ペルチェモジュール

ペルチェモジュールとは

ペルチェモジュール

ペルチェモジュールとは、熱電効果を利用して熱と電気を相互に変換するための装置です。

ペルチェ効果と呼ばれる現象を利用して、電流が通ることで一方向に熱が移動します。ペルチェ効果は、19世紀にフランスの物理学者ジャン=シャルル・アサユール・ペルチェによって発見されました。

この効果は、異種の導電体を接触させた場合、電流が流れることで熱の移動が生じる現象です。一般的には、セラミックやセミコンダクタ材料で作られた複数のペルチェ素子から構成されます。

ペルチェモジュールは比較的小型であり、高い制御性能を持つため、電子機器の冷却や熱管理にも利用されます。機械的な部品を使わないため騒音を発生させず、部品の消耗などに考慮する必要がありません。ただし、効率の面では改善の余地があり、他の冷却・加熱技術が効果的である場面も多いです。

ペルチェモジュールの使用用途

ペルチェモジュールは、さまざまな用途で使用される部品です。以下はペルチェモジュールの使用用途一例です。

1. 電子機器の冷却

ペルチェモジュールは、電子機器内で発生する高熱を効果的に排熱するために使用される装置です。コンピュータの中のCPUやグラフィックスカードは、高負荷時に大量の熱を発生します。ペルチェモジュールは、これらの部品に直接取り付けられ、冷却を行うことが可能です。

一方の側に電流を通すことで、他方の側が冷却されます。これにより、電子機器の動作温度を下げ、性能の安定性や信頼性を向上させることが可能です。

2. 冷蔵庫・冷却装置

一部の小型冷蔵庫や冷却装置には、ペルチェモジュールが使用されています。ペルチェモジュールは、小型で静音性が高く、移動が容易な点が特徴です。

そのため、個人用の小型冷蔵庫や冷却装置、ホテルの客室向け冷蔵庫として使われることがあります。ただし、大容量の冷却や高効率の冷却が必要な場合には、圧縮冷凍機などが適していることが多いです。

3. 光学機器の冷却

ペルチェモジュールは光学機器の冷却にも使用されます。望遠鏡やレンズなどの光学装置部品は、熱による膨張や収縮で光学特性が変化することも多いです。光学素子を冷却することで温度変化を最小限に抑え、光学系の安定性や精度を向上させることができます。

また、半導体レーザーなどは駆動によって温度が高くなることがあります。過熱による故障を防止するために、ペルチェモジュールで冷却する場合も多いです。

ペルチェモジュールの原理

ペルチェモジュールの原理は、熱電効果と呼ばれる現象に基づいています。熱電効果は、異種の導電体を接触させた場合に電流が流れることで熱の移動が生じる現象です。ペルチェモジュールは、この熱電効果を利用して熱と電気を相互に変換する装置です。

ペルチェモジュールの素材は、P型半導体とN型半導体および金属によって構成されます。2枚の金属板の間に、P型半導体とN型半導体が交互に接合された構造です。N型半導体からP型半導体に電流が流れると接合されてる金属板は冷却をされ、P型半導体からN型半導体に電流が流れると加熱をされます。

なお、ペルチェモジュールに温度差を印加すると、電圧が発生します。この現象はゼーベック効果または逆ペルチェ現象です。熱電対温度計などに応用されます。

ペルチェモジュールの選び方

ペルチェモジュールを選ぶ際は、動作電圧、発生温度差・吸熱量、寸法などを考慮します。

1. 動作電圧

動作電圧は、ペルチェモジュールが許容可能な電圧です。DC電源を供給する必要があり、30V以下の低電圧製品が多いです。選ぶべき動作電圧は使用する電源や制御システムの仕様に合わせる必要があります。

2. 発生温度差・吸熱量

ペルチェモジュールは、冷却または加熱を実現するために温度差を発生させます。必要な冷却・加熱能力に応じて、モジュールの発生温度差と吸熱量を選定することが必要です。大きな温度差と高い吸熱量が必要な場合は、それに対応する能力を持つモジュールを選択します。

3. 寸法・形状

使用する環境や装置の制約に基づいて、ペルチェモジュールの寸法と形状を選ぶことが必要です。空間の制約や設置場所の形状を考慮し、適切な寸法と形状のモジュールを選択します。特に、小型のモジュールや特殊な形状が必要な場合は、それに合致したモジュールを選定します。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/micromechatronics/48/1/48_KJ00001061035/_pdf/-char/ja
http://mcm-www.jwu.ac.jp/~physm/buturi18/perutye/WPE.htm

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