監修:高砂化工機株式会社
反応槽とは
反応槽とは、内部で化学反応を安全かつ効率的に行う密閉構造の容器です。
化学薬品や原料を投入し、温度・圧力・撹拌効率速度などの条件を精密に制御して所望の生成物を得る装置です。内部はステンレスやガラスライニングなどの耐腐食性材料で造られ、内容物が外部と接触しないよう、ガスケットやメカニカルシールで気密性を確保します。槽体の外周にはジャケットやコイルが取り付けられ、温水・蒸気・熱媒あるいは冷媒などを循環させることで温度制御が可能です。
さらに、モーターを使用して撹拌翼を回転させる構造(撹拌機)を採用する(撹拌槽)ことで、液体を均一に混合して反応効率を高めます。圧力計,温度計,pHセンサーなどの計測機器を取り付け、リアルタイムで反応状態を監視できる点も大きな特徴です。反応の種類に応じて連続式・バッチ式などの形式が存在します。
なお、使用条件によっては、圧力容器(第一種圧力容器、第二種圧力容器、小型圧力容器)や消防法(危険物取扱設備,20号タンク)の適用を受けます。
反応槽の使用用途
反応槽の使用用途は、主に以下の通りです。
1. 化学プラント
化学工業の分野では、樹脂や塗料の製造に活用されます。化学製品の場合は、密度や粘度などの制御が重要となるため、撹拌強度や添加物の投入タイミングを調整しやすい構造が重宝されます。また、塗料の製造工程では顔料や溶剤の分散が仕上がりに大きく影響するため、反応槽の撹拌性能が品質を左右する要素のひとつになります。なお、内容物が消防法上の危険物に該当する場合は、危険物取扱設備や,消防法20号タンクの適用を受けます。
2. 医薬・化粧品などの合成工程
反応槽は、医薬品や化粧品などの合成工程で盛んに活用されます。反応槽内で温度や撹拌の条件を最適化することで、薬効の高い製品を生成することが可能です。これらの合成には、精密な温度制御や撹拌速度の調整が欠かせません。高い再現性が求められる研究開発の現場でも、多様な設定が可能な反応槽が有用とされています。
3. 環境施設
環境施設でも、反応槽は重要な役割を果たします。例えば、水処理施設では有機物や不純物を分解する生物反応を促進するために利用されます。バイオ燃料の製造過程でも、原料を分解する発酵反応に用いられ、再生可能エネルギーの普及に貢献しています。
本記事は反応槽を製造・販売する高砂化工機株式会社様に監修を頂きました。
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