ポリイミド樹脂とは
ポリイミド樹脂とは、芳香族系のポリイミド構造を有する高性能な合成樹脂の一種です。
耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、機械的強度などに優れた特性を持つ「スーパーエンプラ (スーパーエンジニアリングプラスチック) 」に分類されています。その分子構造にはイミド結合 (–CO–NH–CO–) を含み、高温環境下でも物性が劣化しにくい点が最大の特徴です。
ポリイミド樹脂の特性
ポリイミド樹脂は、熱硬化性と熱可塑性のタイプが存在しますが、以下のような特性を持つものです。
- 耐熱性に優れており、耐熱温度は450°C以上とされている
- 誘電率、体積固有抵抗等の電気特性が、極低温から高温までほとんど変化しない
- 熱膨張率が小さく、熱収縮率も低い、寸法安定性が高い
- 熱伝導率が高い
- 難燃性に優れている
- ほとんどの有機溶剤に溶解しない。高温でも対化学薬品性に優れる
ポリイミド樹脂の使用用途
ポリイミド樹脂の優れた特性により、その用途は非常に多岐にわたります。以下に代表的な使用例を紹介します。
1. 電子・電気分野
電子・電気分野では、ポリイミドフィルムが柔軟基板 (FPC) や絶縁材料、半導体のパッケージングに使われています。これらの用途では、耐熱性と電気絶縁性が重要視され、ポリイミドの特性が理想的にマッチします。近年では、5G通信や高密度実装技術にも対応できる材料としての注目も高まっています。
2. 航空宇宙産業
航空宇宙産業では、軽量で耐熱性に優れた材料が求められるため、機体内部の断熱材やケーブル被覆材、コンポジット材のマトリックス樹脂として使用されています。宇宙空間の極端な温度変化にも耐えることができる点が強みです。
3. 産業用機械・自動車分野
産業用機械や自動車分野でも、ポリイミド樹脂は高温下での摩耗に強い部品に利用されています。具体的には軸受やシール材などです。また化学プラントなどでは、耐薬品性を活かしたパッキンやライニング材にも応用されています。医療機器や光学機器への応用も進んでおり、今後はさらなる用途拡大が期待されています。