スプリングコレットとは
スプリングコレットとは、旋盤のような工作機械において、加工するワークや工具を固定するための部品の1つです。
スプリングコレットは通常、コレットアダプタとセットで使用します。コレットアダプタは、スピンドルや円テーブルに取り付けられた部品のことです。
スプリングコレットは、スリ割りを多くすることでコレットが均一に締まり、工具を高精度にチャッキングできます。仕上げ面や工具寿命が格段に向上するのが特徴です。
また、工具を使用せずワークを容易に着脱できるのも特徴と言えます。コロレットスプリングが固定できるワークやツールは、丸形状だけでなく、角形状のものもあります。
スプリングコレットの使用用途
スプリングコレットはコレットアダプタとともに、加工するワークもしくは切削工具を固定するために、搬送機や工作機械に組み込まれて使用されています。主に鉄鋼材料のワークをドリルで、精度よく切削することが目的です。
スプリングコレットでは把持方法・把握力・サイズなど対象ワークにより、多種多様な形状が使い分けられています。使用例としては、ミーリングマシン・マシニングセンタ・NC旋盤・ボール盤・ツールグラインダーなどの工作機械が挙げられます。
スプリングコレットの原理
スプリングコレットは、コレットアダプタにねじ込まれると、スプリングコレットの外側にあるテーパ形状によってワークや工具をつかむ口径部分の穴が小さくなることによって、対象物を掴みます。スプリングコレットと同様に、工作機械でワークを固定するものに、スクロールチャックがあります。
スクロールチャックでは3つ、あるいは4つの爪でワークを掴むのに対し、スプリングコレットが使われるコレットチャックは、コレットの分割数が多いことによって、ワークを包み込むように把握できるのが特徴です。コレットの爪が多いことによって1点にかかる圧力を減らし分散させ、ワークの把握部分全体を傷付けずに強力に固定することが可能になります。なお、コレットの分割数は、一般的に6分割から12分割です。
スプリングコレットのその他情報
1. スプリングコレットの形状
スプリングコレットにはさまざまなタイプがあります。代表的な形状は、静止型と引き型の2つです。
静止型
静止型はS型とも呼ばれます。対象物を把握する際に、スプリングコレット自体の位置は変わらず静止しています。よって特に軸方向の位置決め精度が高いのが特徴です。
引き型
引き型はD形とも呼ばれます。引き型スプリングコレットは対象物を把握する際に、コレット自身がねじによって引かれるよう軸方向に移動しながら対象物を把握します。
テーパーが固定力を発生させるとともに、スプリングコレット自体をセンタリングするため、振れ精度がよいのが特徴です。また、繰り返し精度、把握力の面でも優れています。
2. スプリングコレットの材質
スプリングコレットは、主に鉄鋼材料、超硬合金、サーメットで作られています。鉄鋼材料は安価でありながら高い固定力も得られます。超硬合金は耐摩耗性に優れているので、長期間使い続けることが可能です。
サーメットは耐熱性が高く、特にステンレス系材料に対して使っても、焼きつきを起こしません。
3. スプリングコレットの使い方
スプリングコレットを円テーブルで使用する場合の手順は、円テーブルにコレットアダプタを取り付け、スプリングコレットをコレットアダプタへ挿入し、コレットアダプタのコレットキャップを手で締めます。その後、ワークをスプリングコレットの内径へ挿入し、コレットキャップを専用のレバーで回すとワークがクランプされ、加工準備完了です。
スプリングコレットをコレットアダプタへ取り付けるときは、スプリングコレットをすぼめて押し込み、取り外すときはスプリングコレットをすぼめて傾けます。
参考文献
https://www.yukiwa.co.jp/products/sc/about_sc.php
http://www.mst-corp.co.jp/mc_tool/colletholder/
https://www.monotaro.com/g/00031051/
https://www.yukiwa.co.jp/products/cnc/spa_05.php