ショックリレー

ショックリレーとは

ショックリレーとは、装置の過負荷による故障を防止するための安全装置です。

設定した電流値を超えると接点信号が出力され、装置を停止させることが可能です。物的あるいは人的な事故を防ぐ上で、ショックリレーは重要な役割を担います。

ショックガードのように機械的な安全装置と比較して、大掛かりの装置改造が不要な点がメリットです。

ショックリレーの使用用途

ショックリレーは、コンベア類などで使用される安全装置です。以下はショックリレーの使用用途一例です。

  • 巻き取り機の過負荷保護
  • チェーンコンベアやベルトコンベアの噛み込み保護
  • クレーンにおける過負荷保護
  • 破砕機の噛み込み保護

過電流保護装置には遮断器サーマルリレーがありますが、これらはモーターや上位回路を保護するための装置です。モーター短絡による上位への波及事故や過負荷による焼損を防止します。これに対して、ショックリレーは負荷となるコンベアなどの過負荷を防止するための装置です。

チェーンコンベアや巻き取り装置では減速機付きモーターが使用されます。減速機付きモーターは負荷軸の回転速度が低速となりますが、過負荷時は強いトルクが掛かります。この強トルクによってチェーンの破断や装置の故障が発生する危険性があります。

異物の噛み込みであれば短時間で故障復帰可能ですが、チェーンの破断は即時復帰が困難です。また、切れたチェーンが反動を伴って人体にぶつかると、人身災害が発生する危険性もあります。これを防止するためにショックリレーが電流によって過トルクを直ちに検出し、モーターを停止させることが可能です。

ショックリレーの原理

ショックリレーは変流器、表示・制御部、出力部などで構成されます。

1. 変流器

変流器はモーターの電流を検出する部品です。コイル2つを鉄心などに巻いた構造で、一体型と別置の製品があります。小容量のモーターへは一体型が使用され、大容量の場合は別置が使用されます。

2. 表示・制御部

表示・制御部は電流値などを表示しつつ、パラメータを設定する部品です。パラメータの設定にはロータリースイッチなどが多く使用されます。

3. 出力部

出力部分は、過電流のデジタル信号を外部へ発信する部品です。主に電磁コイルを用いたリレー接点出力が使用されます。この接点出力によって電磁接触器などの駆動装置を停止させ、モーターへの電力を遮断します。

ショックリレーの選び方

ショックリレーは販売メーカーによって推奨容量を指定されている場合が多く、使用モーターの容量に合わせて選定します。変流器別置の場合は変流器の仕様を使用モーターの容量に合わせます。

出力信号の種類も選定することも必要です。自己保持タイプと自己復帰タイプがあり、制御回路に応じて選定します。表示部はデジタル表示とアナログ表示を選定できます。デジタル表示の方が見やすい場合がほとんどですが、アナログの方が堅牢なことが多いです。

製品によっては過負荷以外の機能を有する場合もあります。欠相や不平衡を検知して発信する製品も販売されており、必要な機能を有する製品を選定します。

ショックリレーのその他情報

ショックリレーの使い方

ショックリレーは、一般的に湿気や粉塵に弱い電子制御部品です。したがって、多くの場合は制御盤の内部に収納して使用します。制御盤内部では、DINレールなどを使用して基板へ取り付ける方法が一般的です。

制御盤内部は、モーターの電気配線や制御回路と接続します。モーターの主回路配線を変流器に巻き付け、出力端子を制御回路と接続します。ショックリレー用電源が必要な場合は、制御回路から導入するのが一般的です。

また、ショックリレーの設定も実施する必要があります。作動電流値と作動時間を最低限設定する必要があり、通常運転時の負荷電流や始動電流を確認して設定します。

ショックリレーの仕様によって異なりますが、一般的には変流器の二次電流は0~5Aが使用されます。その場合、負荷電流を見ながら作動電流を0~6A付近で設定することが多いです。作動時間は数秒~数十秒の間で設定するのが一般的です。

参考文献
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/electrical-controllers/electrical/shock-relay/
https://www.mekasys.jp/series/detail/id/RS_0261

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