ディスポシリンジ

ディスポシリンジとは

ディスポシリンジ

ディスポシリンジとは、ディスポーザブルシリンジの略称であり、一般的にはポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂製の使い捨てシリンジのことです。

シリンジは本来、注射器を構成する部品のうち、筒の部分を指します。それに対して、ディスポシリンジは通常、針以外の注射器全体が一体の製品として使用・販売されています。

ディスポシリンジの使用用途

ディスポシリンジの主な用途は、医療における注射や薬物の計量、実験や分析において液体の計量、注入などです。また、液体だけではなく、気体の抜き取りや密閉容器の加圧などに用いられることもあります。

ディスポシリンジは使い捨てとして用いられるため、不純物や異物の混入 (コンタミネーション) の恐れが低いことが特徴です。そのため、特に医療用途や化学実験用途で重宝されています。

ディスポシリンジの原理

ディスポシリンジはシリンジ (筒の部分) と可動部であるプランジャ (押子) 、プランジャが動作するときに気密性を確保するガスケット部分で構成されています。プランジャが前後することで内容積を変化させ、気体や液体を吸引・吐出できるようになっています。

ガスケットは気密性を高めるため、ゴムなど軟質のものを用いる場合が多いです。

ディスポシリンジの選び方

1. 材質

ディスポシリンジのシリンジ部分とプランジャ部分は樹脂製である場合がほとんどですが、内容物に接液するガスケット部分には気密性確保のために、ゴム素材を用いることが一般的です。ゴムは成分の溶出が多い素材として知られているため、使用目的を考慮し、ゴム素材の使用が適切かを検討する必要があります。

最近では、ガスケットにゴム素材を使用しないオールプラスチックの製品も存在しています。プラスチック製品についても、一般的なポリプロピレンのほか、化学実験用にはフッ素樹脂を用いたものもあります。

このように、材質は多様な使用となっており、選定時には材質が使用目的にあったものであるか確認することが大切です。

2. 先端の形状 (フィッティング)

先端の形状は、ルアースリップ型とルアーロック型の2種類が代表的です。

ルアースリップ型
ルアースリップ型は先端がテーパ状となっており、注射針をまっすぐ差し込んで使用します。ル注射針を付け替えて使用する場合や、先端にチューブなどを接続して用いる場合に使用される場合が多いです。

ルアーロック型
ルアーロック型は先端にロック機構がついており、注射針をねじ込むことでしっかりと固定することが可能です。注射針が外れることで危険が及ぶような有害液体の計量時などに使用されます。

 

そのほかの形状として、浣腸や膀胱洗浄の用具との接続に用いられる浣腸式、カテーテルに接続する際に用いられるカテーテルチップ型などがあります。

3. 筒先位置

筒先位置は、主に中口と横口の2種類があります。

中口
中口は筒先がシリンジ中心から伸びている形状であり、主に小容量の製品に広く使用されます。

横口
横口は筒先がシリンジの円周部付近から伸びており、容量が大きな製品に主に使用されています。これは、大容量のシリンジでも針の取り回しが容易であり、注射時に角度をつける必要がないことと、太いシリンジの空気抜きは円周部の1箇所に空気を集めたほうが行いやすいことが理由です。

4. 滅菌の有無

医療用として販売されているディスポシリンジは、注射や採血に用いられることが前提であり、滅菌された状態で販売されています。

研究用・実験用のディスポシリンジは、仕様により滅菌されていないものもあるため、目的に応じて選択する必要があります。

ディスポシリンジのその他情報

有機溶剤の計量

有機溶剤などを計量する際は、樹脂が変質する可能性があるため、事前に耐溶媒性の確認が必要です。また、シリンジの樹脂成分や樹脂の可塑剤の成分が溶出する可能性があります。

そのため、樹脂を使うことで使用目的が妨げられないかの事前検討をすることが好ましいです。これらの理由で、有機溶剤の計量を行うときは、事前の検討が必要です。有機溶剤の種類によっては、ガラス製のシリンジ (ディスポーザブルでない) を用いらなければなりません。

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