次亜塩素酸についての概要、用途、原理などをご説明します。また、次亜塩素酸のメーカー13社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。次亜塩素酸関連企業の2023年11月注目ランキングは1位:関東化学株式会社、2位:和光化学株式会社、3位:三井化学ファイン株式会社となっています。
次亜塩素酸 (英: Hypochlorous acid) とは、カルキ臭と呼ばれる特有の臭いをもつ塩素のオキソ酸の1種です。
次亜塩素酸の化学式はHClOで表され、分子量は52.46、CAS番号は7790-92-3です。溶液中にのみ存在する弱く不安定な酸で、放置すると分解します。次亜塩素酸は、1834年にフランスの化学者のアントワーヌ・ジェローム・バラール (1802–1876) が、塩素ガスのフラスコに酸化水銀 (II) の希薄な懸濁液を加えたことによって発見されました。
次亜塩素酸を主成分とした電解水である「次亜塩素酸水」は、殺菌消毒剤として野菜や食器、施設等の消毒に使われています。例えば、キュウリのうどんこ病やイチゴの灰色カビ病対策などに用いられ、特定農薬にも指定されています。また、食品工場、飲食店、内視鏡などの医療機器の消毒に用いられます。
次亜塩素酸は、消毒用途において液体スプレー、ウェットワイプ、エアロゾルなどの形で使用されてきました。次亜塩素酸水は、消毒室の霧やエアロゾル化用途に適しており、オフィス、病院、診療所などの屋内環境の消毒に適していることが研究により示されています。
またナトリウム塩である「次亜塩素酸ナトリウム」は物質を漂白する性質があり、パルプの漂白や、身近なところでは、塩素系漂白剤としてキッチン用漂白剤等に使用されています。
次亜塩素酸は強力な酸化剤であり、漂白や殺菌などに使用されます。次亜塩素酸としては不安定なため、ナトリウム塩である次亜塩素酸ナトリウムなどの化合物として用いられます。
なお、コロナウイルス感染対策として注目を集めた「次亜塩素酸水」は、次亜塩素酸を主成分とした電解水であり、塩化ナトリウムや塩酸を水に溶かして電気分解して得られる水溶液です。
次亜塩素酸は、実験室的には水酸化カリウム水溶液などに塩素を通じるなどして調製した次亜塩素酸塩水溶液を、硫酸で中和してから水蒸気蒸留することにより、遊離酸の水溶液を得ることができます。技術開発により製造コストが削減され、家庭用および業務用の次亜塩素酸水の製造と瓶詰めが可能になっています。ほとんどの次亜塩素酸水は貯蔵寿命が短いですが、熱や直射日光を避けて保管すると、劣化を遅らせることができます。
次亜塩素酸は、水溶液中では部分的にアニオン次亜塩素酸ClO−に解離します (HClO⇌ClO−+H+)。次亜塩素酸は、HClと反応して塩素を形成し (HClO+HCl→H2O+Cl2)、アンモニアと反応してモノクロラミンを (NH3+HClO→ NH2Cl+H2O)、また有機アミンと反応してN-クロロアミンを形成することもあります。過酸化水素水と反応させる場合には、酸素が生じます (HClO+H2O2→HCl+H2O+O2)。さらに次亜塩素酸は、DNA、RNA、脂肪酸基、コレステロール、タンパク質など、さまざまな生体分子とも反応します。
次亜塩素酸は、毒物及び劇物取締法や消防法、化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)、労働安全衛生法などのいずれの法令にも指定はありません。
取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。