工具研削盤とは
工具研削盤とは、一定量の切削に使用し切れ味が悪くなった切削工具に、再度研削を施し切れ味を復活させるための機械です。
工具研削盤は、グラインダーとも呼ばれます。また、この場合の切削工具には、ドリルやエンドミル、フライスカッターやホブカッターなどがあります。
研削する工具の種類によって各種研削盤があり、それぞれ専用機的な使い方をします。 具体的には、ドリル研磨機、カッター研削盤、ホブ研削盤などです。その他、多くの種類の工具に対して研磨できる万能工具研削盤というものもあります。さまざまな附属装置を備えることで、多種の工具に対応可能です。
工具研削盤の使用用途
工具研削盤は、切削工具の再研削に用いられます。工具研削盤で研削する工具は、金属を機械加工するためのもので、切削工具と呼ばれています。
汎用的な使い方を可能にしている万能工具研削盤では、複雑な形状をしたエンドミルなどは、再研削ができない場合があります。また、一般には手動で研削を行うために熟練を要します。
一方で、技術革新に伴い現在では、数値制御によって多軸を制御するCNC工具研削盤の出現によって、複雑な形状の工具の自動研削を行うことが可能です。適切な検索条件と砥石の選定によって、安定した研削が実現できます。砥石軸を自在に旋回させることによって、さまざまな工具を1回の把持で研削すること可能で、高品位に仕上がります。
工具研削盤の原理
工具研削盤は、高速で回転する砥石に工具を少しずつあてることで、表面を削り取り、切れ味の悪くなった工具の表面を加工します。これらの工程によって、切れ味を取り戻すことが可能です。
エンドミル、フライス、リーマ、タップなど、一般的な形状の工具に関しては、複雑なプログラムのセットアップが不要で、手動で研削を行うことでができるため、万能工具研削盤で手早く研削することが可能です。しかし、多数の複雑な形状の工具を安定して研削するには、CNC工具研削盤が優位になります。
万能工具研削盤の場合、2軸もしくは3軸を手動で同時に操作する必要があるため熟練を要します。そこで、1軸のみNC制御させことによって研削作業を簡易化した、簡易NC工具研削盤もあります。エンドミル外周の逃げ面やすくい面のスパイラル形状やボールエンドミルRすくい面や逃げ面のスパイラル形状など、主軸のみをNC化すると、熟練を要すことなく研削を行えます。
工具研削盤の種類
工具研削盤の代表的な種類として、以下の3つが挙げられます。
1. 万能工具研削盤
一般的なドリル、エンドミルなどの研削には、万能工具研削盤が使われます。万能工具研削盤には多数の調整軸があり、研削する工具の構造、形状をさまざまな形状、径、長さ、切れ刃の状態、に調整することが可能です。しかし、検索する工具に関する知識が必要です。また、多数ある調整軸を適切に操作する技能が求められます。
2. CNC工具研削盤
現在、一般的な工具の加工には、複数の軸を同時にまたは連動して動かすことができる金法を持つ「CNC工具研削盤」が主流です。これらの最新のCNC工具研削盤には研削された工具の形状を計測する機能や、加工熱による研削ホイールの変形を検知して加工代を調整する機能を持つものもあります。
3. 専用研削盤
形状の特殊な歯車の加工に使われるホブやピニオンカッター、キー溝、スプライン溝などを加工するブローチなどには、専用の研削盤があります。
工具研削盤のその他情報
1. 研削と研磨や切削との加工の違い
研削加工と研磨加工は、工具の切れ味を再生するために行う点では同じですが、再生する方法が異なります。研削加工は砥粒で工具の刃物を削って形そのものを変えますが、研磨加工は砥粒で表面を滑らかに磨くために圧力を工具の刃物にかけます。
切削加工は砥粒ではなく、リーマやエンドミルなど、加工物の形状を削り取って加工する目的で行われ、その後研削加工や研磨加工で微調整する場合が多いです。
2. 工具研削盤の砥石
切削工具の材質は、高速度工具鋼、超硬合金、など一般の鋼材より硬い材質が用いられています。さらに 、熱処理や表面処理が施されているために、硬度がさらに高くなっています。
一方、切削工具の刃先寸法は、その精度が機械加工時の仕上がり寸法精度に大きく影響するため、研削には精度が高く、高い硬度の被削材を検索できる研削砥石や、ダイヤモンドやCBN (Carbon Boron Nitride) が塗布された研削ホイールを使用します。研削加工時には加工時に発生する熱が砥石やダイヤモンドホイールの寸法や、研削されている工具の寸法に影響し、工具の出来上がり寸法にも大きく影響します。
最近のCNC工具研削盤では、それらの発熱で寸法補正を行うものもありますが、研削される工具の硬度や材質の組成に影響するため、温度上昇を抑制し温度管理を行う研削液の使用が必須です。工具研削盤だけでなく、研磨研削液の選定も重要となります。