ミストファンとは
ミストファンとは、超音波などで発生させたミスト(霧状の水)を送風機により発生させた風で放出する冷却装置のことを言います。
水分が蒸発する際に周囲から熱を吸収する気化熱の原理を利用することで、周囲の温度より3〜5℃ほど低下させる効果が期待できます。
あまり冷えすぎず、穏やかな涼しさなので、エアコンの強い冷房が苦手な方にも向いています。
ミストを直接放出することで加湿効果が高いため、夏の暑さ対策はもちろん、冬場の加湿に使うこともできます。
ミストファンの使用用途
携帯用や卓上型のミストファンは、個人用としてスポーツ観戦・散歩などの外出時や自分の机、キッチンなどで冷風扇に使われます。
据え置き型のミストファンは、主に冷房や扇風機の補助として使用します。多くの機能が付いているものが出ています。
業務用では、大型の扇風機にミスト装置を装着した移動式のものがあります。工場などの広い空間での作業用や工事現場、屋外のイベント会場に使われます。熱中症対策、ヒートアイランド対策として有効です。30m先まで冷風が届く強力なミストファンもあります。
ミストファンの原理
ミストファンは、水が蒸発する時の気化熱を利用して、周囲の空気温度を下げた風を出します。水を効率的に蒸発させるため、霧状の水であるミストにして、ファンの風と共に送出します。
ミストを作るには、超音波を使う方法と、水をノズルを使って霧状に吹き出す方法などが使用されます。
水の気化熱により周囲から熱を奪うので、3~5℃程度冷却された風が出ます。
冷房装置のエアコンは、ファンの風を冷えた熱交換器を通すことで温度を下げ、5~10℃程度冷えた風が出ます。熱交換器の表面温度が露点以下なので、空気中の水蒸気が凝縮して水になって排出され、除湿が行われます。
ミストファンは、除湿しない点がエアコンとの違いです。電気代がエアコンを比べ非常に少ないメリットがありますが、蒸発した水が排出されずに室内に溜まって湿度が上がる短所があり、換気装置の併用が必要です。
ミストファンの選び方
1. 用途に合わせてタイプを選ぶ
ミストファンには4つのタイプがあります。ハンディ型、卓上型、据え置き型、及び大型業務用です。
自分専用で使うなら、卓上型が向いています。ハンディ型と同程度の大きさでパワーがあります。仕事先や個人の部屋、キッチンなどに向いています。パソコンから電源が取れるUSB充電式が便利です。
据え置き型は、冷房や扇風機の補助に使います。水タンクの容量が1l以上あれば、補給の手間も大変ではないといえます。付随する機能も多く、部屋の大きさを問わず据え置き型を選ぶのが賢明です。
大型業務用は、工場、工事現場、イベント会場など広い空間でのスポットクーラーとして便利です。
2. 水タンクの容量を確認する
タンクの容量が多いほどミストを放出できる時間が長くなります。ハンディ型で30~50ml、卓上型で300~400ml、据え置き型は1~5l程度です。できるだけ容量の多い機種を選ぶことが大切です。
3. 便利な機能
風量・ミスト量の調整機能付きなら、室内環境に応じて調整できるので、使い易い機種です。ハンディ型と卓上型はミスト量の調整ができないのがほとんどです。
送風/ミストのモード切換え機能が付いているものは、季節を問わず使用できます。冬は加湿器として使えます。
水を入れるタンクは、手入れが悪いとかびの発生が懸念されます。タンク部に抗菌素材を使用したものは、手入れが簡単です。
ハンディ型は、軽量で外出先への持ち運びに便利です。夏場のスポーツ観戦や散歩など外で使う場合に、適しています。自立するタイプもあり、使い勝手が良い場合もあります。
ミストファン使用上の注意点
1. 電子機器の周囲では使わない
ミストファンから放出されるミストが電子機器に降りかかると、故障の原因になることがあります。パソコンやテレビ、オーディオ機器などが近くにある場所では使用を避け、ミストが電子機器にかからないようにします。
USB充電のミストファンをパソコンに接続して使う場合は特に注意する必要があります。
2. ほこりが多い場所では使用を避ける
ペットがいる場所や玄関などのほこりが多い場所でミストファンを使用すると、ミストがほこりを吸着するので、部屋が汚れる原因になることがあります。また、ミストファン内部にもほこりが入り、手入れが大変になります。
3. ミスト量を強めたまま長時間運転をしない
ミスト量を最大にしたまま長時間運転をすると、部屋の湿度や外の気候によっては、床や家具が濡れる可能性があり、また、室内の湿度も上がるので、かびが発生する環境になってしまいます。ミスト量を適度に調節して使います。