零相リアクトルとは
零相リアクトルは、インバータの周辺機器として使われるリアクトルの一種です。
リアクトルは電線をコイル状に巻いた構造をしており、インバータの入力側または出力側に設置することで、高周波電流の阻止やノイズの低減などの効果を発揮します。
一般的なリアクトルがチョークコイルなどのように電線を単独で巻いているのに対し、零相リアクトルは三相の電線を極性と巻き数が等しくなるように巻いたリアクトルです。零相リアクトルは、インバータを稼働した際に発生するノイズを低減します。
零相リアクトルの使用用途
零相リアクトルは、インバータの入力側・出力側に設置して、インバータから発生するノイズが周辺機器に与える影響を低減するために使われます。
インバータは、家庭用のエアコン・冷蔵庫・炊飯器や、産業用のモーター・ポンプ、エレベータ、医療電子機器など、さまざまな分野で使われており、インバータの周辺機器である零相リアクトルも幅広く使用されています。
零相リアクトルは、数MHzまでの周波数帯のノイズ抑制に効果があるため、ラジオ・テレビへの電波障害の低減、計測器・センサーの誤作動防止などの目的で使用されます。
零相リアクトルの原理
零相リアクトルは、三相の電線を極性・巻き数を同等にしてまいた構造をしています。零相リアクトルはリング形状をしており、インバータの入力側または出力側の電線をリングに巻きつけるか、またはリングの中を貫通させて使用します。
インバータを動作させると電線に交流電流が流れ、零相リアクトルのリング内に円周方向の磁束が発生します。交流電流の変化に応じて磁束も変化し、電線に電流の変化を妨げる方向の逆起電力が発生します。この逆起電力の効果で、放射ノイズの原因である零相電流が低減します。
零相リアクトルは、インバータの入力側・出力側どちらにも設置できます。インバータの入力・出力タイプには単相と三相がありますが、三相インバータに零相リアクトルを設置するときは、各相を一括で貫通させるか、同一方向に巻きつける必要があります。巻きつける回数が多いとノイズ低減の効果も高くなります。
電線をリングに貫通させて使用する場合は、複数の零相リアクトルを並べて貫通させます。このとき、零相リアクトルの数と、巻きつけて使用する場合の巻きつける回数が同じであるなら、ノイズ対策効果は等しくなります。