運行記録計とは
運行記録計とは、自動車の運行状況を自動的に記録する製品です。
瞬間速度、運転時間、走行距離、停止時間などのデータを継続的に記録します。主に事業用自動車に搭載されており、タコグラフと呼ばれています。安全運転の確保や労務管理、運行の効率化に欠かせない機器です。
運行記録計には「アナログ式」と「デジタル式」があり、かつては円盤状の記録紙にペンで記録するアナログ式が主流でしたが、現在ではデジタル式が中心です。デジタル式は電子的にデータを記録し、ICカードやクラウドを通じて詳細な運転情報を解析できます。
日本では、道路運送車両法施行規則により、一定の事業用自動車への装着が義務づけられています。具体的には、車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上のトラックや、乗車定員11人以上のバスなどが対象です。
運行記録計の使用用途
運行記録計は、業種によって目的や活用方法が異なります。
1. 貨物運送業界
トラックなどを運用する貨物運送業界では、運行記録計は「安全運転」と「労務管理」の両面で欠かせません。走行速度や運転時間を記録することで、速度超過や長時間労働を防止し、ドライバーの健康管理や法令遵守に役立ちます。また、デジタルデータを分析して燃費効率を向上させたり、最適な配送ルートを見直したりするなど、経営改善にも有効です。
2. 旅客運送業界 (バス・タクシー)
バスやタクシーなどの旅客運送業界での運行記録計の使用目的は「安全運行」と「サービス品質維持」です。特に路線バスでは、定時運行の確認や急ブレーキ・急加速などの運転状況を把握し、乗客に安心感を与える運行管理を実現します。タクシー業界でも同様に、運転時間の管理や交通トラブルの証拠記録として重要な役割を果たしています。
3. 建設業界・産業車両分野
建設業界では、資材や重機を運ぶ車両にも運行記録計が利用されています。車両の稼働状況を正確に把握し、効率的な配車や運搬スケジュールを最適化させます。特に大型車両が多い建設現場では、安全運転の徹底が求められるため、運行記録計の活用が欠かせません。
4. 公共・行政機関
警察車両や消防車、自治体の公用車などでも、運行記録計は導入が進んでいます。緊急車両の場合、運行ルートや対応時間の分析により、迅速な出動体制の改善や業務効率の向上に寄与します。