四角ナットとは
四角ナットとは、ねじやボルトと組み合わせて使う四角形状の固定具です。
四角ナットのように外形が四角であっても、厚みが薄いものは板ナットと呼ばれます。そのほか、スクエアナットも別名として挙げられます。
T溝ナットや2穴のナットプレートなども四角ナットの1つです。一般的に広く使われている外形が六角形状の六角ナットは、ねじを締めるもしくは緩めるときにナット側とボルト側の両方を工具で固定する必要があり、両手が塞がってしまいます。
それに対して、四角ナットは溝に嵌めるなど角や面を合わせることでナットを固定する必要がなくなるため、ボルト側のみを締めるだけです。設置箇所に合ったナットを使用することで、締め付け作業を容易にします。
四角ナットの使用用途
四角ナットの主な用途は、建築部材用・電子部品用・車載用部品などです。四角ナットによって固定する部材としては、プレス製品や樹脂成形品、木材などが挙げられます。
これらの部材は四角ナットを使用する上で、必要となる溝や壁形状を形成しやすく、四角ナットを使用しやすい製品です。また、部材を締結するために四角ナットは、ねじやボルトと組み合わせて使用されます。
四角ナットの原理
四角ナットは四角い外形の稜線のうち最低1つが、締結される部品の壁形状に沿うように配置されることによって、締結作業時のボルトとの供回りが抑制されます。四角ナットによって締結される部品が、ナットの回転を止める働きをします。
つまり、四角ナットを使う際には、四角ナットによって締結される部品の表面に、四角ナットと接する壁形状が必要になるということです。
四角ナットの種類
四角ナットは、JIS B1163 で規格化されています。このJISではねじサイズがM3からM24まで、形状は高さ、正四角形の一辺の長さ、対角長さが規定されています。機械的性質として、強度区分は4T,5T,6Tです。
全ての四角ナットを規定しているわけではなく、木材用に使用する四角ナットは対象外となっています。四角ナットで特に厚さが薄いものは、板ナットと呼ばれます。板ナットと四角ナットの違いは厚みですが、用途によって使い分けられるのが特徴です。
例えば、M4サイズのめねじの場合、板ナットの厚み1.8ミリメートルに対して、四角ナットは厚さ3.2ミリメートルと2倍近く差があります。これは四角ナットは六角ナットの厚さを基準としていますが、板ナットは板材にめねじが欲しい部位に対して使うことを目的としているために、四角ナットよりも薄くなっています。
板ナット以外にも四角ナットには多様な形状が存在します。代表的なものは菱型ナットタイプ・長方形ナットなどです。これらはプレス品等の金属品や樹脂成型品に組付けようのスペースを作り出し、小ねじやボルトを用いて締結します。そのほか、特殊ナットと呼ばれる管用・ローレット・異形・特殊四角・小判・偏芯穴・複数穴などが存在します。
四角ナットのその他情報
1. 四角ナットの材質と表面処理
四角ナットの主な材質はスチール、ステンレスなどです。さらに、一般的なナットと同様に表面処理が施され、三価クロメートやユニクロメッキ、クロメートメッキ、ニッケルめっき、クロームメッキ、四三酸化鉄被膜などの処理が行われます。また、表面処理を行わない「生地」も存在します。
2. 四角ナットの製造方法
四角ナットは、主に冷間圧造・冷間鍛造と呼ばれる方法で製造されます。四角ナットを使う上で大切な外形の寸法が安定する方法です。もちろん、大量生産にも適しています。
数量が少ない場合には切削加工が最適です。コストを低減させるためには、JISに定められた規格品を用いたり、規格外の形状であっても使用量を増やし冷間圧造・冷間鍛造で生産したりする方法が効果的です。
参考文献
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https://morisita-fastener.co.jp/products/category.php?c=7
http://takaaki19790625.blog69.fc2.com/blog-entry-23.html
https://www.monotaro.com/s/c-91502/
https://special-nut-collar.com/product_tech_info/insert-nut-2-2/
https://www.akaneohm.com/column/denshoku2/
https://www.nbk1560.com/