リン酸リチウム

リン酸リチウムとは

リン酸リチウムとは、化学式Li3PO4で表わされるリチウムのリン酸塩です。

第三リン酸リチウムとも呼ばれます。無臭の白色粉末です。リン酸リチウムの製造方法として、リン酸水酸化リチウムとの反応によって得る方法が知られています。

リン酸リチウムは、GHS分類において急性毒性 (経口) 、眼刺激性に分類されています。リン酸リチウムの法規制は、労働安全衛生法、労働基準法、PRTR法、毒物および劇物取締法においては、いずれも非該当です。

リン酸リチウムの使用用途

1. オイル添加剤

オイル添加剤とは、一般に増ちょう剤とも呼ばれており、グリースなどの製造時に添加することで、半固体や固体に形状を変化させることができる添加剤です。また、増ちょう剤の種類によってはグリースの性質や性能が変化することから、グリースの性質に関わる重要な添加剤と言えます。

2. 融剤

融剤とは、物質を融解しやすくするための添加剤です。リン酸リチウムは、とくに窯業において広く用いられていることから硝子、陶器、磁器などの製造に使用されています。

3. 電池

リチウムイオン電池やその他のリチウム系二次電池など、様々な高性能エネルギー貯蔵装置の製造原料に使用されています。リン酸リチウムバッテリーは、携帯電話、ノートパソコン、その他のデバイスに広く使用されており、重要なバッテリーの1つです。

また、リン酸リチウムを原料に製造されるリチウムリン酸鉄電池は、他のリチウム電池に比べて寿命が長く、メンテナンスが不要であり、極めて安全で軽量で、放電および充電効率が高いなどのメリットがあります。

4. その他

ポリマー中間体、およびプロピレンオキシドの異性化触媒、発酵塗料原料などに利用されています。

リン酸リチウムの性質

リン酸リチウムは、分子量115.79 g/mol、CAS番号 10377-52-3で表わされる白色の粉末です。水に極めて溶けにくく (0.039g/100g、18℃) 、酸またはアンモニアに可溶です。

標準的な大気条件において化学的に安定しています。融点は837℃で、沸点、引火点に関するデータはなく、可燃性物質ではありませんが、微細に分散し、舞い上がった場合に、粉じん爆発を起こす可能性があります。

混触危険物質に強酸化剤が指定されており、火災時等において、リン酸化物、酸化リチウムなどの危険有害な分解生成物を生じる可能性があるため注意が必要です。

リン酸リチウムのその他情報

1. 安全性

強い眼刺激性があり、飲み込むと有害です。眼に入っ た場合は、水で数分間注意深く洗い、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外し、洗浄を続ける必要があります。飲み込んだ場合は、口をすすぎ、体調が回復しない場合は毒劇物センター、もしくは医師に連絡します。

皮膚に付着した場合は、直ちに石鹸と大量の水を使用して洗浄が必要です。吸引した場合は、新鮮な空気のある環境に移動し、体調が回復しない場合は医師に連絡します。

2. 取扱い方法

作業者は、保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面、保護マスクを着用します。屋内作業場の場合は、発生源の密閉化、または局所排気装置を設置し、取扱い場所の近くに安全シャワー、手洗い・洗眼設備を設け、その位置の明確な表示が必要です。

取扱い中は、飲食、喫煙を禁じ、取扱後は顔、手、皮膚を良く洗います。

3. 保管

高温および直射日光を避け、換気のよい涼しい場所に密閉して保管します。容器包装材料はポリプロピレン、ポリエチレンが適切です。内容物および汚染容器等の廃棄時は、地域、国、現地の適切な法律、規則に則った処理が必要です。

4. 火災時の措置

消火剤は指定されていないことから、現場状況および周囲の環境に応じ、適切な消火剤で消火を行います。リン酸リチウムは火災により、刺激性や可燃性のある有毒ガス、蒸気を放出する危険性があることから、消火活動時は個人用保護具を着用し、消防士は自給式呼吸器および消火装備を着用する必要があります。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0112-0126JGHEJP.pdf

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