スクリューコンプレッサとは
スクリューコンプレッサとは、スクリューを使用したコンプレッサのことです。
スクリューコンプレッサは、容積型コンプレッサの1種で、スクリューローターの回転により、スクリューとケーシングとの間の容積を変化させて気体を圧縮します。
スクリューローターは、らせん状のローターで、ケーシングとの間の閉じられた空間が圧縮チャンバーです。ローターの回転により連続圧縮するため、レシプロ式コンプレッサに比べ、振動と騒音が小さく、中~大容量のコンプレッサーに多く使われます。
スクリューコンプレッサの使用用途
スクリューコンプレッサの用途は、大きく分けると、空気圧縮機とガス圧縮機とがあります。
1. 空気圧縮機
ほとんどの工場には圧縮空気ラインがあり、多くの生産用機器・設備に圧縮空気が使用されています。中大型のコンプレッサで最も普及しているのは、スクリューコンプレッサです。
圧縮空気の用途は多岐にわたっています。力の伝達・作動では、ドリル・ハンマー・グラインダなどの空圧工具、鉄道車両のエアブレーキ、エアモータ、エアクランプ、エアホイストなどに使われます。
製造プロセスでは、PETボトルなどの成型、飲料・砂糖・セメントなどの粉体輸送、サンドブラスト・ショットブラストなどの表面処理、トンネル、エアジェットルーム、清掃エアガン・農業・ゴルフ場などの用途です。
また、制御・調整では、水道水水質調整・土壌改良・製氷などのエアレーション、都市ガスカロリー、半導体ボンディング、制御パネル冷却・薬品・ベニヤプラントなどの乾燥・冷却にも使用されます。
2. ガス圧縮機
スクリューコンプレッサは、空気以外の各種ガス用の圧縮機に使用されます。最も多いのは、空調・冷凍用の冷媒圧縮機です。主として、中大型の設備用です。
空調用では、ビルのセントラル空調ユニットや地域冷暖房設備などに使用されます。多いのは、チリングユニットと呼ばれる冷水・温水の供給装置です。
冷凍冷蔵用では、製氷設備、冷凍倉庫、スケートリンク、ショーケースなどの用途です。冷凍・冷蔵ユニットあるいは、コンデンシングユニットと呼ばれます。
スクリューコンプレッサの原理
1. スクリューコンプレッサの工程
スクリューコンプレッサは、スクリューローターとケーシングとの間の閉じられた空間チャンバーの容積を変えることで圧縮します。ローターの回転に伴い、この空間チャンバーは軸方向に移動し、作動ガスの吸い込み、圧縮、吐き出しの各工程を連続で行います。
吸入工程は、チャンバーが吸入口と連通し、チャンバーの容積が徐々に拡大して、ガスを吸い込みます。閉じ込みが完了すると圧縮工程となり、容積が小さくなって圧縮完了です。チャンバーが吐き出し口と連通すると、吐き出し工程となり、容積がさらに小さくなり、吐き出します。
2. レシプロコンプレッサとの違い
レシプロコンプレッサでは、吸い込み口と吐き出し口に吸入弁と吐出弁を設け、シリンダ内の圧力に応じて弁が交互に開閉することで、吸い込みと吐き出しが機能します。一方、スクリューコンプレッサは、弁がなく、構造的に吸い込み口と吐き出し口は常に開いた状態です。
スクリューコンプレッサの圧縮チャンバーが軸方向へ移動する過程で、吸い込み口だけに繫がっているのが吸入工程であり、どちらにも繋がっておらずチャンバー容積が減少するのが圧縮工程です。そして、吐き出し口にだけ繋がるのが吐出工程です。
スクリューコンプレッサの種類
スクリューコンプレッサは、給油式とオイルフリー式の2種類があります。
給油式は、潤滑オイルをコンプレッサの高圧を使って、圧縮チャンバーに射出します。そして、スクリューの摺動部のシール及び軸受の潤滑を行います。オイルセパレータにより、圧縮ガス中のオイルを分離しますが、ある程度のオイルが残って、圧縮ガス中に含まれます。一般の産業用です。
オイルフリー式は、スクリューの表面をシール材でコーティングし、オイルレスベアリングを使用します。オイルレスベアリングの種類は、樹脂系、複層系、金属系などです。食品工場や半導体・化学工場など、オイルを嫌う所に使用されます。
スクリューコンプレッサのスクリューの数による種類があります。単軸型のシングルスクリュー圧縮機、2軸型のツインスクリュー圧縮機、3軸型のトリプルスクリュー圧縮機です。
スクリューコンプレッサのその他情報
スクリューコンプレッサとオイル
給油式コンプレッサでは、スクリューローターが噛み合いながら回転することでガスを圧縮し、オイルを圧縮チャンバーに射出します。この時、オイルはミスト状となり、高温・高圧なガスと共に攪拌されます。オイルの役目は、ローター間の隙間を埋めることにより、圧縮される気体の漏れ防止と発熱の抑止です。
酸素、高温、水というオイルの劣化を加速させる過酷な条件が揃っています。そのため、スクリューコンプレッサで使用されるオイルには、過酷な条件、中でも熱酸化に耐えうることが必要です。オイルセパレータの目詰まりによって、温度が上昇し機械が停止する等の重大なトラブルが発生する場合があります。 適切なオイルの選定と定期交換が必要です。