ワイヤレス温度センサーとは
ワイヤレス温度センサーとは、電源などの有線接続を必要とせず配管温度などを測定することができる温度センサーです。
従来型の有線の温度センサーでは、長い電源ケーブルを必要としたり、設置場所に制約がある場合があります。ワイヤレス温度センサーは、そのような制約を必要とせず、設置したい場所に設置することが可能です。工業的用途として配管温度の測定やコンクリート内部温度の測定などの温度監視などに用いられる他、教育用として理科学実験に使用されることもあります。電源ソースは主にバッテリー内蔵型と自己発電型に分かれます。
ワイヤレス温度センサーの使用用途
ワイヤレス温度センサーの主な用途は、産業用途における温度監視です。主な用途には下記のようなものがあります。
- 配管温度の測定
- 機械の状態監視 (プロセス産業や半導体工場におけるポンプ、モーター、圧縮機、ギアボックスなど)
- コンクリート内部温度の測定
- 小売・食品業における温度監視 (スーパーマーケット・ビニールハウス・保冷室・養殖場・保冷車)
特に、配管温度や機械の状態監視では、発電所、化学工場、石油精製所、食品加工施設など幅広い産業分野での活用が可能です。
また、ワイヤレス温度センサーは、教育用としても利用されています。温度の変化に関係する理科の単元は小学校から高校まで多々有り、様々な用途で利用することができます。過冷却・蒸留・中和熱などをはじめとする様々な実験で使用されており、防水型の製品は屋外で使用することも可能です
ワイヤレス温度センサーの原理
1. 測定機構
ワイヤレス温度センサーは、熱電対やサーミスタ、測温抵抗体などの一般的な温度センサーを使用して温度を感知しています。熱電対とは、2種類の金属を接続し、温度差で発生する起電力を使った温度センサーです。サーミスタや測温抵抗体は、物質抵抗と温度の相関をとることにより温度測定を行うセンサーです。
サーミスタは、狭い温度範囲を小型・高感度で測定するという特徴があり、測温抵抗体は広い温度範囲を直線性良くカバーできるもののサーミスタより感度が低いという特徴があります。尚、サーミスタには温度が上がると抵抗値が線形的に下がるNTCサーミスタと温度上昇時に抵抗値が大きくなる非線形的なPTCサーミスタとがあり、一般的に使用される素材は、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄などの金属酸化物を主成分とした半導体セラミックです。測温抵抗体の主な素材は、白金、ニッケル、銅です。
2. 動力源
ワイヤレス温度センサーの動力源には、バッテリー内蔵型や、自己給電・発電型の製品があります。バッテリー内蔵型では、CR2032などのボタン電池や単3電池、単4電池、リチウム電池など、様々な種類があります。
また、バッテリーを必要とせず、自己給電が可能な種類の製品では、周囲の熱や振動などの発生源から周囲の廃エネルギーを収集して動作します。エネルギーソースには、温度差、振動、日光、磁場などが含まれます。バッテリーメンテナンスが不要となり、運用コストを削減することが可能です。
データの送受信
ワイヤレス温度センサーは、データロガーとのデータの送受信において、Wi-Fi、Zigbee、Lora、LoRaWAN、Bluetoothなどの各種無線通信を使用しています。製品や用途によって適したデータ通信方法が選択されます。例えば、LoRaWANは受信感度と電波干渉耐性に優れ、理想的な通信環境で10 km 以上の通信距離を実現することが可能であるため、作業エリアが広範囲に及ぶ場合に適しています。
ワイヤレス温度センサーの種類
ワイヤレス温度センサーには前述のように様々な種類があり、例えば、用途別では産業用配管測定や、機械測定、教育機関用理科学実験、などの種類があります。
測定温度範囲は製品によって異なるため、適したものを選択することが必要です。測定インターバルも製品によって異なりますが、リアルタイムデータ表示が可能なものもあります。防水規格のIP66/IP67を取得している製品は、水を扱う現場や屋外で使用することが可能です。
また、製品によっては防爆認証を取得しているため、石油化学プラントや塗装工場、薬品工場などの可燃性ガスを取り扱う工場や設備の第一類危険箇所に設置することができます。