コリオリ式流量計

コリオリ式流量計とは

コリオリ式流量計

コリオリ式流量計とは、コリオリの力を利用した流量計です。

質量流量の測定が可能な数少ない流量計で、質量流量の計測が必要になる薬品や食品の製造過程において頻繁に利用されます。

その他の多くの流量計では体積流量のみ測定可能で、体積流量から質量流量を得るためには圧力計温度計密度計等を用いて換算を行う必要があります。しかしコリオリ式流量計は、単体で高い精度で質量流量の測定結果を得ることができます。

コリオリ式流量計の使用用途

コリオリ式流量計は、主に質量流量を測定する際に使用されます。体積流量は圧力や温度の影響により変化するため、それらの影響による誤差を許容できない場面では、質量流量の測定が用いられます。広範囲な産業分野で使用されており、代表的な使用用途の例は下記の通りです。

1. 石油化学産業

石油や化学物質の生産過程で、原料や製品の質量流量を測定するために使用されます。石油製品の輸送など製品の取引前後で流体の温度が大きく変化する場合。液化天然ガス (LNG) や、液化石油ガス (LPG) など、産地によって性状が大きく異なる場合などがあります。

2. 食品産業

食品の生産過程で、液体や粘性のある材料の流量を測定するために使用されます。例えば、チョコレートや糖蜜などの流量を測定する場合に使用されます。

3. 製紙産業

紙漉き工程で、液体の流量を測定するために使用されます。また、各種化学液体の投入量や混合比率の調整にも使用されます。

4. 医療産業

医療用途で使用される薬剤の流量を測定するために使用されます。

5. 消防用途

火災消火用ホースや放水管内の水流量を測定するために使用されます。

これらの用途以外にも、航空宇宙産業、自動車産業、エネルギー産業、水処理産業など、様々な産業分野で使用されています。

コリオリ式流量計の原理

コリオリ式流量計は、コリオリの力を利用して質量流量・体積流量・密度・温度を高精度で測定することができます。コリオリの力とは、物体が回転する座標系で運動する際に現れる見かけ上の力ことです。

U字型の管の中に振動子を設置し、流体を管内を通過させます。振動子は、振動子に流体が当たる際に生じる慣性力により、管の回転に関連する横方向の振動を発生させます。流入口と流出口に設置されたセンサーが振動にするチューブのねじれ角の位相差を測定することにより、質量流量を得ることができます。

フローチューブは固有の振動周波数で振動し、内部流体の密度に応じて変化する周波数より流体の密度を得ることができます。流量計内部には温度計が設置されており、この温度情報によりフローチューブの硬さの補正をすることで、高精度の測定を可能にしています。

測定された情報をもとに、体積流量・濃度・比重等の算出も同時に行うことが可能です。流体と接触するのはフローチューブのみで、可動部がないため様々な種類の流体を高精度で測定できます。

コリオリ式流量計のその他情報

コリオリ式流量計の特徴

コリオリ式流量計の主な特徴は以下の3点です。

1. 対応粘度範囲が広い
コリオリ式流量計の対応粘度範囲はグレードにもよりますが10,000CP (はちみつ等) 以下とされています。高粘度流体の測定に適している流量計の例として容積式流量計、超音波式流量計、電磁式流量計があります。高粘度かつ流体の性状がスラリー (容積式流量計、超音波式流量計が不利) 、非伝導性流体 (電磁式流量計が不利) である場合にコリオリ式流量計が有利となる場合があります。

2. 高価格
コリオリ式流量計の価格は最低でも数十万~百万円程度です。これは装置内部のパイプの機械加工ねじれ角の位相差検出を行うセンサー制御に高度な技術を必要とするためです。

3. 圧損が大きい
コリオリ式流量計内のチューブは細く設計されており、大きな圧力損失を生じます。これはチューブ内の流速を上げる、コリオリの力を強くすることでセンサーの感度を上げるためです。

参考文献
https://www.oval.co.jp/techinfo/keisoku/coriolis.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/type/coriolis.jsp

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