監修: 明星電気株式会社
震度計とは
震度計とは、地震による揺動を電気信号に変換するする地震計の一種で、波形情報を観測するだけでなく震度を計算して数値の情報として表示、伝達することができる計測器のことです。
震度は、体感による曖昧さを排除するため、気象庁では国内で震度計を用いて全面的に計測することを定め、数値化することによって客観的な観測を実施しています。日本の震度は、5,6は弱と強の2段階に分割し、0から7までの10階級で表されます。
観測精度を確保するため震度計検定制度があり、観測データを公表するためには検定合格品である事が求められています。
震度の計算は気象庁により定められた1分毎の揺れから計算しますが、より素早く100分の1秒毎に計算する方法が可能な機種もあります。
震度計の使用用途
ここで、震度計の使用用途について説明します。
震度計は、地震による揺動を感知して、情報の伝達や避難勧告など、素早い対応を行うために利用されています。
正しい震度を公表するため気象庁が定めた設置基準のガイドラインがあり、
- 震度に応じて機器を停止し被害拡大を防ぐ
- 地震が発生した際に速報を流す
- 震度の分布から建物や人的被害の規模を推定する
- 被害規模に応じてあらかじめ定められた災害対策行動を発令する
というように、地震発生から時系列に沿って震度計から観測された情報を元に対応を行います。
震度計を使用してリアルタイムに正確な震度を観測することで、迅速な状況把握と避難勧告や二次災害の軽減などの対応を行うことに役立てています。
工場やビル、大型商業施設など大規模な人が集まる建物などで、震度計を利用することで、素早い避難対応や防災活動に活用している事例もあります。
震度計の原理
続いて、震度計の原理について説明します。
震度計は、計測部分と、計算処理部分から構成されています。
計測部分に加速度計を用いており、観測された揺動の加速度と揺動周期を電気信号に変換しています。
震度計に用いている加速度計の種類によって、高精度なサーボ型加速度計やより安価なMEMSタイプを使うものに分かれます。
揺動を電気信号に変換した後、計算処理部分で気象庁が定めるアルゴリズムに基づいて震度を算出します。
震度計は、計測と計算処理による震度算出の他に、地震を観測した時刻、震度階級、最大加速度度などの情報を合わせて表示することが出来、メモリーなどの記憶媒体を内蔵している場合は、観測された震度の情報をデータとして保持し、これらを送ることが出来ます。
震度計のアプリ
スマートフォンやタブレット向けの震度計アプリケーションが幾つかリリースされています。
国内におけるアプリケーションの1つとして、スマートフォンやタブレットに内蔵された加速度センサーを活用しゆれを計測することによりスマートフォンなどの表示画面に震度を表示するものが開発されています。
また、海外におけるアプリケーションとしては、スマートフォンなどに内蔵される加速度センサーを活用し、予震となる揺れを捉えるとデータが自動的にクラウドに送信されるものが開発されています。このアプリケーションでは、クラウド上に集約されたデータが独自のアルゴリズムで分析され、本震につながりそうな場合においては地震が起こりうるエリアや規模について警報を発信するというものです。
震度計設置環境基準
震度計については、観測データを公表する場合に設置場所や設置方法などの設置環境に関する評価基準があります。
震度計の設置場所については、「崖等の段差付近に関する条件」「地盤に関する条件」「建物周辺に関する条件」「空洞や地下タンク、地下埋設管等に関する条件」「柱状構造物等に関する条件」「花壇等に関する条件」「建物内設置に関する条件」が定められています。
例えば、平坦ではない地形で崖等の段差となっている場所においては、高さによらず、強震時に崩壊の危険が推測される場所、段差端の近傍などで脆弱な土留め部分を避ける必要がある、とされています。
また、旧河道や池・沼などを埋め立てた跡、台地や山地等の谷など、その場所のみに見られる特殊な地盤への設置は、局所的な揺れとなるため避ける、とされています。
また震度計台の設置については、「震度計台の材質および形状に関する条件」「震度計台の埋設に関する条件」「震度計の固定に関する条件」「落下物への対策」が定められています。
例えば、震度計台は強震時でも壊れないような材質(コンクリート等)、構造(空洞がない)でなければならない、とされています。
本記事は計測震度計を製造・販売する明星電気株式会社様に監修を頂きました。