APHA (ハーゼン単位色数) とは
APHA (ハーゼン単位色数) とは、ハーゼン単位色数とか白金-コバルトスケールとも呼ばれ、溶剤、石油類、可塑剤、化学品の原料など、常温で液体の化学製品、又は加熱して溶融状態になる化学製品の着色度合いのことです。
1リットル中にヘキサクロロ白金イオンの形態で1ミリグラムの白金と、塩化コバルト (Ⅱ) 六水和物2ミリグラムを含む溶液の色を1とする尺度です。
APHAという名称は、ワシントンD.C.に本拠を置く米国で最大の公衆衛生専門家の組織である米国公衆衛生協会APHA (英: American Public Health Association) にちなんで命名されています。
元々は廃水の色を表すことを目的としていましたが、その用途は他の産業用途にも拡大されています。 APHAカラーは、透明から黄色がかった色の液体の品質を評価するために使用される「黄色度指数」と呼ばれることもあるカラースケールです。
APHA (ハーゼン単位色数) の使用用途
APHA (ハーゼン単位色数) は、常温で液体の化学製品、又は加熱して溶融状態になる化学製品の着色度合いを調べるのに使用します。
APHA (ハーゼン単位色数) の原理
ハーゼン色数の異なる多数のハーゼン標準比色液を用意して、試料の色と標準比色液の色を目視で比較しながら試料のハーゼン単位色数を決定します。標準比色液は、標準原液 (ハーゼン色数500) から作ります。
標準原液とは、ヘキサクロロ白金 (Ⅳ) 酸カリウム1.245グラムと塩化コバルト (Ⅱ) 六水和物1.000グラムを塩酸100ミリリットルに溶かし、水で薄めて1000ミリリットルとしたものです。
標準原液からハーゼン標準比色液を作る方法は、標準原液を精製水で薄めながら各ハーゼン色数を示す標準比液を調製します。ハーゼン色数は、調製した液に含まれる標準原液の割合で決定されます。例えば、標準原液が0%の場合のハーゼン色数は0、標準原液が100%の場合は500、標準原液が50%の場合は250という具合です。
ハーゼン色数の求め方は、試料が液体試料の場合は試料と標準比色液をそれぞれ液体試料用比色管の標線まで入れ、白色板上に置き、白色光の下で比色管の上方から下方に透かして色を比較するか、又は両管を比色計の中に置き色を比較します。そして、試料に最も近似した標準比色液の番号を読み取って色数を求めます。
試料が固体の場合は,必要量を固体試料用比色管に入れふたをして,溶融装置で溶融させます。これを直ちに固体試料用比色管に入れた標準比色液と並べて直立させて、その背面に白色板を置き、白色光の下で比色管の側面から透かして色を比較します。試料に最も近似した標準比色液の番号を読み取って色数を求めます。
ハーゼン標準原液 (ハーゼン色数500) およびハーゼン色数500番未満の標準比色液の保存方法や使用期限は、原液は密栓して暗所保存の場合は1年間は安定しています。比色液は、暗所保管の場合は6か月間は安定的ですが、新しく調製したものを使用することが望ましいです。
APHA (ハーゼン単位色数) のその他情報
APHA (ハーゼン単位色数) の測定方法
ハーゼン色数の異なる多数のハーゼン標準比色液を用意して単位色数を決定する際は目視で行うため、人によって判定結果にばらつきが出てしまいます。そこで、分光測色計を使用すると正確に測定することができます。
分光測色計は、試料に光を照射し、波長の反射率などを分析することで色彩情報が得られる機器で、試料を装置に挟み込むだけで簡便に測色することが可能です。試料に照射した光源の光が試料を透過すると試料は光を吸収するため、検出器が試料によって吸収された光の量を検出し数値化します。
APHAを測定できる分光測色計には、あらかじめハーゼン色数の検量線 (吸光度と比色液濃度との関係を示す直線) が登録されており、標準比色液が無くても色数を測定することができます。
新たな分光測色計に元々登録されている検量線を使って測定すると、これまでの標準液による目視での測定との連続性が失われると懸念されますが、過去の標準液の検量線も登録できるため問題ありません。