電空レギュレータとは
電空レギュレータとは、電気信号によって空気の圧力を制御する装置です。
より精密な量産を可能とするために、空気圧を電気信号などで柔軟に変更させる必要がある製造現場で使用されます。多くの電空レギュレータは、コイルによって動作する圧力調整弁を用いて圧力を制御します。
制御の方法は、圧力センサと入力値を用いたフィードバック制御です。IoTのネットワークプラットフォームに対応している製品も多く、採用することで工場の自動化にも適しています。
電空レギュレータの使用用途
空電レギュレータは、自動車や家電、化学製品、食品、精密機器、製薬の工場などで利用されます。使用用途としては、塗装やはんだの出力調整や精密な空気との混合、不純物の除去などです。
電空レギュレータを選定する際は、対応している圧力や流量の範囲、使用する電力量、耐久性などの考慮が必要です。
1. 塗装スプレーの噴出量調整
スプレー塗装ガンの最適空気量制御を電空レギュレータを使用することで、自動車の外装の塗装工程における塗装スプレーの噴出量調整を行います。
2. はんだの供給
基盤の製造工程におけるはんだの供給にも電空レギュレータは使用されます。流体のディスペンサの制御が可能です。
3. 空気の供給
電空レギュレータでは、空気の流量制御が可能です。そのため、食品工場における空気との混合過程における空気の供給などに使用されます。
電空レギュレータの原理
電空レギュレータは吸い込み口と吐き出し口が付いている容器、コイルによって動作する圧力調整弁、圧力センサ、制御盤などで構成されています。圧力センサは吐き出し口についており、制御盤に接続されています。
圧力の制御は、コイルに接続されている磁界によって移動する弁が、電流量に応じて移動することで行います。弁の開閉によって、空気の吐出量を調整することで圧力を変動させます。動作時は吸い込み口から吸入した空気が圧力調整弁を通過し、吐き出し口から吐き出されます。
その際に、吐き出し口の圧力センサによって圧力が測定され、制御盤に送られる仕組みです。圧力センサーから送られてくる圧力値に対して、電気信号として外部から送られてきた入力値が、どの程度の差があるかを計算します。
その差に対して、どの程度の空気を吐出するかを計算し、弁の開閉によって吐出量を調整します。
電空レギュレータのその他情報
1. 不感帯
電空レギュレータは、電磁弁をPWM制御で制御することができます。Dutyの上昇と共に電磁弁を通過する流量は増加する仕組みです。
しかし、不感帯と呼ばれるDutyが低く流量が流れない領域があり、供給圧力の影響を受け、供給圧力の増加と共に減少する傾向があります。これは、供給圧力の上昇と共に弁座からエアが漏れ出しやすくなるために起きる現象です。
2. フィードバック制御
電空レギュレータの課題として、アクチュエータの劣化や供給圧力条件による不感帯の変化が挙げられます。この課題から定常偏差 (目標値に対して、制御圧力が到達しない量) が発生します。
定常偏差を無くすための1つの手段が、内部の制御基板に搭載されたCPUで補正成分を疑似的な入力信号として可変する方式です。従来制御ループの構成が維持されるため、制御性が容易に維持できます。
3. 使用時の注意事項
配管する前に必ず配管内のフラッシング (圧縮空気の吹き流し) を十分に行う必要があります。切り屑や錆などが混入は、作動不良の原因です。
また、電空レギュレータには内部に精密機器を使用しているため、圧縮空気は固形物などを除去した清浄な空気を使用する必要があります。清浄な空気でないと、耐久性や作動特性に悪影響を及ぼします。
参考文献
https://www.ckd.co.jp/company/giho/pdf/Vol04/CKDgh_Vol4_02.pdf
https://official.koganei.co.jp/downloader/catalog/ETR600/2