熱交換器とは
熱交換器とは、空気や水などの流体間で熱を移動させる機器です。
熱交換器を使用する代表的な機器はエアコンで、冷媒と空気の間の熱交換によって室内の温度を調整する機械です。様々な構造が開発されており、熱交換に使用する流体に応じて適切に選定することが必要です。
熱交換器の使用用途
熱交換器は家電から産業用途まで、様々な用途で使用されています。以下は熱交換器の使用用途一例です。
- 家庭用エアコンなどの空調機器や給湯器
- 車のラジエータ
- 冷凍食品工場における業務用冷蔵庫
- プロセス系工場におけるガス温度管理
- 蒸気タービンの復水器や節炭器
- コンピュータのCPU冷却用
家庭用ではエアコンや冷蔵庫に熱交換器が使用されます。室内または庫内の熱を移動させることにより、要求される温度に保っています。また、給湯器や床暖房にも熱交換器が使用される場合があります。
産業においても例示すれば枚挙に暇がありません。工業炉を持つ工場などでは、工業用水や海水を使用して熱交換器でジャケットを冷却しながら使用します。発電プラントなどのインフラ設備でも多用され、蒸気発電における復水器も熱交換器の一種です。
コンピュータの冷却にはヒートシンクなどの熱交換器が使用されます。これは多数の放熱板を設置した製品で、発熱媒体に直接設置して外気雰囲気を冷却媒体とする機器になります。
熱交換器の原理
熱交換器は配管やフィンで構成されます。
配管は過熱するまたは冷却する媒体を流す構造物です。一般的には金属で製作され、ステンレス製や銅製など用途に応じてさまざまな製品が販売されています。熱源となる流体を流す場合は熱媒配管と呼び、冷却源となる流体を流す場合は冷媒配管と呼びます。
フィンは熱を効率よく発散させるための構造物です。伝熱性などに優れたアルミニウムが多く使用されます。配管などに対してひだ状に取り付けられます。
低温流体と高温流体を流す方向に応じて向流型と並流型の2種類に分けられます。互いに反対方向に流す場合は向流型で、同方向に流す場合は並流型です。一般的には向流型の方が効率良く熱交換可能であるとされます。
熱交換器の種類
構造の種類としては、多管式熱交換器、プレート式熱交換器、スパイラル熱交換器などが代表的です。その他には、エアフィン式やフィンチューブ式、コイル式などがあります。
1. 多管式熱交換器
多管式熱交換器は太い円管とその円環内部にある細い多数の円管で構成されます。熱交換したい流体を太い円環に流し、冷媒や冷却水などを細い円管に流して熱交換を行います。それぞれの配管は仕切られているため、各流体が混ざることなく、相互間で熱交換を行います。
2. プレート式熱交換器
特殊な加工を施した金属の伝熱板を何枚も重ね合わせて、高温流体と低温流体が交互にプレートを隔てて流れる熱交換器です。
この熱交換器は乱流効果を得られやすく、高い熱交換率が得られます。また、コンパクトな設計で設置位置で問題になりにくい利点もあります。伝熱プレートを重ねる構造のため、プロセス要求に応じた枚数へ変更ができます。ただし、流体の粘度が大きいものや粒子を含む流体では、プレート間の閉塞に繋がるため使用が困難です。
3. スパイラル式熱交換器
2種類の流体が混ざり合わない様な渦巻き状の流路で、2流体間で熱交換を行う熱交換器です。
流路内は単一流路となっており、熱交換器の壁に物質が付着しても壁面から剥がすことが可能です。流路幅が短くなり、流速が増加するためです。したがって、不純物が含まれている流体の熱交換に適しています。
4. エアフィン式熱交換器
チューブとファンによって構成される熱交換器です。冷却時に使用されます。チューブ内に冷却したい流体を流し、ファンの力を使いエアーを流すことで冷却します。
5. フィンチューブ式熱交換器
チューブ状の管にフィン (伝熱板) を設置し、伝熱面積を増やした熱交換器です。エアコンの熱交換器に使用されています。
6. コイル式熱交換器
伝熱チューブをコイル状にして外側を円筒などで囲った熱交換器です。冷却もしくは加熱媒体を入れてチューブ側と熱交換します。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1962/16/2/16_2_173/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsj1973/28/6/28_6_342/_pdf
https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/index.html
https://www.nihonshinkan.co.jp/blog/2016/10/31/66
https://www.alfalaval.jp/info/japan/heatexchanger/