シャーレンチ

シャーレンチとはシャーレンチ

シャーレンチ

画像出典元: Amazon

シャーレンチとは、シャーボルトと呼ばれるねじを締結するための専用の電動工具です。

シャーボルトの「シャー」はせん断を意味する英語の「Shear」で、締結する際にシャーボルトのチップと呼ばれる部分がねじ切れることに由来します。シャーボルトをより専門的に言うと、「トルシア形高力ボルト」です。

ビルや橋梁など、鉄骨構造の建築物では通常シャーボルトが使用され、締結作業にはシャーレンチが用いられています。シャーレンチはシャーボルトを締結するために、独自の構造になっています。そのために、他のボルトの締結作業に使うことはできません。

シャーレンチ同様、電動のねじ締結工具にはインパクトレンチがあります。インパクトレンチがねじを締める・緩めるのをスピーディーに行えることに対して、シャーレンチは音も静かでゆっくりした回転で締付けます。締付け反力も少ないので、作業者への負担も小さくて済むのが特徴です。

シャーレンチの使用用途

シャーレンチは、シャーボルトの締結作業に使われます。具体的には、鉄骨構造の建築です。ビル建設や橋梁などの鉄骨構造の建築物において、丸いヘッドのボルトが使われているのを見かけますが、それらがシャーボルトです。

シャーレンチの原理

シャーレンチは電動のねじ締結器具ですが、特徴的なのはソケット部分の構造です。シャーレンチの原理を理解するために、まず先にシャーボルトの原理を理解する必要があります。シャーボルトは、シャーレンチによる締結作業によって締結トルクがあるレベルに達すると、ボルトの先端にあるチップと呼ばれる部分がねじ切れます。

チップがねじ切れることによって、以下のメリットがあります。

  • 締結作業が行われたことを確認できる
  • 締付トルクのばらつきを抑えられる
  • 締め付けたら故意に緩められない

チップがねじ切れるトルクは、ボルトの材質 (破断する強度) とノッチ部分の太さによって決まります。結果的にシャーボルトによる締結では、締付けトルクのばらつきを抑えられます。

また、シャーボルトのヘッドは六角形状ではなく丸形です。締め付け工具と嵌合するのはチップ部分であり、一度締結トルクに達すれば、チップは破断してなくなってしまいます。よって一度締め付けたシャーボルトを故意に緩めることはできません。

このようなシャーボルトを締結するために、シャーレンチは通常のソケットの内側に、チップと嵌合する軸があります。内側の軸でチップを掴んでシャーボルトを固定し、外側の回転軸でシャーボルトと嵌合するナットを回転させる構造になっています。

シャーレンチの種類

シャーレンチには大きく6つのタイプがあります。それぞれに適した作業が行えるようになっています。

1. スタンダード型

最も一般的な形状です。作業時にスペースの制約がなければ、スタンダード型が使われます。

2. コーナー型

締結時にスペースが狭く、スタンダード型が使えない場合には、コーナー型のシャーレンチが必要です。

3. 極短型

コーナー型も使えない、より狭い場所で使われます。

4. グリップ回転型

回転軸になる部分に対してグリップ部分を回転させることができます。「カチアゲ作業」と呼ばれる通常の締結作業とは反対方向からねじを締結する作業では、グリップ回転型を使うと作業がしやすくなります。

5. 外付け型

一般的な電動ドライバーに取り付けられる工具です。取り付ける電動ドライバーは、シャーボルトのチップがねじ切れるトルクが発生できるものが必要です。

6. コードレス型

バッテリーの充電によって使うシャーレンチです。電源が確保できない現場で使われます。充電式であれば、電源の電圧降下を気にしなくて済むのもメリットです。

参考文献
https://www.bildy.jp/mag/shearwrench-guide/
https://electrictoolboy.com/media/14339/
https://www.uedakanamono.co.jp/
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/422/

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