機械構造用炭素鋼鋼材

機械構造用炭素鋼鋼材とは

一般的には、SC材といわれます。Sは鋼Steel、Cは炭素Carbonです。主に機械部品、自動車のミッションやボルト・ナット、またドリルチャックレンチ工具類などにも使用されます。

S10CからS58Cまで23種類あり、中央の数字は、炭素量×100%を表しています。炭素量が多くなると、強度は上がりますが、靭性は低くなります。合金鋼に比べ、低硬度なので、加工が容易です。

SC材の中ではS30C〜S50Cがよく使われますが、普通鋼が化学成分の規定がないのに対して、SC材はJISで各元素の成分規定があります。有害物質のリンと硫黄も普通鋼より少なく規定されているため、その分だけ高価格な材料となります。

機械構造用炭素鋼鋼材の使用用途

焼き入れ・焼戻しなどの熱処理前であれば、切削加工が容易なので、歯車などの切削加工を実施する際には、切削加工後に熱処理を行います。また、研削加工では、切削加工の後に熱処理を行い、その後に寸法を作り込むために研削を実施します。一方、熱により性質が変化するので、熱を使う溶接加工を実施する部品には使用しません。

エンジンやその周辺部品のギアのほか、プーリーブラケットのような機械部品にも使われます。具体例をあげると、ポンプ、ブロアコンプレッサ、回転式機械の回転軸油圧ジャッキ、往復動型の軸材料、軸材各種、ボールネジ・台形ねじの軸材、移動台車用のレール材、ギヤ、スパナパイプレンチなどの工具類にも使われます。

機械構造用炭素鋼鋼材の種類

JISでは、23種類のSC材鋼材規格が設定されています。 SC材の炭素量は、0.08~0.6%に規程されていますが、これを超える炭素量になると、SK材と規程されます。JIS記号の最後にKがついている材料、例えばS15CKは、浸炭は、だ焼き専用鋼を示します。JISでは、3規格にKが末尾に付記されいます。歯車製造時などでは、最終工程で歯部表面に浸炭処理の実施により、炭素量の少ない材料においても、表面に強度を持たせることができます。

JISでのSC材成分は、Cの他にSi、Mn、P、SがJISで規程されています。炭素量が多くなる程、強度が上がるので、一般に、高強度部品にはS30C以上の鋼材が用いられています。

SC材は、室温時にパーライトフェライトの混合金属組織を担っていて、炭素量の増減に比例してパーライト組織の占める割合が増加します。したがって、完全焼なまし状態の金属組織を調べれば、パーライト組織の占める割合からそのSC材の炭素量を断定することが可能です。使用頻度の高いS40Cのパーライト組織の占有面積率は約50%です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です