ゴム添加剤

ゴム添加剤とは

ゴム添加剤とは、ゴム製品に弾性や強度などの機能を付与する化学薬品です。

原料ゴムは、そのままの状態では粘り気のある柔らかい物体に過ぎず、工業製品としての実用性はありません。原料ゴムに特定の化学物質を混ぜ合わせて熱を加えることでゴム製品へと変化します。この変化を引き起こし、製品の品質を決定づける物質がゴム添加剤です。

ゴム添加剤には数百種類以上が存在します。最も代表的なものは、ゴム分子同士を結合させて弾力を生み出す架橋剤です。一般的に硫黄を用いることが多く、この反応を加硫と呼びます。また、加硫の反応速度を調整する加硫促進剤も併せて使用され、製造時間の短縮や物性の調整に寄与します。他にもゴムを柔らかくする可塑剤や着色を行う着色剤など、目的の製品特性に合わせた多様な添加剤が存在します。

ゴム添加剤の使用用途

ゴム添加剤は以下のような用途で使用します。

1. タイヤ

ゴム添加剤が最も大量に使用される分野は自動車用タイヤです。タイヤは車両の重量を支えながら高速で回転し、路面との摩擦に耐えなければなりません。そのため、ゴムの強度を飛躍的に高めるカーボンブラックや、転がり抵抗を低減して燃費を向上させるシリカが多量に配合されます。また、走行中の発熱や直射日光による劣化を防ぐために、強力な老化防止剤も欠かせません。

2. 工業用ゴム部品

工業用部品も添加剤を使用します。エンジンルーム内で使用するホースやベルトは、高温や油に常に晒される過酷な環境で使用します。そのため、耐熱性や耐油性を強化する特殊な可塑剤や老化防止剤が配合します。また、建物の免震ゴムのように数十年にわたる耐久性が求められる製品では、長期間にわたって物性が変化しないような安定性の高い架橋剤を用います。

3. 日用品

靴底やゴム手袋といった身近な日用品にも目的に応じた添加剤を使用します。子供向けの製品では、安全性への配慮が最優先されます。アレルギー反応を引き起こしにくい加硫促進剤を配合したり、人体に無害な軟化剤を使用します。また、デザイン性を追求する長靴のソール部分には、鮮やかな色を出すための着色剤を配合します。