エチルビニルエーテル

エチルビニルエーテルとは

エチルビニルエーテル (英: Ethyl Vinyl Ether) とは、特有のエーテル臭を有する無色の液体で、化学式 CH2CHOC2H5の有機化合物です。

別名として、エトキシエテン、ビニルエチルエーテル、3‐オキサ‐1‐ペンテンなどがあります。厚生労働省による職場の安全データシートや日本国内の大手試薬メーカーのウェブサイトでは、主に「エチルビニルエーテル」の名称が使用されています。

エチルビニルエーテルは、主にポリマーの原料や有機合成試薬、吸入麻酔として用いられています。エチルビニルエーテルの引火点は-45度と低く、容易に引火してしまうため、危険物第4類の特殊引火物に定められています。

エチルビニルエーテルの使用用途

エチルビニルエーテルは、主にポリマー合成における原料モノマー、有機化学反応における試薬、吸入麻酔として使われています。また、エチルビニルエーテルは、有機溶媒に溶けやすいことから塗料や接着剤の溶剤としても活用されています。

エチルビニルエーテルはビニル基構造を有しており、重合によってポリエチルビニルエーテルへと変換することが可能です。例えば、ブレンステッド酸またはルイス酸を触媒としてエチルビニルエーテルをカチオン重合することにより、ポリエチルビニルエーテルが得られます。ポリビニルエーテル類は、接着剤やインク材料、コーティング材料の原料です。

有機合成試薬としては、様々な有機化学反応の原料として使われています。また、エチルビニルエーテルは吸入麻酔としても使用されています。厚生労働省による職場の安全データシートによると、エチルビニルエーテルの吸入による外科麻酔濃度は6%です。

エチルビニルエーテルの性質

化学式 CH2CHOC2H5
日本語名 エチルビニルエーテル
英語名 Ethyl Vinyl Ether
CAS番号 109-92-2
分子量 72.11 g/mol
融点/凝固点 -115℃
沸点または初留点および沸騰範囲 36℃
引火点 -45℃

 

エチルビニルエーテルは、エタノール、エーテル、アセトンに溶けやすい性質を持っています。一方で、水には不溶です。

エチルビニルエーテルのその他情報

1. エチルビニルエーテルの有害性

エチルビニルエーテルは、吸引麻酔として使用されている有機化学化合物です。そのため、エチルビニルエーテルを吸入してしまった場合、めまいや眠気などが起こる可能性があります。エチルビニルエーテルを使用する際は、換気の良い場所で作業し、必要に応じて呼吸器の保護具を着用してください。

エチルビニルエーテルの皮膚や眼への毒性や刺激については、動物試験によって刺激なしとの結果が得られています。しかし、非常に引火しやすい危険物であるため、エチルビニルエーテル取り扱い時は保護手袋、保護メガネ、保護具の着用が推奨されています。

2. エチルビニルエーテルの使用上の注意

エチルビニルエーテルは、消防法により危険物第4類の特殊引火物に指定されている危険物です。引火点が-45度と非常に低いため、熱・火花・火炎によって簡単に引火します。また、エチルビニルエーテルの蒸気と空気の混合気体は爆発性を有しています。

安全対策は、熱や火花、高温のヒーターといった着火源を近くに置かないこと、火花を発生させない実験環境で取り扱うこと、静電気放電に関する予防措置を実施することなどです。また、エチルビニルエーテルは酸化剤や酸と激しく反応し、爆発や火災を発生させるおそれがあります。

一度に大量に使用する場合は、特に注意して取り使わなければなりません。重合反応や有機合成にエチルビニルエーテルを用いる際は、安全データシートをよく確認し、安全対策をとったうえで実験を行ってください。

3. エチルビニルエーテルの安定性

エチルビニルエーテルは、熱や光によって重合反応が進行することがあります。そのため、エチルビニルエーテルが試薬として販売される際は、通常、安定剤として水酸化カリウムが0.1%程度添加されています。試薬を安定に保つため、冷暗所での保管が必要です。

4. 廃棄処分方法

エチルビニルエーテルは、環境に放出してはならない化合物と定められています。そのため、エチルビニルエーテルを廃棄処分する場合は、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して適切に処分してください。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0105-0191JGHE.pdf

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