データ消去装置

監修:アドバンスデザイン株式会社

データ消去装置とは

データ消去装置とは、電子機器や記録メディアに保存されたデータを抹消し、復元不可能な状態にするための専用機器やツールを指します。

現代では、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが高まる中、データの適切な管理と消去は重要な課題です。ゴミ箱を空にする操作やフォーマットなど、通常の削除操作ではデータが適切には消去されず、専用の復元ツールを使用することで簡単に復元できることがあります。そのため、特に機密情報を扱う企業や団体では、データ消去装置の使用が不可欠です。

データ消去装置は、ハードディスクドライブ (HDD) 、ソリッドステートドライブ (SSD) 、フラッシュメモリ、CD/DVDなど、さまざまな記録媒体に対応しており、物理的な破壊や磁気消去、ソフトウェアによる上書き消去など、複数の方法でデータを安全に処理します。

データ消去装置の使用用途

1. 機密情報の漏洩防止

企業や団体では、従業員の個人情報、顧客データ、財務情報、知的財産など、多くの機密情報を扱っています。不要になった機器やメディアをリース返却・廃棄する際、データが不正に取得されるリスクを防ぐために、確実なデータ消去が必要です。

2. 法令遵守

多くの国や地域では、個人情報や機密データの適切な管理を義務付ける法律が存在します。日本では個人情報保護法やサイバーセキュリティ基本法が例として挙げられます。データ消去装置を使用することで、これらの法規制に準拠したデータ処理が可能です。

3. 電子廃棄物の安全な廃棄

不要になったパソコンやサーバーを廃棄する際、機器内に残されたデータが流出しないように処理することが重要です。データ消去装置を使えば、廃棄前に確実にデータを消去できます。

4. リユース・リサイクルの準備

企業や団体では、不要になった機器を再利用する場合や、他社へ譲渡する際にもデータ消去装置が役立ちます。使用済みのデバイスを再利用する場合でも、事前にデータを消去することで情報漏洩のリスクを抑えられます。

データ消去装置の種類

データ消去装置にはいくつかの種類があり、用途や消去対象に応じて選択することが重要です。

1. 物理破壊装置

物理破壊型のデータ消去装置は、記録メディアを物理的に破壊することでデータを読み出し不能とします。例えば、シュレッダーや穿孔・鯖折り機などです。物理破壊はHDDだけではなく、SSDやその他の記録メディアに対して用いられますが、破壊されていない部分にはデータが残存しているという事実は認識しておく必要があります。

2. 磁気データ消去装置 (デガウザー)

磁気データ消去装置は、装置内に瞬間的に強力な磁界を発生させ、装置に入れた磁気記録メディアの記録面の磁化方向をを強制的に変えることで、元のデータを無効化します。HDDや磁気テープに有効です。短時間で大量に消去作業を行うことができ、複数のメディアを処理する際にも適しています。しかし、磁気記録ではないSSDや光学メディアのデータは消去できません。

3. ソフトウェア消去

ソフトウェアによるデータ消去は、特定のアルゴリズムを用いて記録媒体上のデータに0や1、ランダムな数値を上書きする方法です。記録媒体の再利用が必要な場合には、ソフトウェア消去が必須となりますが、全領域にデータを書き込む必要があるため、どうしても時間がかかってしまうというデメリットはあります。パソコンやサーバに搭載されたHDDやSSDに対応しています。ただし、故障したHDDやSSDの処理はできません。

データ消去装置の選び方

1. 対象メディアの種類

消去対象がHDD、SSD、光学メディア、USBメモリなど、どのメディアであるかの確認が必要です。一部の装置は特定のメディアにしか対応していないため、対応範囲を事前に確認する必要があります。

2. 消去の確実性

消去後のデータ復元リスクを最小限にするため、信頼性の高い装置を選ぶことが重要です。国際的なセキュリティ基準 (例: NIST SP 800-88やDoD 5220.22-M) に準拠していることが求められる場合もあるので、確認する必要があります。

3. 作業効率

処理速度や同時に処理できるメディアの数も選択する上での大切な要素になります。大量のデバイスを処理する場合には、効率的な装置が必要です。リソースの状況によっては信頼のおける外部のデータ消去事業者に依頼することも検討する価値はあります。

4. コスト

予算に応じて選択することも重要です。専門のデータ消去装置は、長期で使用できるものの決して安くはありません。必要に応じて機器のレンタルサービスを活用するのも一つの方法です。

5. 環境への配慮

廃棄物を最小限に抑えるため、今では循環型経済の実現を目指してPCやサーバを買い取りに出す選択肢もでてきました。通常であれば廃棄費用が発生するところを、逆に買い取ってもらえるためコスト面でも大変有効です。

本記事はデータ消去装置を製造・販売するアドバンスデザイン株式会社様に監修を頂きました。

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