直感的に分かりやすいシステムが求められます。またスタッフが、呼び出し・表示などの受付管理を行いやすいことも大切です。

2. 利用者層に合ったシステム

利用者層に合わせて、発券機型やWEB予約・受付型のシステムなど最適なシステムを選ぶことが重要です。利用者数が多い施設では、呼び出し番号や待ち時間などをディスプレイに表示する機能のあるシステムが良いでしょう。

3. 呼び出し方法

呼び出し方法には、音声呼び出しに加え、離れた場所でも通知を受け取れるLINEや電子メール、電話などがあります。

4. 複数窓口対応

大きな病院や役所、郵便局、銀行などでは、複数窓口に対応したシステムを選択すると良いでしょう。

利用者が利用目的を選択でき、窓口ごとに呼び出し番号を表示できる機能があります。

5. 発券機型及びWEB予約型双方の順番受付

発券機での受付と、WEB予約・受付の双方が存在する場合には、双方の順番受付を柔軟に管理する機能もあります。

6. その他

故障などの運用中のトラブルに対し、迅速に対応できるサポート体制があるかを確認しておくことも重要です。導入検討時にはトライアル期間が設けられていることも多いので、機能や使い勝手などを確認し、費用対効果を見極めながら選択すると良いでしょう。

肌チェッカー

監修:株式会社ヤヨイ

肌チェッカーとは

肌チェッカーとは、皮膚の状態を詳細に分析評価する機器です。

肌チェッカーは、皮膚の水分・皮膚バリア機能・光老化・コラーゲン量・弾力・はり・色・油分・pH・温度など様々な皮膚の特性を詳細に測定し分析評価することができます。

手軽に家庭で測定ができるスキンチェッカーと呼ばれるものから、詳細に分析を行う肌分析機まで様々なものがありますが、ここでは主に業務用で肌分析を行う機器について記載します。

肌チェッカーは、化粧品や医薬品の分野や皮膚組織の研究など肌に関係する様々な分野で活用されています。

化粧品や医薬品などの分野で皮膚に効果的な商品を開発するためには、皮膚の特性を詳細に把握する必要があります。開発時に肌チェッカーを使用することにより、皮膚への有効性の評価を始め、重要項目である安全性の評価を可能にします。

また、それぞれ機能の違いはありますが、医療機関の診察や、美容サロンや化粧品売り場のカウンセリングで利用されることもあります。

肌チェッカーの使用用途

以下に、肌チェッカーの代表的な使用用途について記載します。

1. 化粧品の開発

肌チェッカーは、肌タイプの評価、化粧品の有効性の評価など、スキンケア化粧品の開発の中で使用されています。

乾燥肌、脂性肌、敏感肌などの肌タイプの評価を行い、エイジングケア製品の研究開発にも活用されています。皮膚の弾力性や保湿力、バリア機能、メラニン量など多数の項目を、製品が目指す効能に応じて分析評価を繰り返すことにより最適化した製品を開発しています。

2. 医薬品・機能性食品などの開発

アトピー性皮膚炎治療薬や、軟膏、日焼け止め、抗炎症剤、サプリメント、機能性食品などの開発の中で、肌チェッカーを使用して有効性評価を行い最適化しています。

化粧品や医薬品、機能性食品などの開発においては、安全性の評価が大変重要です。皮膚に対する刺激やアレルギー反応が無いかを評価し、安全性を確認してから製品を市場に提供します。

4. 医療機関

美容クリニックや皮膚科などで、皮膚の状態を分析することにより、皮膚科学に基づいた最適な治療やスキンケアを提案する際に利用することがあります。

5. 化粧品カウンセリングコーナー

化粧品売り場には肌チェッカーを設置している売り場があり、分析後肌状態に合わせて化粧品のカウンセリングを受けることができます。

6. その他

服やおむつ・生理用品などの開発における皮膚のかぶれや摩擦による皮膚バリア機能の評価の他、皮膚組織の力学特性の研究にも肌チェッカーを使用しています。

肌チェッカーの種類

肌チェッカーは評価・測定するパラメーターに応じてさまざまな機能の機器があります。単一のパラメーターだけを評価・測定する機器もあれば、1台で複数のパラメーターを評価・測定できる機器もあります。一般的には、肌チェッカーを用いる評価目的に応じて、評価・測定するパラメーターを各種組み合わせて利用されています。以下に、肌チェッカーで測定できる代表的なパラメーターについて記載します。

1. 角層水分量

皮膚の表面のツヤ、ハリ、柔らかさに大きな影響を与える角層の水分含有量を測定します。角層は十数の層をなしており、一般的に乾燥肌と呼ばれる状態では角層のごく表層部だけが乾燥しており、表皮と直接接する下層は乾燥肌であっても水分量が高い傾向にあります。

スキンチェッカーでチェックできる皮膚構造模式図

図1. 皮膚構造の模式図

角層水分量測定方法には、コンダクタンス測定法とキャパシタンス測定法があります。

コンダクタンス測定法は、高周波の交流電流に対する電気伝導度を測定する方法で、水分が多いと電気が流れやすいという性質を利用しています。高周波の交流電流の持つ表皮効果により、角層のごく表層部の水分量とよく相関した値を測定することができ、乾燥肌の測定に適しています。

キャパシタンス測定法は電荷を蓄積する能力 (静電容量) を測定する方法で、水分が多いと電気をよく蓄積するという性質を利用しています。静電容量の性質から測定範囲は深くなり、角層だけでなく表皮上層部分の水分量の影響も大きく受けます。角層全体の水分量を測定する場合に適しています。

2. 経皮水分蒸散量 (TEWL) 

経皮水分蒸散量 (TEWL) の測定は、皮膚バリア機能評価をする上で重要です。

中が空洞になった円筒形プローブのチャンバー内部に設置された複数の温湿度センサーにより、皮膚からの水分蒸散によって生じる湿度変化を計測し濃度勾配からTEWLを算出します。より自然な環境に近い状態で計測できるオープン型プローブと、外部の空気の動きの影響を排除するためのクローズド型プローブがあります。頭皮、爪、唇などの狭い測定面でのTEWLの測定を可能にした製品もあります。

図2のように、バリア機能の保たれた健康な肌は角層の上層も下層も水分量が保たれており、水分蒸散量も低めに抑えられます (上図) 。一方、角層に損傷を受けてバリア機能が保たれていない肌は水分蒸散量が上昇し、角層の上層の水分量が低下しますが、顆粒層に直接接している下層の水分量は上層よりは高いまま維持されます。 (下図)

角層水分量と蒸散量

図2. 角層水分量と蒸散量

3. 皮膚超音波

超音波を用いて皮膚内部の様子を非侵襲的に可視化します。光老化による真皮へのダメージ、健康なコラーゲン状態の評価、真皮の厚さの計測、皮下脂肪の評価などさまざまな評価に用いられます。

図3のように、真皮内でコラーゲン繊維が健康な状態であると超音波が反射しやすくエコー強度が上がります (上図) 。一方コラーゲン繊維が不健康な状態であると超音波を反射させる繊維が少なくなりエコー強度が下がります (下図) 。

超音波で測定する肌チェッカーの仕組み

図3. 超音波皮膚測定

4. 粘弾性

皮膚の弾力、はり、硬さを測定します。

機器内部に陰圧機器を搭載し、減圧して皮膚を吸引することによる単位時間あたりの皮膚の変位量から計算して評価したり(一般的にやわらかさや硬さの評価となります)、減圧を開放した際に皮膚がもとに戻る際の単位変位量あたりの時間を測定したりする(一般的にはりの評価となります)ことで評価します。

5. メラニン・紅斑

皮膚の色を構成するメラニン色素とヘモグロビンを測定します。

メラニンとヘモグロビンに対して吸収率の異なる波長の光を照射し、その反射光の比を測ることで算出します。

6. 皮脂

皮膚の油分を測定します。

皮脂採取材で皮脂を吸着したサンプルの光透過性の変化を計測し、分泌された皮脂量を算出します。皮脂だけを正確に測定するために、汗などの水分を吸収しない皮脂採取材を採用した機器があります。

7. その他

pH測定、表面温度測定、摩擦力測定など様々な機器があります。

肌チェッカーのその他の情報

皮膚分析に関する今後の展望について記載します。

1. 皮膚分析評価の標準化

皮膚分析評価パラメーターは、皮膚弾力パラメーターなど多数の論文に記載されているものもありますが、大多数は技術の異なる装置や方法でデータが取られています。信頼性の高い皮膚分析評価を行うには、データの一貫性が求められます。

2. 皮膚分析と持続可能な化粧品開発

近年、自然で持続可能な製品のニーズがあり、植物ベースの成分を使用した化粧品の開発が急がれます。皮膚分析により、植物エキスやオイルなどの植物由来の成分が皮膚に与える影響を研究し、持続可能な製品開発が求められています。

3. 個人固有のスキンケア

皮膚分析データに基づいた個人固有のスキンケアの実現が期待されています。将来的には、AIやビッグデータ解析を活用し、個々の皮膚状態に合ったスキンケアが可能になることが期待されます。

本記事は肌チェッカーを製造・販売する株式会社ヤヨイ様に監修を頂きました。

株式会社ヤヨイの会社概要はこちら

敷板

敷板とは

敷板とは、足場の悪い地盤を養生して安全性を確保したり、地面を保護するために使用する板材です。

敷板は工事現場や農地など様々な場所で使用されています。敷板を地盤の上に置いて養生することにより、車両や人がスムーズに安全に通行でき作業環境が整い、地面や周辺道路を傷・汚れから保護します。

敷板は、主に鉄製やプラスチック製、木製のものがありますが、近年はプラスチック製の敷板が使用される機会が増えてきています。プラスチック敷板は軽量であり、運搬や設置・撤去作業の際に重機が不要で作業性・安全性が高く、鉄製に比べて安価であることが利点です。

敷板を使用する際には、耐久性や耐荷重、作業性・安全性などを考慮し、使用用途に合った製品を選択することが大切です。

敷板の使用用途

敷板は様々な場所で使用されています。以下はその使用用途の一例です。

1. 工事現場

重機などの車両が通行する工事現場では、出入口や現場内の仮設通路に敷鉄板がよく使用されています。敷鉄板で地盤を養生することにより、工事車両や重機、人がスムーズに安全に通行でき、周辺道路を傷・汚れから保護することを可能にします。

近年は、耐荷重のある硬質のプラスチック敷板が開発され、プラスチック敷板が敷鉄板の代わりに使用される機会が増えています。但し、地盤が非常に軟弱な場合や下に穴が開いている場合などは、荷重分散させることのできる敷鉄板が有効です。

2. 仮設駐車場

イベントや仮設工事などで、期間限定で駐車場が必要になる場合に、プラスチック敷板を並べ仮設駐車場を作ることも多くあります。

舗装されていない土地をそのまま駐車場として使用すると、雨が降った時にぬかるんだり泥や小石がはねたりなど不具合があり、使用後に原状回復するのも大変です。プラスチック敷板を敷設することで、車両をスムーズに停めることが可能となり、使用後の敷板の撤去も短時間で安全に行うことができます。

3. 農業・林業

農地や林業の作業場では、舗装がされていなかったりぬかるんだ地面が多々あります。この様な地面にもプラスチック敷板を敷くことにより、トラクターやフォークリフトなどのスムーズな通行を可能にしています。

敷板の種類

以下に、敷板の主な種類を記載します。

1. 敷鉄板

敷鉄板は、鉄やスチールでできた敷板で高強度・耐久性が特徴で、多くの工事現場などで使用されています。

デメリットは、敷鉄板の1枚の重さが数百kgあり、運搬や設置・撤去には重機が必要なことや、プラスチック敷板と比べて高価になることです。

2. プラスチック敷板

プラスチック敷板は、プラスチック樹脂でできた敷板で、軽量で耐水性があり、敷鉄板に比べて安価です。プラスチック樹脂材料の種類により、耐久性や耐荷重などの耐性が異なります。

プラスチック敷板の1枚の重さは30kg前後であり、運搬や設置・撤去の際は重機が不要で、作業を短時間で安全に行うことができます。

プラスチック敷板は敷鉄板に比べると強度が劣りますが、耐荷重のある硬質のプラスチック敷板もあり、敷鉄板と同様に工事現場の地盤養生として使用できます。

使用中のズレ防止としての固定や、強風時にはプラスチック敷板が飛ばない様に固定・撤去するなど配慮が必要です。プラスチック敷板の中には表裏両面に滑り止めが付いているタイプもあり、地盤への固定やタイヤの泥落とし効果が期待できます。

3. 木製敷板

木製敷板は、合板や杉で出来た敷板で: 軽量でプラスチック敷板より安価です。強度が高く加工しやすいことが利点ですが、長期間の使用には不向きです。

木製敷板は建設現場での足場の下に敷く足場用の敷板としてよく使用されています。足場用の敷板は、長さ3~4m程度、幅30cm程度と面積が広いものを用い、複数の支柱を乗せても荷重が分散し足場の重さで地面が沈まないようしています。

4. アウトリガー用敷板

クレーン車や特殊車両の転倒防止装置であるアウトリガーの接地部分には、非常に大きな垂直圧力がかかります。アウトリガーの下にアウトリガー用敷板を置くことにより、クレーン車などの荷重を分散して安定性を確保し路面を保護します。アウトリガー用敷板はアウトリガーベースとも呼ばれ、サイズは50~100cm角、厚みは5cm程度の角型で、材質は高性能ポリエチレン素材などが使われています。

敷板の選び方 

1. 負荷及び材質

足場の悪い地盤を養生するには、地盤の状態や、車両などが敷板にかける負荷を考慮し敷板の材質を選択することが重要です。

また、建設現場における足場の下に敷く敷板やアウトリガー用敷板などは、誤った敷板を使用すると危険なので専用のものを使用します。

2. サイズ

敷板のサイズに応じ重量や作業性、敷設枚数、コストなどが変わるので、これらのバランスを考えたサイズを選択します。仮設道路を作る場合には、タイヤが通る部分にだけ敷板を敷設しコストを削減するなどの工夫もできます。

3. プラスチック敷板の材料

プラスチック敷板の材料であるプラスチック樹脂には、様々な種類があります。

再生プラスチック製のもの、木質バイオマスとプラスチックの複合材料を使用したものなど環境に配慮したもの、バージン材の高密度ポリエチレン製のものなど様々あります。材料により、耐久性・耐荷重・曲げ弾性・引張強度などの耐性が異なるので、使用用途に合った製品を選択することが大切です。

 

e-Axle

監修:ダイナックス

e-Axleとは

e-Axleとは、モーターを主動力とする電気自動車 (EV) などの車両に搭載される、走るための主要部品を1つにまとめた駆動ユニットです。

e-Axleは電動アクスルとも呼ばれ、一般的な構成としてはモーターとインバーター、減速機から構成されます。e-Axleは複数の部品をまとめることでエネルギー効率が良く、小型軽量であることが特徴です。

e-AxleはEV以外にも、ハイブリッド車、トラックなどの車両に搭載されています。

近年、カーボンニュートラル社会に向け、ガソリン車からEVシフトが加速しています。EVの心臓部とも言えるe-Axleを採用することは、EVの開発スピードを上げることにも繋がっています。

今後も環境に配慮した、更なる小型で効率の良いe-Axleの開発が重要になっています。

e-Axleの使用用途

e-Axleは下記の車両などで使用されています。

1. 電気自動車、燃料電池車

e-Axleは主に電気自動車や燃料電池車といった、モーターを主動力とする車両に搭載されています。

電気自動車や燃料電池車の前輪駆動では、e-Axleを車両の前方部分に搭載していますが、後方部分にも搭載し4輪駆動 (4WD) にすることで雪道や悪路などにも対応可能にします。

2. ハイブリッド車

ハイブリッド車 (HEV) 、プラグインハイブリッド車 (PHEV) といった、エンジンとモーターの両方を動力とする車両にもe-Axleは搭載されています。

HEVやPHEVの前輪駆動ではエンジンとハイブリッドトランスミッションを車両の前方部分に搭載していますが、e-Axleを後方部分に搭載すれば4輪駆動 (4WD) にすることが可能です。

3. トラック

e-Axle を搭載したEVトラックも、種類は少ないものの実用化されています。

モーターをリア駆動軸自体に組み込むことで、シャフトも不要となっています。e-Axleを搭載することにより駆動部品が小さくなり、トラックの荷台を広くすることを可能にします。

e-Axleの構造

e-Axleの一般的な構成としては、モーターとインバーター、減速機を1つにパッケージング化したものです。以下に、e-Axle の主な構造について記載します。

1. モーター

e-AxleはAC (交流) モーターを使用し、電力を回転力に変えます。

使用するモーターは、回転子に永久磁石を用いた永久磁石型同期モーターが主流です。この他にも、回転子に界磁用コイルを用い、巻線に電流を流すことで磁力を発生させる巻線界磁型同期モーターや、回転子に誘導電流を生じさせる非同期の誘導モーターなどがあります。

2. インバーター

インバーターは、バッテリーから流れるDC (直流) をACに変換し、ACモーターを動かすことを可能にします。EVでは三相ACモーターを使用するため、三相インバーターを用います。

また、インバーターはAC周波数を制御し、モーターの回転数の調整を行います。これによりスピードや乗り心地を制御でき、効率の良い駆動による省エネを可能にします。

3. 減速機 (ギヤ)

減速機は、モーターの回転数を低回転に変換することで適切な速度に調整し、トルクを増加させ車両の加速性能を向上させることが出来ます。

モーターは高回転で回し続けると加熱するため、高速域でのモーターの回転数を下げ、ギヤ比の差の小さな組み合わせへ変速し発熱を抑えています。

4. パッケージング化

モーターとインバーター、減速機を1つにまとめてパッケージング化したe-Axle は「3 in 1」と呼ばれる型式です。小さくまとめることで、インバーターとモーターをつなぐ高圧電線が最小限の長さで済み、エネルギー効率が良いことや、コスト削減、小型軽量化のメリットがあります。

また、上記主要3部品に加えDC-DCコンバーターや車載充電器なども加えた 「X in 1」 と呼ばれる形式も開発が進んでいます。

e-Axleのその他情報 

EVシフトへ進む中、e-Axleの開発競争も激化しています。ここではe-Axleの今後の課題について代表的なものを記載します。

1. 小型・効率化

モーター、インバーター、減速機の更なる小型・効率化が求められています。

e-Axleの小型・効率化が進むと、車体デザイン度向上、航続距離の延長、電費向上、エネルギー消費削減などに繋がります。

2. 熱マネージメント

e-Axleにおいて、モーターとインバーターは走行中に高熱になる部品で、発熱対策を行わないと壊れる要因にもなり、稼働時間や寿命に関わります。

発熱対策としては水冷や油冷などを行い、インバーターには放熱シートが使用されています。

e-Axleのみの発熱対策に留まらず、e-Axleやバッテリーからの排熱を冷暖房システムに利用し、車両全体で熱マネージメントするなど対策が進んでいます。

3. 環境負荷の低減

e-Axleを搭載したEVなどでは、走行中は二酸化炭素の排出を抑えられています。しかしながらバッテリーの製造時や廃棄時には二酸化炭素が排出されるため、環境負荷を低減することが求められます。

また、e-Axleを構成するモーターの永久磁石にはレアアースを用いるのが主流でしたが、レアアースを用いない方式も増えています。

e-Axleを始め、バッテリーなど車両全体として、SDGsを意識した開発が重要になっています。

本記事はe-Axleを製造・販売するダイナックス様に監修を頂きました。

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シャックル

シャックルとは

シャックルとは、重量物の吊り上げ・固定時にスリングと重量物の連結に使用する金具です。

クレーンなどで重量物を吊り上げ移動させる場合、ワイヤロープなどのスリングと重量物を安全確実に連結する用途でシャックルは広く使用されています。他にも、船舶の係留、アウトドアなど様々な場面でシャックルが使用されています。

近年、製造業、建設業の発展に伴い、耐荷重が大きく軽量の高強度シャックルが開発されています。同じ耐荷重のシャックルであっても、大きさや形状、シャックル単重、耐久性などが異なる多種多様なシャックルがあります。

シャックルは安全面に関わる重要な金具であるため、使用する際には耐荷重・形状を始め使用用途に適したシャックルを選択することが大切です。

シャックルの使用用途

シャックルは様々な場面で使用されています。以下はその使用用途の一例です。

1. 重量物の吊り上げ

シャックルは、製造業の現場や建設現場、資材置き場など様々な場所で使用されています。クレーンやホイストで重量物を吊り上げる際に、ワイヤロープやチェーンと重量物をシャックルで連結しています。

土木工事で矢板の引き抜きを行う際には、作業性の良さからロングタイプのシャックルが使用されることが多いです。

2. 重量物の固定

トラックでの輸送時に重量物をトラックに固定する場合にも、シャックルを使用しています。

3. 船舶などの係留

ボートや船舶などの係留時に、チェーンやロープとの連結にシャックルを使用しています。表面処理の施されたステンレス製のシャックルを使用すると、高価にはなりますが防錆性・耐久性をあげることが可能です。

4. 消波ブロックの連結

消波ブロック同士の連結には、強度のある鍛造タイプのシャックルがよく使用されています。

5. アウトドア

クライミングやスラックラインなどのアウトドアでも、ロープ、アンカーなどとの連結にシャックルを使用する場合があります。

シャックルの構造

シャックルは本体と、本体を閉じるためのボルト (ピン) で構成されています。

1. 本体

ワイヤロープなどのスリングを引っ掛ける部分をもつ本体は様々な形状がありますが、代表的なものとしてストレート型とバウ型があります。

・ストレート型

ストレート型はU字形状で、スリングを引っ掛ける部分であるふところが狭く、バウ型と比べ軽いのが特徴で主に一本吊りの時に使用されます。

・バウ型

バウ型はおたふくとも呼ばれる様にふところが広いので、複数のスリングを掛けても重なりにくくなっており、多重吊りの時に使用されることが多いです。

2. ボルト (ピン)

ボルト (ピン)部分は、ボルト・ナット型とねじ込み型があります。

・ボルト・ナット型

ボルトとナットで止めた後に割ピンを入れてナットの抜け落ちを防ぐため、振動が多い場所での使用に適しています。取り外しの作業性は下がるため、取り外しの頻度が少ない場合に使用されることが多いです。

・ねじ込み型

ボルトのつまみ部分の開いた穴に、棒を差し込んで増し締めや取り外しを容易に行うことができ、スリングの取り外しが多い場合に適したタイプです。

3. シャックルの取り付け

シャックルの取り付けの際は、ボルトの回転を防ぐため、シャックルの本体側にワイヤロープなどの振動する側を、シャックルのボルト側に固定されている側がくる様に取り付けます。

4. シャックルの素材

シャックルの素材は、強度や重さ、性質が異なる、鉄・アルミ・ステンレスなどの金属を使用しています。

シャックルの選び方

1. 耐荷重

シャックルを使用して安全に重量物を吊り上げるためには、耐荷重を満たすことが重要です。この耐荷重は、縦方向に荷重をかけることを前提とした値です。耐荷重を超えて使用すると、シャックルの破損、重量物の落下につながる可能性があり危険です。

2. 形状・サイズ

スリングが一本吊りの場合はストレート型、多重吊りの場合はバウ型のシャックルを選択するのが一般的です。ボルトのタイプは、取り外しの頻度や緩みにくさを考慮して選択します。

また、連結するスリングのサイズや作業性を考慮しながら、最適なサイズのシャックルを選択することが必要です。

3. 素材

シャックルの素材や表面処理により、強度や重さ、防錆性・耐久性など特性が異なります。

鉄は、強度が高く比較的安価で多くの場所で使用されていますが錆びやすい欠点があります。

ステンレスは、鉄より高価になりますが錆びにくく耐久性があります。

アルミは鉄やステンレスより強度は劣りますが、軽量で持ち運びに適しています。

素材にメッキや塗装を施し錆びにくくしたものや、熱処理を施し強度を上げたシャックルもあるので、使用環境やコストを考慮しながら選択します。

顧客管理システム

顧客管理システムとは

顧客管理システムとは、顧客情報を集約し管理するシステムです。

顧客管理システム ( 英: Customer Relationship Management , CRM ) は、顧客情報や顧客との関係性を管理し、顧客と良好な関係を構築・維持していくことを目的として使用します。似たシステムとして営業活動の効率化を目的とした営業支援システム ( 英: Sales Force Automation , SFA ) があり、近年はCRMとSFAの両方の機能を備えたシステムが主流となっています。

顧客管理システムの基本的な機能は、顧客の氏名・連絡先、問い合わせ履歴、取引履歴などの情報を収集し管理することです。そして収集した情報を元に分析を行い、メール配信などでそれぞれの顧客に合った商品やサービスの提案をすることで、顧客満足度の高い営業活動に繋げます。

また、顧客管理システムでは様々な顧客情報を一元管理出来るため、入力からデータ分析に至るまで様々な業務の効率化及びリアルタイムでの情報共有を可能にし、迅速でスムーズな営業活動を可能にします。

一元管理された顧客管理システムを活用することは、顧客満足度を高めると共に企業の利益に繋がり、顧客・企業双方にメリットをもたらします。

顧客管理システムの使用用途

顧客管理システムは様々な場面で使用されています。以下はその使用用途の一例です。

1. 業務の効率化及び情報共有化

会社内の各部署でバラバラの様式や紙面で顧客情報を管理していた会社が、業務効率化の為に顧客管理システムを導入する例が多くあります。

顧客情報を全社全体で情報共有をすることにより、顧客の問い合わせにもスムーズに対応でき、リピーターの獲得や売り上げ向上に効果があります。更に、担当者の不在・変更などにも適切な対応を取ることを可能にします。

2. ECサイトとの連携

商品を販売するECサイトへの顧客管理システムの連携も増えています。

顧客管理システムでECサイトにおける購買データなどの顧客行動を分析し、リピート率に応じたステップメールを自動配信します。これにより一人ひとりの顧客に合ったコミュニケーションを取ることができ、顧客満足度が向上し売り上げアップに繋がっています。

3. オンラインサービスにおけるアンケート調査

オンラインサービスの品質向上・ニーズ把握のためのアンケートと、顧客管理システムを連携した例もあります。

顧客管理システムで、アンケートメールの送付・集計・分析までを自動で行い、回答内容をオンラインサービスの品質向上に役立てています。アンケートの回答者の謝礼にデジタルギフトを自動送付する連携機能を取り入れた例もあり、業務の負担軽減にも繋がります。

顧客管理システムの機能

以下に、顧客管理システムの主要な機能を記載します。

1. 顧客管理

氏名・住所・電話番号・メールアドレス・問い合わせ履歴・購入履歴・レビューなどの基本情報を管理します。

メールやフォームからの問い合わせ内容を、顧客管理システムに自動登録させる機能をもつものもあり、カスタマーサービスを迅速に行うことを可能にします。

2. データの分析

顧客情報を元に、購買・サービス利用傾向などの顧客行動を分析し、顧客に合った成約率の高いアプローチ戦略を立てます。

3. メールやメールマガジン配信

データ分析により得られたアプローチ戦略により、顧客に合ったキャンペーンメール・ステップメール・メールマガジンなどを顧客の属性ごとに配信します。

顧客管理システムの選び方 

以下に、顧客管理システムを選ぶ時に考慮すべき主な項目を記載します。

1. 顧客管理システムを導入する目的の明確化及びコスト

顧客管理システムの導入に当たっては初期コストやランニングコストが発生し、機能が増える程コストも上がる傾向にあり、クラウド型かオンプレミス型かによってもコストは変わります。

何の為に顧客情報を管理し、どんな課題を解決したいのかを考え、自社にとって必要な機能をリストアップすることが大切です。

導入する際には、コストと機能のバランスを考える必要があります。

2. 操作性

顧客管理システムは多くの社員が使用するものなので、操作性は顧客管理システムの活用を定着させるためにも重要です。

顧客管理システムのベンダーの多くは、無料トライアル期間を設けています。入力の簡便さを始め、目的の情報へのアクセススピードや分析機能の使いやすさなどを確認しておくと良いでしょう。

3. システム・ツールとの連携や拡張性

自社の既存システムやツール、SFAなどと顧客管理システムを連携して運用する場合には、連携可能なシステムを選択する必要があります。

4. セキュリティ

顧客管理システムは大切な顧客情報を一元管理する為、セキュリティ対策が非常に重要なので万全なものを選択しましょう。

5. サポート体制

顧客管理システムは導入してから運用までに一定の時間が掛かったり、うまく活用出来ない場合も想定されます。運用に不安がある場合は、サポート体制が整っているベンダーを選ぶと安心です。

防鳥ワイヤー

監修:株式会社アルティマ

防鳥ワイヤーとは

防鳥ワイヤーとは、鳥類を止まりにくくすることにより鳥害を防ぐワイヤーです。

近年、鳥類の鳴き声による騒音・糞害・建物での巣づくりなどの鳥害が社会問題になっていますが、野鳥保護の観点から人間と鳥の共生を考えた鳥害対策を考えることが重要です。

鳥を傷つけない主な鳥害対策としては、剣山型の防鳥ピン、防鳥ネット、防鳥ワイヤーなどがあり、いずれも物理的に着地・侵入を防いで鳥を寄せ付けない方法です。

剣山型の防鳥ピンは先端が尖っていないピンを多数配置し、鳥類を止まりにくくし防鳥するタイプです。取り付けやすさが特徴ですが、ピンにある程度の長さが必要であり人通りのある場所に配置しにくいことや、多少美観を損なう心配があります。

防鳥ネットは鳥類の侵入を防ぐ方法で、建物の開口部や屋根など広い部分への設置に有効で、ネットの強度や耐久性、美観のバランスをとることが求められます。丈夫なネットを隙間なく張ることが出来れば、防鳥効果が高い方法です。

防鳥ワイヤーは鳥が止まりにくくなる様にワイヤーを張る方法ですが、美観を損ねず広範囲にコストを抑えながら設置可能で耐久性があるといった特徴があります。防鳥ワイヤーは、鳥が住み着いていない初期段階に効果的な鳥害対策で、鳥害を未然に防ぐ手段として使用されることも多くあります。

防鳥ワイヤーの使用用途                    

防鳥ワイヤーは様々な場所で使用されています。以下はその使用用途の一例です。

1. マンションや住宅

鳥類が居心地の良い場所を探す際には構造物の縁に止まって、安全性などを確認します。その鳥類の習性を利用し、マンションや住宅の屋根・屋上・ベランダの手すりなどの構造物の縁に防鳥ワイヤーを設置した例が多くあります。防鳥ワイヤーは、新築物件の施工段階から鳩の被害を未然に防ぐ方法として取り入れられることも多くあります。

2. 駅舎

防鳥ワイヤーを駅舎に設置して鳥害を防いでいる例も多数あります。駅舎のH鋼に防鳥ワイヤーを張るための支柱をクランプ固定し、フランジ部とH鋼を同色に塗装することにより美観にも配慮しながら鳥害対策している例もあります。

3. 橋げた

歩道橋の橋げたの様な振動のある場所にも、防鳥ワイヤーは設置されています。橋げたのH鋼やL鋼に防鳥ワイヤーの支柱を固定するクランプは、振動に耐えられる様に強力な締め付けが可能なものを使用しています。

防鳥ワイヤーの原理

以下に防鳥ワイヤーの主要な構造と原理を記載します。

1. ワイヤー

一般的に耐食性のあるステンレススチールワイヤーが用いられ、耐久性を高める為にナイロンコートしたタイプもあります。鳥類が止まりにくい細さで且つ耐久性が問題のないワイヤー径を、防鳥したい鳥の種類に合わせて選択する必要があります。ワイヤーは1段張りより2段張りにする方が防鳥効果は高く、複数のワイヤーを奥行方向に段違いに張って更に防鳥効果を高めた例もあります。

2. 支柱・固定具

ワイヤーを張る為に支柱を立てます。設置する場所の形状に応じてクランプなど支柱を固定するための金具を使用しますが、この金具は支柱と一体型のものもあります。平面でクランプなどが使用出来ない場合にはビス固定したり、パイプに固定する場合にはバンドタイプのものを使用する方法もあります。

3. スプリング

ワイヤーを適切なテンションで張る為に、ワイヤーの端にスプリングを配置します。スプリングはワイヤーの取り付けや交換を容易にし、防鳥ワイヤーを設置した構造物を清掃する場合に一時的にワイヤーを取り外すといったことも可能にします。

その他 

以下に、防鳥ワイヤーを設置する際に考慮すべき項目を記載します。

1. 鳥害対策としての適切性

防鳥ワイヤーは、鳥が住み着いておらず鳥害があっても軽微な初期段階の鳥害対策として有効です。従って、鳥の滞在期間が長く糞が大量に落ちているなど鳥害が進んでいる段階では、防鳥ネットなどの他の手段で防鳥する必要があります。

2. 専門業者の利用   

防鳥ワイヤーを設置する際は、何処に張るか、適切なワイヤー径・支柱・スプリング間隔、何段張りにするか、支柱の固定法など検討すべき項目が複数あります。

一軒家などのベランダに防鳥ワイヤーを設置する際には、防鳥ワイヤーと支柱がセットになったものが販売されていますので個人でも設置は可能です。

より効果的な鳥害対策をしたい場合や、公共施設など広い範囲に設置したい場合には、専門業者に相談してみるのも良いでしょう。

本記事は防鳥ワイヤーを製造・販売する株式会社アルティマ様に監修を頂きました。

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陸上養殖設備

監修:ティビーアール株式会社

陸上養殖設備とは

陸上養殖設備とは、陸上に人工的に整備した魚介類の養殖を行うための施設です。

一般的な養殖は海の一部に養殖設備を設置しますが、陸上養殖は陸上に水槽などの養殖設備を設置する為、外部影響を受けにくく寄生虫の発生を防ぎやすいといったメリットがあります。また、陸上養殖は漁業権を必要とせず、適した用地を見付ければ参入しやすい養殖方法です。

陸上養殖設備には、かけ流し式、閉鎖循環式、半閉鎖循環式の3つの方式があります。

かけ流し式は、設備導入のコストを抑えることが可能で、自然から常に新しい水を供給し比較的水質は安定しますが、汚れた飼育水をそのまま排水するため外部環境を汚してしまう点が課題です。

一方、閉鎖循環式は飼育水を循環ろ過し繰り返し使用することで、排水は比較的少量ですむため環境に優しい養殖が可能になり近年注目されています。閉鎖循環式は、設備の導入・維持管理費用の高コストが難点ですが、高級魚の養殖を中心に各地で広がっています。

陸上養殖設備の使用用途

かけ流し式及び閉鎖循環式の陸上養殖設備における養殖実績は多種にわたりますが、主要な魚種として、ヒラメ、クルマエビ、トラフグなどがあげられます。

また、陸上養殖の中でも閉鎖循環式は天然ものなどに比べコストがかかる為、高級魚を中心に養殖される傾向にあり、その中でも特にサーモンが注目されています。天然もののサケは寄生虫のリスクがあり生食が難しいですが、閉鎖循環式の養殖により生食可能なサーモンを飼育することが可能になります。

陸上養殖設備の原理

以下に陸上養殖の3つの方式と、閉鎖循環式の主要な構成・原理を記載します。

・かけ流し式

かけ流し式は、海や川からポンプで水をくみ上げ水槽に供給し、飼育で汚れた水を排水する方式です。

水槽と給排水のポンプがあれば飼育でき、設備導入コストを抑えることが可能です。

自然から水を供給するため水質が比較的安定しつつも水質調整が難しいことや、汚れた水を排水するため外部環境を汚してしまう難点があります。

・閉鎖循環式 ( 英 : Recirculating Aquaculture Systems , RAS )

閉鎖循環式は、海や川などと分離された陸上の水槽やプールなどで飼育し、飼育で汚れた水をろ過・殺菌し飼育水として再利用する方式です。海洋深層水や人工海水などの安全な水を魚種に合わせて使用します。

メリットは、水温など飼育環境をコントロールすることで成長を促進し安定生産可能になることや、外部環境を汚しにくい点、トレーサビリティに対応可能なことなどです。

水質を維持するため高度なろ過技術が必要とされ、設備の導入・維持費用が高いことが課題です。

・半閉鎖循環式

半閉鎖循環式は、かけ流し式と閉鎖循環式の両方を組み合わせた方式です。閉鎖循環式で水質を維持しながら、汚れた飼育水をろ過・再利用又は排水します。

水質調整はしやすくなり、排水の量もかけ流し式よりは減りますが、使用する装置が増える為コストはかけ流し式より高くなります。

1. 水槽

水槽は、魚介類を飼育するために使用します。魚介類の種類や設置場所に応じて、材質や形状など様々なものがあります。

2. 循環ポンプ

循環ポンプは、水槽内の水を循環させろ過装置などに水を送るために使用します。

3. ろ過装置

閉鎖循環式及び半閉鎖循環式において要になる技術がろ過装置です。

まず、餌の食べ残しや排泄物などの目に見えるゴミを、フィルター等を用いた物理ろ過と呼ばれる装置で除去します。その後、生物ろ過と呼ばれる装置で、飼育物からのアンモニア・亜硝酸イオンなどをバクテリアの働きで除去していきます。

4. 殺菌装置

水槽内のウイルスや雑菌などを殺菌・不活化するのに使用します。紫外線殺菌装置やオゾン発生装置など様々な装置があります。

5. 水温調節機

水槽内を飼育物に合わせ適切な温度に保つために使用します。水温調節は、飼育物の成長の促進、病気のリスク回避に重要です。

その他

近年注目されている閉鎖循環式の陸上養殖設備における課題及び対策について記載します。

1. 設備の導入費用

設備導入には高価格がハードルになりますが、近年は小型の設備も開発されてきていますので、小規模から始めることにより導入費用を抑えることが可能になります。

2. 設備の維持費用・手間

設備の維持にあたり複数の装置を常時作動しているため電気代が高額となります。対策としては、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用することなどが考えられます。

また、水質・水温管理や餌やり、設備のチェックなどの手間もかかりますので、IoTAIの活用などが進められています。

3. 災害対策

災害時には、地震・水害による設備破損や停電による設備停止などのリスクが想定されます。

その為、設備を設置する用地は災害リスクの少ない地域を選定することや、バックアップ電源の確保など災害対策をする必要があります。

本記事は陸上養殖設備を製造・販売するティビーアール株式会社様に監修を頂きました。

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