監修:株式会社芝田技研
風量測定とは
屋内やダクトを流れる風量を測定することを風量測定と呼んでいます。昨今のコロナ対策等の事情から、屋内の空気の状況を知る目安として風量を測定する機会が増えてきています。風量を測定することによって、換気が適切に行われているかを確認することができます。
これまでも、さまざまな労働環境を改善するため、また、製品の品質保持のため、多くの場所で風量測定が行われてきました。
風量測定は、労働場所である企業が風量計を利用して測定を行う場合もありますが、高い測定精度が求められる場合には専門の業者に測定を依頼するケースもあります。また、建築設備定期報告が義務付けられている場合には、建築物に応じて風量測定が必要になることがあります。
風量測定の使用用途
風量測定は、屋内の空調設備の調節や管理を行う際によく実施され、その測定結果が利用されています。風量を測定することにより、換気の程度を確認し、空調設備を適正化することが出来るため、人が集まるオフィスや工場、クリーンルーム等で測定が行われています。
また、屋内の空調がきちんと循環していることを確認し、過剰な送風によってエネルギーのムダにならないように調節することができるため、電力削減にも貢献しています。
他には、住宅の気密性や性能を評価するためにも、風量測定が利用されています。レストランや劇場など定期報告の必要な建築物の建築設備の点検項目には、換気設備の点検が義務づけられていて、換気扇やレンジフードの風量測定結果を、定期的に行政庁に報告しなければなりません。
また、フィルムやテープなどの塗工工程においては、風量のあるダクトや吹き出し口の風量を計測することで製品の品質を均一化することができます。食品製造においても乾燥させる工程や湿度管理が必要な場合には、空調管理が必須となるため、風量測定が重要な役割を担っています。
風量測定機器の種類
- 熱線式風量計
プローブを熱線としてあたため、測定場所から受けた風によって冷却されると内部の電気抵抗が下がる性質を利用した風量計です。電気抵抗の変化を読み取り、風速を求め、風量に換算して計測します。
小型で携帯しやすい形状の製品が多く、比較的温度が一定な場所の測定に向いているので、クリーンルーム等でもよく利用されています。測定場所によるバラつきが多くなってしまう場合があり、測定条件の検討が重要です。
- 風車型風量計(ビラム式、ベーン式と呼ばれることもあります)
風車の回転速度を計測して風量を求める方法です。風車が回転するためには、ある程度一定の風速が必要となりますので、風量の変化が激しい場合は測定が安定しないというデメリットがあります。温度変化の影響を受けないというメリットもあります。
- ピトー管式風量計
ピトー管と呼ばれる特殊な管を利用し、風に対して正面方向と垂直方向の2か所の圧力を計測します。その圧力差から風速を計算し、風量に換算します。
- ガストレ式風量計測
CO2 ガスをダクトの入口から一定量を流し続け、風量が多ければCO2 ガスの濃度が薄くなり、少なければ濃度が濃くなる性質を利用して、風量を直接計測します。そのため、風速に依存しない精度の高い測定結果を得ることができます。また、ダクト内等に設置した他の風量計のキャリブレーションもこの方法によって行うことができます。
風量測定の計算方法
ダクト内の風量計算方法について紹介します。ダクト内の風量を測定する計算はJIS A 1431において規定されています。
風速については、JIS B 8330において規定されている方法で測定済として扱います。計算前に調べなければいけない情報は、ダクトの断面積です。図面等にない場合は、ダクトの断面積はダクトの直径に、円周率をかけて計算します。準備が出来たら以下の計算方法を使用します。
風量 = 風速 × ダクトの断面積 × 時間
この計算では、風量を表す単位と風速、断面積、時間の単位が合うように気を付ける必要があります。
本記事は風量測定を取り扱う株式会社芝田技研様に監修を頂きました。
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