自動設計ツール

監修:新明和ソフトテクノロジ株式会社

自動設計ツールとは

自動設計ツールとは、各種パラメーターを設定して仕様に合った3Dモデルや図面を自動生成するプログラムです。

あらかじめプログラミングされた設計ルールやロジックを元に、3D CADなどを活用して設計を行うシステムや、AIを駆使して設計を行うようなシステムなど設計の自動化度合いには様々な製品があります。特に、マスターモデルから各顧客に合わせた細かな仕様変更・寸法変更を行うような設計での使用が多く、構成部品・関連部品や図面まで自動で変更することができます。全ての変更を人の手で行う必要がなくなるため、作業時間短縮や人件費の削減、ヒューマンエラーの削減などの業務効率化に活用されています。

自動設計ツールの使用用途

自動設計ツールは、様々な製造業分野で部品や製品の設計に使用されています。具体的な活用事例には下記のようなものがあります。

  • 鋼鈑桁橋
  • 鉄道信号装置 (自動列車制御装置、列車集中制御装置、連動装置)
  • 自動車部品
  • 航空機部品
  • 産業機械
  • 送風機などの風力機械
  • 構造設計などの建築設計

製造現場では、手作業で設計をする場合、一箇所サイズを変更するために、それを取り巻く周囲の部品のサイズや配置に多大に影響を及ぼし、管理が難しく、見積り・設計・エンジニアリングの作業が煩雑で時間がかかり、エラーが発生しやすくなります。例えば水処理システムの沈殿ユニットの設計仕様を作成するには100以上の図面が必要なため、複雑な設計により修正にかなりの工数がかかってしまいます。しかしこれらの作業も自動設計ツールであれば効率的に工程を進めることが可能です。また精密な設計が必要箇所など、自動設計ツールは顧客ニーズに合わせてカスタム設計がされることがあります。

自動設計ツールの原理

1. 概要

自動設計ツールは、自動化の程度によっていくつかの段階があります。自動化の程度が簡易的であるほど、コストを抑えることができます。例えば、AIを用いて最適な設計を算出するシステムも自動設計ツールですが、簡易的なルールやマスターモデルを設定しておき、仕様の変更・修正に合わせて数値を入力すると自動で修正数値や図面を出力するようなシステムも自動設計ツールの一種です。

2. テンプレート設計

テンプレート設計は、ひな型であるマスターモデルに3Dモデルや図面にパラメーターを設定しておき、最低限のプログラムで自動設計を実現する手法です。仕様に応じた組み立てモデル、部品、図面がすべて自動で出力されます。例えば、Excelシートに条件を入力すると、ひな型モデルが変形して3Dモデルが完成し、更に3Dモデルが投影されて自動で承認図が作成されるようなツールがあります。コストを抑えつつ、効果的で即効性の高い自動設計を行うことが可能です。また、最近では、オリジナルの設計ツールを使用して、プログラミングレスでの自動設計を行うことも可能になっています。

3. トポロジー最適化

他の方法では、トポロジー最適化を活用した設計自動化の事例もあります。トポロジー最適化を使用することで、材料の配分と形状の最適化により、製品の軽量化や強度向上の実現が可能です。必要な強度を確保しながら不要な材料を削減することができるため、例えば自動車では車両の軽量化により、燃費の向上や環境への負荷の軽減につながります。また、航空機の部品でも軽量化や強度向上により、燃費改善や運航コストの削減を効果的に行うことが可能です。

自動設計ツールの選び方

自動設計ツールを選定する際には、機能性やコスト、サポート体制に注意して選定することが必要です。また、既に導入されているその他のシステムとの互換性も重要です。

高機能になればなるほどコストは高くなりますが、ニーズに合わせて適切に機能を絞ればコストダウンを行うことが可能です。例えば、同じような設計課題が目的であれば、テンプレートやルール化を使用することで時間やコストを節約できます。また、ツールのカスタマイズは、設計自動化の効果を最大限に引き出すために重要な要素であり、使用のニーズに合っていることが重要です。

総合的に検討し、使用用途・シーン・予算などに合ったものを選択することが必要です。

本記事は自動設計ツールを製造・販売する新明和ソフトテクノロジ株式会社様に監修を頂きました。

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