ミストシャワーとは
ミストシャワーとは、水を微細な霧にして噴射し、水が蒸発する際の気化熱により周辺の冷却を行う装置のことです。周辺の温度は屋外で2~3℃程度低下します。
家庭で使用するエアコンの1/20程度のエネルギーで済むことから、省エネルギーな熱中症対策です。
冷却装置ではないミストシャワーがあります。浴室で使用するシャワーで、微細なミストで身体を優しく洗う目的のものです。消臭除菌用もあります。
また、ミストシャワーを加湿装置として使用する場合もあります。
ミストシャワーの使用用途
家庭や業務用として、幅広い用途があります。特に水道の圧力を使って、電力0でミストシャワーが使えるタイプは、経済的と言えます。
家庭では、ベランダや軒下に設置して暑さ対策、子供の水遊びなどに手軽に使えます。エアコンの室外機を冷却してエアコンの効率を上げる使い方もあります。
業務用として、店舗・病院・美容院・カフェなどの入口に設置すると、お客にひんやり感を与えることができます。屋外のイベント会場、ゴルフ練習場、パラソルやテント、海の家、ショッピングモール、高速道路のサービスエリア、動物園などの用途もあります。スポーツ大会や学校での熱中症対策、工事現場、酪農場などの暑さ対策に使えます。
店舗の空調機や冷凍冷蔵ショーケース用冷凍機の室外ユニットをミストシャワーで冷却することにより、大幅な省エネが図れます。工場の屋根やコンビニの屋根の冷却に使用して環境改善を図ることができます。
食品工場などで、人の出入り時に除菌・消臭に用いるミストシャワーもあります。
ミストシャワーの原理と特徴
水が蒸発して気化する時の気化熱は、カロリー単位を使うと、水1g当たり584kcalです。この熱量を周囲の空気から奪うので、空気の温度が下がる効果が出ます。水は水蒸気の形で空気中に放出されるので、閉空間では空気の湿度は上昇します。
気温が高く湿度が低いほど気化が進み、冷却効果が大きくなります。
水をミスト状にすると、気化が速くなります。水を7MPaまでポンプで加圧してノズルから吹き出すと、ミストの平均粒径が10μ以下となり、濡れのない霧状のミストになります。気化が速く周囲の温度を急速に低下させます。
水をミスト状にする方法として、ポンプを使用せず水道の圧力のみを使用してミストを作ることもできます。ノズルによりミストにしますが、水道の圧力次第でミストの粒径がやや大きくなることもあります。しかし、電力を使わない大きなメリットがあります。
ミストシャワーは、屋外も冷却できるという大きなメリットがあります。しかも従来の空調機と違って、電力消費が非常に小さいことも大きな特徴です。
ミストシャワーの使い方
ミストシャワーは、一台のミストポンプを使って、広範囲のスペースを効果的に冷却できます。
ミストシャワーを目的とするエリアの周りに取り囲むように設置して、冷却効果を高めます。イベント会場や工事現場など短期間に使用する場合は、自立型のシャワー装置が便利です。
ミストの気化熱による冷却効果は屋内にも活用できます。屋内空気の温度が高く、湿度が低いほど冷却効果が大きくなります。屋内でミストシャワーを使用する場合は、特に室内の湿度が上がらないように、換気を十分する必要があります。換気扇やルーフファンなどによって換気を良くし、ミストによって室内の湿度が上がるのを抑制しつつ温度を下げることができます。
工場の熱中症対策として実施した例では、工場内の湿度を上げずに温度を2~4℃低下する効果が出ています。大規模な空調装置を使用せずに、少量の水とミストポンプ及び換気装置の電力だけで、大幅な省エネ熱中症対策が達成できます。
まず必要とする温度低下と換気量から冷却熱量を求めます。次に冷却熱量から必要な水量を計算し、ノズルのサイズと個数を求めて、ミストシャワーの仕様を決めることができます。水量から必要な換気量を求め、当初予定した換気量と大差があれば、修正して再度計算します。
ミストシャワーによる環境改善は、屋外空間ばかりでなく、加工工場、組み立て工場、加熱処理する工場、及び自動車の整備工場、倉庫、体育館など広い空間への適用が広まっています。
ミストシャワーの加湿効果
ミストシャワーは、微細なミストを噴霧するので、周囲を濡らすことなく、室内湿度を高める効果があります。
紙、繊維、木材の加工工場、印刷工場などでは、一定の湿度を保つ必要があります。湿度センサーを用いて制御装置により、一定の湿度にすることができます。ミストシャワーだけでは、温度が低下するので、加熱装置も必要です。
農業用のハウス栽培やきのこ栽培では、適切な湿度と温度が要求されます。ミストシャワーは、夏の冷却、乾燥時の加湿による湿度管理に効果を発揮します。