枚数カウンター

監修:株式会社ヒューテック・オリジン

枚数カウンターとは

枚数カウンターとは、板状の対象物の数量を数える装置です。

一般的には、生産した製品や加工したアイテムの数を正確にカウントするために使用されます。例えば、工場の製造ラインで製品の数を管理するために枚数カウンターが使われることがあります。

枚数カウンターは高い精度で物の数を数えることが可能です。人間の手作業では誤差が生じやすい場合でも、機械的に正確に数えることができます。また、大量の対象物を迅速に数えることができるため、作業時間の短縮にもつながります。

枚数カウンターの使用用途

枚数カウンターは様々な場面で使用されます。以下はその一例です。

1. 製造業

スマートフォンやコンピュータの製造では、基板などの板状部品について数を正確に数える必要があります。また、高度な自動化が求められるため、製造ラインに統合された枚数カウンターが使用されることが多いです。その他にも、自動車産業や食品産業においても、板状部品をカウントするために使用されます。

2. 印刷業

印刷業界では、印刷された文書やパッケージの部数を正確に数えることが必要です。大量生産の場合でも、枚数カウンターを使用することで、正確な部数を把握することが可能です。これにより、クライアントに納品する際の品質管理を徹底することができます。

3. 物流業

枚数カウンターは、倉庫内での板状商品の在庫管理に重要な役割を果たします。商品が入庫・出庫する際に、自動的に数え上げることで在庫数をリアルタイムで把握し、適切な補充や発注を行うことが可能です。また、正確な枚数の確認ができることで、誤配送を防ぐ役割も果たします。

4. 木工業

木工工場では、加工された木材の板やパネルを数えるために枚数カウンターが使用されます。特にカッティングや成形ラインにおいて、各製品の数を迅速かつ正確にカウントすることが必要です。

枚数カウンターの原理

枚数カウンターは物体の状態をセンサーなどで検知することで枚数を数える仕組みです。一般的には光センサーや画像処理によって実現します。

光センサーを使用した枚数カウンターは、物体が通過する際に光の反射や遮断を検知することで動作します。センサーから光を発射し、対象物の有無によって受光部に届く光量が変化することで検知することが可能です。物体の色や表面の状態に依存せずに使用可能であり、設置と調整が簡単なため、多くの産業で広く使用されています。

画像処理はカメラや画像センサーを使って対象物を検出し、その数をカウントする仕組みです。取得した画像から対象物を特定するための特徴量を抽出し、枚数をカウントします。複雑な処理が可能であり、場合によっては複数の物体を同時に検出し、個別に数えることも可能です。

画像処理を用いた枚数カウンターは複雑な環境や多様な物体を扱う場面で有用です。高度な自動化や精度の要求がある産業で広く利用されています。

枚数カウンターの選び方

枚数カウンターを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 対象板厚

対象の板厚に応じて、感知範囲や精度が適したセンサーを選ぶ必要があります。例えば、薄い板厚の場合には、差異を正確に検出できるセンサーが必要です。また、板の種類によって、近接センサーや光センサーなど、使用できるセンサーが異なります。

2. 枚数

一度に処理できる枚数を考慮する必要があります。高速な生産ラインでは、短時間で多くの物体を正確に数えることが求められます。また、棚卸時等の非生産時にも計数確認が必要な場合が有り、常に正確に数え上げられることが重要且つ、処理能力と精度のバランスを考慮します。

3. 処理時間

リアルタイムでの情報更新が求められる場合、素早く物体を数え上げられるカウンターが必要です。処理時間を考慮して製品を選定します。また、処理されたデータを迅速に管理し、必要に応じて分析する能力も重要です。

4. その他

高温や振動など、カウンターが設置される環境条件に耐えることも確認する必要があります。長期間安定して動作し、保守が容易であることが重要です。また、他の管理システムと統合できるとさらに有利です。

本記事は枚数カウンターを製造・販売する株式会社ヒューテック・オリジン様に監修を頂きました。

株式会社ヒューテック・オリジンの会社概要はこちら

自動乳鉢

監修:株式会社石川工場

自動乳鉢とは

自動乳鉢とは、乳鉢と乳棒をモーターで動かして硬質物質や分析試料などを粉砕、混合、分散、混練する機械です。

電子部品材料分野、砥石分野等の各種産業や医学・理科学分野における実験・研究の現場で活用されています。ポットミルなどに比べて、小さな粉砕エネルギーであることが特徴で、その特徴により、電子部品材料分野では、メカノケミカルやメカニカルアロイングが達成できます。また、粉砕中の試料を肉眼で容易に確認することができます。

自動乳鉢は単に手擂りの代替手法として用いられるだけではなく、従来になかった事象を発現させ、新たな材料開発に寄与するものです。さらには、量産まで見据えた工法であるため、量産立ち上げ時間も短縮できます。

自動乳鉢の使用用途

1. 概要

自動乳鉢は、食品、電子部品材料、金属化学などの産業分野や、各種分野の試験研究用途で使用されている機器です。研究では、特にメカノケミカル反応やメカニカルアロイング反応を用いた状態で使用されることもあります。具体的な活用事例には、

  • 全固体電池の試作とその評価
  • ゼオライトの粒子分布の擂潰時間依存性の評価
  • ガラス粉砕実験
  • 磁器杵を原材料とした磁器ナノ粒子の生成

などがあります。

2. 分野と被加工物

自動乳鉢は多くの分野で活用されており、分野と被加工物には下記のような例があります。

  • 理化学: 金属・ガラス・カーボン・シリカなどの各種ペースト、スラリー、カーボンナノチューブ、磁気材料
  • 電気・電子: 導電性インク、半導体材料 (導電性接着剤など)、各種センサー素材、フェライト磁石素材、ハンダ材、セラミック材料 (チタン、ジルコニア、アルミナなど) 、パッケージ封止材
  • 電池用材料: 全固体電池の電極材、リチウム電池電解質
  • 医療・医学: 歯科材料 (義歯素材など) ・人工骨、軟膏材、香料、漢方薬、健康食品
  • 塗料: 塗料用粉末、インク材料、染料、顔料、絵具・漆材、七宝釉薬、朱肉、墨汁
  • 樹脂・油脂: 触媒、接着剤添加物、グリース添加物、火薬類
  • 窯業・金属・ガラス: ファインセラミック粉、貴金属粉末及び各種金属粉末、カーボン粉末、ガラス添加物、粉末治金、酸化アルミナ、鉱物試料、陶芸釉薬
  • 砥石・研磨剤: 砥粒、研磨剤、ダイアモンド、ボロンナイトライド、シリコンカーバイド、コランダム
  • 化粧品: ファンデーション、色材、金属粉
  • 食品: 蕎麦・うどん、菓子材料、製餡、豆腐、こんにゃく、練り物 (蒲鉾・はんぺん、竹輪)、ハム、カレールウ・粉末スープ、すりごま・味噌すり、ピーナッツペースト

自動乳鉢の原理

自動乳鉢は、鉢もしくは乳棒をモーターによって回転させ、粉体の粒子を細かくすり潰ししながら、同時に均一に混ぜ合わせて分散させ、混練する機械です。材料を擂り潰しながら、同時に撹拌も行えるのが大きな特長になります。ポットミルなどに比べて、粉砕エネルギーが小さいため、時間をかけて、少しずつ繰返し行われます。

このことにより、被加工物に発熱や衝撃などの負荷を与えず、意図しない変質を防ぎながら、均一に混練することが可能です。また、メカノケミカル現象やメカニカルアロイングなども発現し、ポットミル等ではできない加工が可能となります。

機構には大きく分けて2つあります。乳棒と乳の両方が回転するタイプと、乳棒のみが自転公転をするタイプです。乳棒と乳の両方が回転するタイプの装置は、乳鉢側の装置内部に強力なモーターが設置されて乳鉢が回転し、乳棒の垂直圧力と壁面圧力によって、強い摩擦力と圧力で試料を粉砕します。

乳鉢用、乳棒用の2つのモーターが必要になります。乳棒のみが自転公転するタイプの装置は、乳鉢と乳棒の両方が回転するタイプと同様の強い摩擦力と圧力が発生します。また、ギアの設計が必要にりますが、モーターは1つでよいので部品点数は少なくなります。

乳棒が自転公転回転するタイプは、ギアの組み合わせにより、乳鉢は固定されてますが、乳棒が公転しながら自転する複雑な動きとなります。杵筒にばねが内蔵されているため、圧力をかけながら撹拌・擂潰が行われます。

自動乳鉢の種類

自動乳鉢には様々な種類の製品があります。鉢と乳棒の素材も製品によって異なり、小型機以上の大きさでは、鉢は花崗岩、磁器、砲金、ステンレスなど、乳棒 (杵) は木、テフロン、磁器などです。微量機では、メノウ、アルミナ、炭化タングステンなどが鉢・杵共に使用されます。乳棒が2軸式になっている製品では効率よく粉砕が可能です。

また、製品によっては、自動乳鉢に真空機能や加熱機能などの付帯機能があるものもあります。真空機能のある製品では、真空/減圧雰囲気、アルゴンや窒素ガスなどの不活性ガス置換雰囲気で濃縮、乾燥、脱泡、撹拌擂潰処理を行うことが可能です。

酸化を避けたい材料処理など、嫌気性素材に最適です。兼ねる機能が付加されたものは、通常温度では非常に粘度が高く、混錬が出来ないものも、加熱することにより、粘度が小さくなり、混錬が可能となります。また、微量機はグローブボックス内で使用することのできる製品もあります。

大きさ別では、微量機 (加工容積0.05 L程度) ・小型機 (加工容積0.2〜7.0L程度) は実験机の上に乗せて実験が可能なため、研究開発向けに最適です。大型機 (12〜150L) は、また、一度に多くの材料の処理が可能なため、量産用として使用されることが多くなっています。

本記事は自動乳鉢を製造・販売する株式会社石川工場様に監修を頂きました。

株式会社石川工場の会社概要はこちら

3D IC

3D ICとは

3D IC (英:Three-Dimensional Integrated Circuit) とは、複数の半導体デバイス層を垂直に積層した集積回路です。

従来の2次元集積回路とは異なり、3D ICでは複数の層が垂直に積み重ねられています。これにより、デバイス同士の距離を短縮できるため、信号の伝送速度が向上して遅延が減少します。また、回路間の接続が短くなることで、信号のロスを減らすことが可能です。

また、2次元集積回路と比較して面積を小さくすることができます。これは特に、モバイルデバイスやウェアラブルデバイスなどの小型化が求められる場面で有利です。

3D ICの製造技術は成熟しており、多くの企業や研究機関がこの技術を採用しています。これにより、市場における3D ICの普及が進んでいます。

3D ICの使用用途

3D ICは様々な場面で使用されます。以下はその一例です。

1. 情報通信産業

モバイルデバイスや通信インフラにおいて、小型化と高度な信号処理能力が求められるため、3D ICが利用されています。また、データセンターやクラウドコンピューティングでの使用も一般的です。高速でエネルギー効率の良いデバイスが求められており、3D ICは性能向上と電力消費の削減に貢献します。

2. 自動車産業

自動車産業では車載エレクトロニクスなどで活用されます。安全性や快適性を向上させるための複雑な電子制御システムにおいて、空間効率の高い3D ICが有効です。また、高度なセンシングや画像処理が要求される自動運転技術においても、高性能で信頼性の高い3D ICが使用されています。

3. 医療産業

MRIやCTなどの医療画像の高速処理と解析において、3D ICが使用されています。これにより、リアルタイムで高性能な診断支援が可能です。また、近年では心臓ペースメーカーや神経刺激装置などのインプラントデバイスにも広く活用されます。

4. その他

宇宙航空産業では、通信衛星などに活用されます。3D ICを使用することで、小型化しつつも高速で信頼性の高いデータ処理を実現し、通信の効率化と信頼性の向上を図ることが可能です。また、産業用ロボットや交通信号制御装置などにも広く利用されています。

3D ICの原理

3D ICは複数の半導体デバイスを垂直方向に積層することで、より高密度で高性能な集積回路を実現する技術です。通常の2D ICでは、デバイスが同一のシリコン基板上に配置されています。それに対して、3D ICでは複数の層が別々のシリコン基板上に製造され、後でこれらを積層する仕組みです。

垂直に積層された各層を接続するために使用されるのがTSVです。TSVはシリコン基板を貫通する微細な穴であり、穴の内部に金属を充填して電気的に接続します。これにより、異なる層のデバイス間で信号や電力を伝送することが可能です。

各層を絶縁するために、層間に絶縁材料が使用されます。これにより、電気的な干渉を防ぎながら層を積層可能です。典型的な絶縁材料としては、酸化シリコンやポリマーなどが使われます。

このように、3D ICは半導体技術の進化により実現される先進的な集積回路技術であり、様々な産業や用途において重要な役割を果たしています。

3D ICの選び方

3D ICを選ぶ際は、以下のような要素を考慮することが重要です。

1. セル数

セル数は3D IC内の基本的な論理ゲートや機能ブロックの数を示します。使用する用途に応じて必要な計算能力や機能を考慮することが重要です。高性能な処理を必要とする場合は、より多くのセル数が必要になる場合があります。

2. メモリ

メモリの統合度が高い3D ICは、データの高速アクセスと効率的な処理が可能です。特に大規模なデータ処理や高速なキャッシュメモリが必要な場合には、ICのメモリも重要です。

3. 消費電力

電力効率が重要な要素である場合、3D ICの設計における省電力性能を評価することも重要です。特にモバイルデバイスやバッテリー駆動の電子機器では、省電力が大きな利点となります。

4. サイズ・形状

3D ICの物理的なサイズと形状は、組み込み先のデバイスやシステムに合わせて選択する必要があります。空間の制約や冷却システムの設計も考慮することが重要です。

自動設計ツール

監修:新明和ソフトテクノロジ株式会社

自動設計ツールとは

自動設計ツールとは、各種パラメーターを設定して仕様に合った3Dモデルや図面を自動生成するプログラムです。

あらかじめプログラミングされた設計ルールやロジックを元に、3D CADなどを活用して設計を行うシステムや、AIを駆使して設計を行うようなシステムなど設計の自動化度合いには様々な製品があります。特に、マスターモデルから各顧客に合わせた細かな仕様変更・寸法変更を行うような設計での使用が多く、構成部品・関連部品や図面まで自動で変更することができます。全ての変更を人の手で行う必要がなくなるため、作業時間短縮や人件費の削減、ヒューマンエラーの削減などの業務効率化に活用されています。

自動設計ツールの使用用途

自動設計ツールは、様々な製造業分野で部品や製品の設計に使用されています。具体的な活用事例には下記のようなものがあります。

  • 鋼鈑桁橋
  • 鉄道信号装置 (自動列車制御装置、列車集中制御装置、連動装置)
  • 自動車部品
  • 航空機部品
  • 産業機械
  • 送風機などの風力機械
  • 構造設計などの建築設計

製造現場では、手作業で設計をする場合、一箇所サイズを変更するために、それを取り巻く周囲の部品のサイズや配置に多大に影響を及ぼし、管理が難しく、見積り・設計・エンジニアリングの作業が煩雑で時間がかかり、エラーが発生しやすくなります。例えば水処理システムの沈殿ユニットの設計仕様を作成するには100以上の図面が必要なため、複雑な設計により修正にかなりの工数がかかってしまいます。しかしこれらの作業も自動設計ツールであれば効率的に工程を進めることが可能です。また精密な設計が必要箇所など、自動設計ツールは顧客ニーズに合わせてカスタム設計がされることがあります。

自動設計ツールの原理

1. 概要

自動設計ツールは、自動化の程度によっていくつかの段階があります。自動化の程度が簡易的であるほど、コストを抑えることができます。例えば、AIを用いて最適な設計を算出するシステムも自動設計ツールですが、簡易的なルールやマスターモデルを設定しておき、仕様の変更・修正に合わせて数値を入力すると自動で修正数値や図面を出力するようなシステムも自動設計ツールの一種です。

2. テンプレート設計

テンプレート設計は、ひな型であるマスターモデルに3Dモデルや図面にパラメーターを設定しておき、最低限のプログラムで自動設計を実現する手法です。仕様に応じた組み立てモデル、部品、図面がすべて自動で出力されます。例えば、Excelシートに条件を入力すると、ひな型モデルが変形して3Dモデルが完成し、更に3Dモデルが投影されて自動で承認図が作成されるようなツールがあります。コストを抑えつつ、効果的で即効性の高い自動設計を行うことが可能です。また、最近では、オリジナルの設計ツールを使用して、プログラミングレスでの自動設計を行うことも可能になっています。

3. トポロジー最適化

他の方法では、トポロジー最適化を活用した設計自動化の事例もあります。トポロジー最適化を使用することで、材料の配分と形状の最適化により、製品の軽量化や強度向上の実現が可能です。必要な強度を確保しながら不要な材料を削減することができるため、例えば自動車では車両の軽量化により、燃費の向上や環境への負荷の軽減につながります。また、航空機の部品でも軽量化や強度向上により、燃費改善や運航コストの削減を効果的に行うことが可能です。

自動設計ツールの選び方

自動設計ツールを選定する際には、機能性やコスト、サポート体制に注意して選定することが必要です。また、既に導入されているその他のシステムとの互換性も重要です。

高機能になればなるほどコストは高くなりますが、ニーズに合わせて適切に機能を絞ればコストダウンを行うことが可能です。例えば、同じような設計課題が目的であれば、テンプレートやルール化を使用することで時間やコストを節約できます。また、ツールのカスタマイズは、設計自動化の効果を最大限に引き出すために重要な要素であり、使用のニーズに合っていることが重要です。

総合的に検討し、使用用途・シーン・予算などに合ったものを選択することが必要です。

本記事は自動設計ツールを製造・販売する新明和ソフトテクノロジ株式会社様に監修を頂きました。

新明和ソフトテクノロジ株式会社の会社概要はこちら

ステンレス台車

監修:株式会社クラフトワーク

ステンレス台車とは

ステンレス台車

ステンレス台車とは、ステンレス鋼を素材として使用して作られた台車です。

ステンレス鋼は非常に強靭で耐久性があります。台車として使用された場合、耐荷重性能が高い点が特徴です。また、湿気や水分及び化学物質に対しても耐性があり、長期間使用しても劣化が少ない利点もあります。

食品業界や理化学業界など、衛生管理が重要な環境で利用されることが多いです。容易に洗浄・消毒ができるため、清潔に保つことが可能です。

用途によって様々な形状やキャスター素材,部品素材があり,使用場所によって選定が必要です。

ステンレス台車の使用用途

ステンレス台車は様々な場面で使用されます。以下はその一例です。

1. 食品業界

食品加工工場では、ステンレス台車を原材料や製品の移動に広く使用します。例えば、肉や魚介類及び野菜などの生鮮食品や加工食品を製造ラインで運搬します。食品と直接接触しても安全で、清潔な環境を保つために有利な抗菌ステンレスを使用した台車も増えてきています。

また、食品の倉庫や流通センターでも、ステンレス台車が商品の保管からピッキング作業まで幅広く使用されています。食品の安全性と衛生管理が重要視される場所であり、ステンレス台車はその要求を満たす製品です。

2. 理化学業界

クリーンルーム・製薬工場・研究施設などではステンレス台車が器具や機器の運搬に使用されます。錆びや発塵を嫌う現場ではキャスター金具までSUS304製のオールSUS台車を使用します。さらにクリーンルームではエアーを妨げないパンチング穴加工を施したステンレスパンチング台車が,ウエハーなどの搬送には防振器具を装着した防振・帯電防止機能を持ったオールSUS304台車が,製薬工場にはオートクレーブも使用可能なステンレス台車が活躍しています。

ステンレス台車

3. 製造業

自動車製造工場では、エンジン部品や車体部品の移動にステンレス台車が使用されます。ステンレス台車の耐久性と耐荷重性を活用しています。また、化学業界においても、化学物質に対する耐性が高いステレンス台車を化学製品の生産過程で使用します。

4. その他

その他には、ホテルやレストランなどの商業施設で使用される場合もあります。食器や食材の運搬など、特に食品の衛生管理が重視される場所で扱いやすい製品です。また、農業などにおいても、果物や野菜の運搬に活用します。

ステンレス台車の原理

ステンレス台車はステンレス鋼を主要素材として製造されています。フレームや台板,ハンドル及びキャスターなどで構成されます。

フレームは台車の基本的な骨組みとなる部分です。ステンレス鋼製のパイプやプレス板を使用して製造されます。フレームは耐久性と強度が需要であり、台車全体の安定性を保つ役割を果たします。

台板は荷物や物品を載せるための平らな板です。ステンレス鋼製であり、丈夫で滑らかな表面を有します。物品を乗せても変形しない強度があります。               

キャスターは台車の移動を可能にするホイール部品です。ステンレス台車では、特に耐荷重性や耐久性,クリーン度が求められます。

ステンレス台車の選び方

ステンレス台車を選ぶ際は、以下の要素を考量することが重要です。

1. 耐荷重

耐荷重性能は台車が支持できる最大の荷重量を示す指標です。台車に乗せる予定の荷物の重量を考慮して選定する必要があり、余裕を持って支持できる耐荷重性能を選びます。安全性を確保するためには、台車の耐荷重性能が荷物の重量を超えないように選ぶことが重要です。

2. サイズ

台車に乗せる荷物の大きさや形状に応じて、適切なサイズを選びます。荷物と台車がしっかり収まるように、台車の寸法を確認することが重要です。また、通路やドアの幅に合わせて台車の幅を選定する必要もあります。

3. 段数

荷物を段ごとに整理する必要がある場合、段数が多い台車を選ぶと便利です。例えば、製造業の場合、異なる商品を分けて運搬するために複数の段数を有する台車を選ぶことがあります。ブレーキやハンドルの有無なども合わせて選定する必要があります。

4. キャスター材料

キャスター車輪の素材は使用場所や用途によって移動性や耐久性に影響します。汎用性の高いウレタン車輪,ナイロンウレタン車輪や水回りに強いナイロン車輪,半導体工場では導電ゴム,帯電防止ウレタン,オートクレーブ用には耐熱性のあるMCナイロン車輪などがあります。耐食性やクリーン度を重視する場合は、キャスター金具もステンレス製の製品を選定することも多いです。

ステンレス台車

本記事はステンレス台車を製造・販売する株式会社クラフトワーク様に監修を頂きました。

株式会社クラフトワークの会社概要はこちら

聴覚保護具

監修:株式会社アルテックス

聴覚保護具とは

聴覚保護具とは、耳を騒音から保護するためのアイテムです。

19世紀の後半頃、工業化が進む中で、工業作業場や鉱山などの作業場での騒音が問題となり始めました。当初は簡素な形の耳当てや耳栓が使用されていましたが、効果は限定的でした。1950年代以降、産業労働者の健康と安全が重視されるようになり、聴覚保護具の規格化や普及が進みました。

一般的にはイヤーマフや耳栓などが安価で代表的な保護具です。特に騒音の激しい作業場やイベントで使用され、耳へのダメージを防ぎます。使用する場面や必要な保護レベルに応じて、適切に選定することが重要です。

聴覚保護具の使用用途

聴覚保護具は様々な業界で使用されています。以下はその一例です。

1. 建設業

建設現場では重機や工具の騒音が主な問題となります。耳栓やイヤーマフを使用することで、作業者を騒音から保護することが可能です。特に大型機械の操作や建設作業中に積極的に使用されることが多いです。

2. 製造業

工業用機械や生産ラインにおいて、機械の稼働音による騒音が発生する場合も多くあります。その環境下で労働者が長時間の作業が必要な場合には、耳の保護を目的として超赤く保護具を使用します。特に金属加工や自動車製造などの重工業では一般的です。

3. 航空業

航空機の地上整備では、エンジンや航空機構造部品の点検・修理が行われます。この際、エンジンの騒音や風切り音が非常に大きく、特にジェットエンジンの場合は高圧的な騒音が発生します。整備士はこのような騒音から耳を保護するためにイヤーマフを使用することが多いです。

また、通信や指示を聞くためのコミュニケーションが必要な場合も多いです。その際には、コミュニケーションイヤーマフが使用されることもあります。

4. 音楽産業

ライブ会場では、パフォーマー自身やステージの監督及び音響スタッフなどが高い音圧にさらされます。特にドラムの音やアンプからのギターサウンドからの出力音が耳に負担をかけることが多いです。ミュージシャンはイヤーモニターやイヤープラグを使用して、自身の演奏を聴きながらも耳を保護する必要があります。

聴覚保護具の原理

聴覚保護具の多くは、外部の音を耳に届く前に遮断することで聴覚を保護します。これは主に外部からの音波の進入を減少させる仕組みです。

一般的には音波を減少させるために、内部に吸音材料を使用します。これにより、外部からの音が聴覚保護具内で反射または吸収され、耳への到達が阻止されます。軟質のポリウレタンフォームやモノマーフォームなどがその一例であり、周波数帯域に応じて適切に音を吸収するように設計されています。

これらの吸音材を、耳に密閉させることで聴覚を保護します。耳を覆うカップや、外耳道に直接挿入するなどの方法で密閉性を確保する設計が多いです。これにより、外部の音の侵入を最小限に抑えます。

さらに、聴覚保護具は長時間使用しても快適さと効果を確保するために設計されています。耳への圧迫感や熱の発生を最小限に抑えつつ、十分な遮音効果を提供することを目指しています。

聴覚保護具の種類

聴覚保護具にはいくつかの種類が存在します。以下はその一例です。

1. イヤーマフ

耳を覆う形状の保護具で、外部の音を遮断し耳を保護します。耳の周りにクッションやシールがあり、密閉性を高めることで効果を発揮します。主に工業作業場や建設現場、航空業界などで使用されることが多いです。

2. 耳栓

耳の穴に直接挿入する小さな保護具です。シリコンやフォームプラスチックまたは他の柔らかい材料で作られており、耳の形に合わせて調整できます。使い捨てタイプや再使用可能なタイプがあり、音楽業界や工業作業場で広く使用されています。

3. コミュニケーションイヤーマフ

イヤーマフの基本機能に加えて、内蔵マイクやスピーカーを使用してコミュニケーションを可能にする聴覚保護具です。作業中にもチーム内のコミュニケーションを確保しながら、同時に耳を保護することが可能です。

4. ノイズキャンセリングヘッドセット

ノイズキャンセリング技術を使用して外部の騒音を逆位相で打ち消す聴覚保護具です。特に高周波の騒音に対して効果的で、音質を損なうことなく騒音を低減します。電子機器による音楽や音声を同時に流すことが可能です。

本記事は聴覚保護具を製造・販売する株式会社アルテックス様に監修を頂きました。

株式会社アルテックスの会社概要はこちら

レールシステム

監修:シンテック株式会社

レールシステムとは

レールシステムとは従来からある電動クレーンを簡易的に人が引っ張って動作させることができるシステムです。

天吊りすることにより、X・Y方向へ自在に移動させることができます。電動チェーンブロック、エアーホイスト、電動バランサー、エアーバランサーなどの昇降装置と組み合わせて三次元的な動きが可能になります。

レールの素材はスチールとアルミ製があり、耐荷重や操作荷重を考慮しながら選定します。比較的軽い重量のものや1t程度の重量物もスムーズに移動できます。操作荷重は持ち上げるものの重さの1%〜1.5%と言われており、運搬作業を効率的かつ安価に行うことが可能です。

レールシステムの使用用途

レールシステムは、様々な産業シーンで活用されており、主な用途には下記のようなものがあります。

  • 部品や製品の搬送用
  • 搭載補助装置のレール
  • 介護用レール
  • 昇降機器のガイド
  • 農業用途における省力化

製造業では、自動車産業をはじめとして、様々な産業分野で使用されており、主な運搬物には

  • 自動車部品
  • 段ボール/袋物
  • ロール材
  • 電子機器・機械
  • 缶・容器
  • 板材 (木材・鋼板・ガラス)
  • 建築資材

などがあります。また、クリーンルーム対応のレールシステムもあり、クリーンルームを必要とするような製品製造にも利用可能です。

農業分野においては、ビニールハウス内の搬入・搬出や、畑での収穫作業など作業の省力化・効率化などに活用されている機器です。また、介護用途では、病院や施設において、リフトを用いて要介護者を運ぶことに利用されています。居室・病室から、トイレ、浴室、デイルーム、リハビリ室や、手術室などへの移動に活用されています。

レールシステムの原理

1. 構成

レールシステムは、レールの他、下記のような部品から構成されています。

  • ハンガー:  上部の梁からランウェイレールを吊る金具
  • エンドトラック: ランウェイレールとガーターレールをつなぐ金具
  • トロリー: ホイストやバランサーを吊るす、レールの中を通る滑車
  • エンドキャップ: レールの端部に取り付ける金具
  • 中間ストッパー: トロリーやエンドトラックの停止位置を調整する可動式の金具

これらの部品と、直線レールやカーブレールを組み合わせて搬送経路が構築されます。万一トロリーが破損しても落下することの無いよう、落下防止ピンなどの装置が取り付けられていることが多いです。ハンガーやエンドトラックには、レール貫通式のボルトが入っているなど、製品によって落下の危険性を少なくする工夫があります。

2. レール

レールシステムには主にアルミ製とスチール製があります。

アルミレールは押出成形によって製造されるレールです。軽量で走行性・操作性ともに高く、腐食しにくいことが特徴です。サビが出ないため、作業空間を衛生的に保つことができ、劣化・破損のおそれも小さくなります。また、自重がスチールレールに比べて軽いので、操作荷重が小さいこと、耐荷重がスチール製に比べて小さいことも特徴です。

スチールレールは、アルミレールに比べて強度が大きいレールです。そのため、耐荷重が大きくなります。また、価格が安いという特徴があります。

レールシステムの選び方

レールシステムには様々な種類があります。形状には天井設置型や懸垂型があり、作業場所に合わせて選択されます。

また、前述の通りレールの材質にはアルミとステンレスの種類があり、レールの耐荷重は、材質やレールピッチ (長さ) 、使用するハンガーなどによって異なります。使用したい場所の可動範囲と耐荷重に合わせてコース設計・レール敷設を行うことが必要です。一般的には、レールピッチが短い方が耐荷重が大きくなります。レールは1mから1m刻みで6mまでの長さで製造されていることが多いです。最も短く耐荷重の多いものでは推奨荷重で1000kgまで耐え、レールが長く耐荷重の小さいものでは推奨荷重数十kg程度になります。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

本記事はレールシステムを製造・販売するシンテック株式会社様に監修を頂きました。

シンテック株式会社の会社概要はこちら

DfAM設計サービス

監修:Primal Design.Labo合同会社

DfAM設計サービスとは

DfAM設計サービスとは、主に3Dプリントのための設計手法であるDfAMを行うサービスです。

DfAMとは、Design for Additive Manufacturing (付加製造のための設計) の略称です。付加製造とは材料を積層しながら立体造形する製法を意味しており、今日では一般的に3Dプリントのことを指します。既存の3D CADによる設計の多くは、切削加工や射出成形といった従来工法が前提とした設計です。そのため、単にこれらを置き換えるだけでは、3Dプリンタならではの強みやメリットを最大限に発揮することは難しくなっていました。DfAMは、3Dプリンタ特有の検討事項を検討したり、3Dプリンタの機能を生かした設計を実現したりすることに活用されています。

DfAM設計サービスの使用用途

DfAM設計サービスは主に3Dプリンタによる造形を行うために活用されているサービスです。使用される主な用途・目的として、

  • 部品形状の最適化、軽量化、熱マネジメント
  • 複数部品の一体化 (従来工法で不可能な複雑な構造の実現)
  • 部素材の機能や構造の最適化解析

などが挙げられます。部品形状の最適化では、特定の力に耐え得る形状の造形などが可能であり、部品の軽量化では、部品の中身などをラティスと呼ばれる格子構造にすることで従来のパーツを軽量化させることが可能です。DfAMを用いて複数のパーツを統合させることにより、機能性を損わずに (或いは増幅して) 組立てパーツの数を減らすことができます。また、パーツの数を減らすことにより、複数パーツのアセンブリに関わる時間や組立コストを削減することが可能です。

これらの技術は、車両、航空機、宇宙工学、電子部品、工具など、様々な製造現場・分野で活用されています。また、人工骨やインプラントなどの医療分野でも使用されている技術です。

DfAM設計サービスの原理

1. 概要

DfAMは、3Dプリンタならではの設計を可能にする設計手法です。主な設計要素には

  • インフィルの設計
  • トポロジー最適化
  • ジェネレーティブデザイン

などが挙げられます。

また、設計時にパーツの形状 (壁の厚さや自立する形状など) が3Dプリントに適切であるかどうかをチェックし、データを修復 (ノイズや穴など) したり、編集 (サイズオーバー、反り防止など) したりする機能もあります。

2. インフィル

インフィルとは、3Dプリントにおいて製品の内部を埋めるために使用される素材の形状パターンや密度です。インフィルのパターンには格子状、ハニカム (蜂の巣)、線形など、さまざまな形状があります。代表的なインフィルの構造にはラティス構造とポーラス構造があります。3Dプリントにおいては、内部の密度を下げて造形速度を速くすることが可能です (インフィルレート調整) 。

  • ラティス構造とは、格子状の構造です。素材の使用量を削減しつつ軽量化と強度の両方を実現できることが特長です。
  • ポーラス構造とは、多くの小さな空隙 (ポーラス=孔) を持つスポンジや軽石のような構造です。物体の表面積を大きくすることができ、冷却効率が向上します。そのため、金属3Dプリンターで特に適用されています。また、骨に似た構造のため、人工骨やインプラントなど医療分野でも使用されます。

3. トポロジー最適化

トポロジー最適化とは、材料の配置を最適化する手法です。元となるデザインに対して負荷の条件を設定し、最適化シミュレーションが実行されます。使用する材料を少なく保ちながら、大きな強度を持つ製品を設計することができます。

4. ジェネレーティブデザイン

ジェネレーティブデザインは、AIやアルゴリズムなどを使用して、多数の設計案を生成する手法です。トポロジー最適化と組み合わせて使用されますが、トポロジー最適化がオリジナルのデザインをシミュレーションによって最適化するのに対し、ジェネレーティブデザインは目的と要件からデザインを生成します。

設計者は要件を入力し、システムがそれを満たす多様な設計案を提供するため、これまでの常識にとらわれない斬新な形状設計が可能であるとされます。

DfAM設計サービスの種類

DfAM設計サービスは、製品製造の様々なステップで活用することができます。具体的には

  • 工法・機種選定
  • 機構部設計
  • 形状の最適化
  • 部品点数削減
  • メタマテリアルやメカニカルマテリアルの提案

などのサービスがあります。

製品の構造や工法を最適化するほか、メタマテリアルやメカマテリアルなどの提案では、自然界には無い振る舞いをする構造体、及び、形状や材質を制御して目的の機械的振る舞いをする構造体を提案することが可能です。既存のCAD/CAMなどと連携するサービスも各種用意されています。

本記事はDfAM設計サービスを提供するPrimal Design.Labo合同会社様に監修を頂きました。

Primal Design.Labo合同会社の会社概要はこちら

緩衝材

監修:司フエルト商事株式会社

緩衝材とは

緩衝材とは、物品や製品を衝撃や振動から保護ために使用される材料です。

緩衝材を使用することで、運送中または取り扱い中の損傷を防ぐことができます。特に壊れやすい高価な製品にとって重要です。緩衝材によって顧客への商品到着時の品質が保たれ、返品やクレームのリスクを減らすことが可能です。

近年では、再利用可能な材料や生分解性材料を使った緩衝材が増えています。環境に配慮した包装ソリューションを提供することで、企業の持続可能性戦略をサポートすることが可能です。

緩衝材の使用用途

緩衝材は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 電子機器業界

スマートフォンやタブレットは非常にデリケートであり、小さな衝撃でも損傷を受ける可能性があります。運送中や販売時には、エアーパッキンやプチプチなどの緩衝材を使用し、デバイスの画面やボディを保護します。また、ハードディスクドライブやグラフィックスカードなどのコンピューター部品は精密機器であり、静電気防止のバッグなどで保護することが一般的です。

2. 医療機器業界

MRI機器や手術用器具などの医療機器は非常に高価であり、機能が正確であることが要求されます。これらの機器は輸送中の振動や衝撃から保護されるために、特別に設計された緩衝材が使用されます。例えば、耐衝撃性のあるフォームやカスタムメイドの内部パッケージが使用されることも多いです。

また、医療研究機関や病院では、試験管やガラス器具が使われることがあります。これらの研究用具は輸送中に破損する可能性があり、泡状の緩衝材やフィルムで適切に保護されます。

3. 食品業界

ワインや調味料などの食品はガラス瓶などで包装されることが多いです。これらの容器は輸送中の振動や衝撃で割れる可能性があるため、泡状の緩衝材やエアーパッキンを使用して商品の安全性を確保します。また、生鮮食品の梱包材は輸送中の温度変化から保護する役割も有します。

4. オンライン小売業界

オンライン小売業界では、消費者に直接商品が送られるため、適切な包装と緩衝材の使用が極めて重要です。商品は様々なサイズや形状であり、それぞれに適した緩衝材が選ばれ、商品が安全に到着するようにしています。

緩衝材の原理

緩衝材は衝撃を吸収することで、そのエネルギーを分散します。力を均一に分散させることで、物品への負荷を軽減します。衝撃を一点に集中するよりも広い面積で受けることで、表面や角にかかるストレスを軽減し、割れや曲がりを防ぐことが可能です。

特に長距離輸送や不安定な環境での輸送では、振動が製品の品質に悪影響を及ぼす可能性があります。適切な緩衝材を使うことでこれを防ぐことが可能です。

一部の高価な商品に対しては、固有の緩衝材が使用されます。特定の商品に最適化された緩衝材は、その商品の形状や重量に合わせて設計されています。これにより、最小限のスペースで最大限の保護効果を得ることが可能です。

緩衝材の種類

緩衝材には様々な種類があります。以下はその一例です。

1. 発泡スチロール

発泡スチロールは気泡を含ませたポリスチレン素材です。泡の中に空気が含まれており、これによって衝撃吸収性が向上します。一般に軽量でありながら効果的な緩衝材で、梱包材料として広く使用されています。

2. エアパッキン

小さな気泡が連なったフィルムに空気を充填した緩衝材です。気泡緩衝材やプチプチとも呼ばれます。柔軟性があり、様々な形状に対応できる点が利点です。

3. ジェル緩衝材

柔らかく粘性のあるジェル状材料を使用した緩衝材です。素材としてはシリコンやポリマーなど、化学的に安定した物質が使用されます。衝撃吸収性や振動吸収性に優れているだけでなく、形状も商品に合わせて変更できる点が特徴です。

4. フェルト

フェルトは繊維製品を圧縮して製造した緩衝材です。商品を包むことで表面の保護しつつ、衝撃を吸収することができます。特にガラス製品や金属部品などに適用し、表面を傷つけるリスクを減らすために利用されます。

本記事は緩衝材を製造・販売する司フエルト商事株式会社様に監修を頂きました。

司フエルト商事株式会社の会社概要はこちら

IR照明

監修:株式会社ユーテクノロジー

IR照明とは

IR照明とは、赤外線領域の波長の光 (赤外光) を発光する照明です。

赤外線 (IR) は、可視光線の赤色より波長が長く (約800nm以上) 、人間の肉眼で見ることはできません。赤外線はカメラなどのセンサーで検知され、IR照明は特に赤外対応レンズ・カメラと併用して使用され、赤外線の透過性や水分に吸収される特性を用いた製品検査に利用されています。リング照明、バー照明など、様々な形状の種類があります。

IR照明の使用用途

赤外線は、可視光では検出が難しいものを検出したり、物質を透過して撮像できるため非破壊検査に用いられたりします。また、可視光域に化学反応してしまう物質の検査にも赤外線撮影は有効です。

IR照明はこのような赤外線の特性を用いた検出において、その光源として使用される照明です。各種産業的検査の他、監視カメラなども赤外線カメラは使用されており、夜間や低照度環境において、赤外線照度を補う目的でIR照明が使用されます。主な検査には下記のようなものがあり、半導体、ウェハー、電子基板、太陽電池、農産物、食品、偽造防止、工程品質管理などの分野で活用されています。

  • 基板やシリコンウエハの検査
  • パッケージ製品の内容物検査や異物検出
  • ブラシ製品などの樹脂部分内部の検査
  • 完成品や内容物の検査
  • 工業製品・食品の水分の可視化・検出
  • 基板やシリコンウエハの検査
  • 液体の透過による内部の異物検査
  • 表面の印刷や塗装面を透過しての非破壊検査

IR照明は、これらの検査における光源として利用されています。また、波長域が狭いため、一般的なランプと比較しても照射熱が少ないため、熱によるダメージを受けやすい対象物の取り扱いにも適しています。

IR照明の原理

IR照明には、主に赤外線LEDが使用されています。赤外線LEDは発光ダイオードの一種です。赤外線LEDで照射される赤外線は、赤外線の中でも特に近赤外線 (NIR) と呼ばれる波長740nm~1000nmの領域や、短波赤外波長 (SWIR) と呼ばれる1000nm~1700nmの領域の光です。一般的にSWIRのほうが透過性が良いとされています。

紫外光や可視光と比較すると赤外光は散乱率が非常に小さいため透過率が高くなります。物質の中には、可視光を通さないものでも赤外線を透過するものが在るため、赤外線は透過検査に利用することができます。シリコンウエハ・パッケージ・液晶・活字を透過して検査・観察したり、有色液中の状態を把握することが可能です。

また、水は1450nm付近の波長を吸収するため、水分の有無を利用する検査に適しています。850nm波長の光では水を透過してしまいますが、1450nmの光は水に吸収されて黒く映ります。

IR照明の種類

IR照明には様々な種類の製品があります。光源にはLEDが使用される事が多く、製品によってピーク波長は異なっています。一般的には、780nm、850nm、940nm、1050nm、1100nm、1200nm、1300nm、1450nm、1550nm、1650nmなどの波長の種類があります。一般的なCMOSカメラの感度がおおよそ1000nmまでということもあり、波長850nmの照明は特に多くの製品が販売されています。

リング照明、バー照明、面発光型照明、ドーム型照明、スポット照明、ファイバー照明、光源照明、投光照射照明などの形状があり、用途に合わせて使い分けることが可能です。スポット照明や投光照射照明は、遠距離から明るく集光照射することに適した製品と、近距離から広範囲を照射することに適した製品などの種類があります。

また、その他にも、赤外線監視カメラで広い範囲を監視したい場合などには、赤外線投光器が用いられています。

本記事はIR照明を製造・販売する株式会社ユーテクノロジー様に監修を頂きました。

株式会社ユーテクノロジーの会社概要はこちら