ゴム塗装

ゴム塗装とは

ゴム塗装

ゴム塗装とは、ゴムに対する塗装技術を指しています。ゴムは、塗装に限らず経年劣化による加水分解や可塑剤の移行が原因となり、塗膜がベタついたり、他の成形品に色が移ってしまうことがあります。

また、ゴムの種類には、さまざまな種類があり、メーカーによってゴムの製造方法が異なります。さらに、ゴムは、シンナーなどの有機溶剤に溶け出すため、溶剤を使用する際には特に注意しなければなりません。そのため、ゴムに対する塗装は、扱いが難しく、同じゴムの種類であっても塗装がうまく密着しないなどといった問題が生じます。

しかし、昨今は、技術の進歩もあり、ゴム用の塗料が豊富になりました。したがって、塗装を施した後でも問題が生じることが少なくなっています。

ゴム塗装の使用用途

ゴムに対する塗装は、わたしたちの生活にも取り入れられています。例えば民生品としては、リモコンなどのラバースイッチが挙げられます。ラバースイッチは、ボタン操作により家電製品を動作させるためのボタンですが、ラバースイッチにゴム塗装を行うことにより、耐熱性や耐水性、対薬品性、耐候性などの特性を付与することができます。また、ユーザーの利便性を向上させることにもつながります。

そのほかの産業用途では、野球場やテニスコート、港湾などにおいて使用されるラバーフェンスが挙げられます。球技場で使用されるラバーフェンスは、選手が衝突した際に衝撃を吸収し、怪我を防止する目的で使用されます。港湾で使用されるラバーフェンスは、漂流物の侵入を防ぐ目的で使用されます。

これらは、ポリエチレンフォームやポリウレタンフォームなどが活用されており、ゴム塗装を行うことで、光沢性や耐摩耗性、対傷性などが向上します。また、景観が良くなることから視認性も向上します。

ゴム塗装の原理

ゴムを対象とした塗装には、昔から使用されている油や石油の副産物として生成された原料を使用する方法など、塗装の対象や塗装後の環境に合わせて行う必要があります。いくつかの塗料を例として解説します。

ゴムを用いた塗料には、塗料の原料となるゴムに、さまざまな種類があります。まず、原料となるゴムには、天然ゴム(NR)や合成天然ゴム(IR)、ブタンジエンゴム(BR)、ブタジエンスチレンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)などがあります。これら以外にも、配合剤や加硫条件を組み合わせることにより、種類が極めて多くなります。

そのほかの塗料としては、油性塗料や酒精塗料、合成乾性油塗料、合成樹脂塗料、グラフト共重合体などが挙げられます。以下で、それぞれの塗料を解説します。

1. 油性塗料

古くからゴム靴用の塗料として活用されており、アマニ油やイオウ、テルペン油、ベンジンなどの硫化油が用いられています。

2. 酒精塗料

タイヤ・雨合羽・幌などに利用されており、コロホニウムやテルペン油、セラック、サンダラックなどが塗料として使用されています。

3. 合成乾性油塗料

石油化学の副産物として生成されたオレフィンのオリゴマーを塗料用の原料として使用しています。合成乾性油は、乾性油をゴムで変性して皮膜に弾性をあたえる使用法として利用されています。

4. 合成樹脂塗料

アルキド樹脂やビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂などを主成分とした塗料です。これらの樹脂をベンゼンなどの有機溶剤に溶かすことで塗料として製造しています。

5. グラフト共重合体

ゴム用塗料のビヒクルにゴムと樹脂の特性を合わせる方法がグラフト共重合体です。例えばゴム溶液にビニルモノマーを加えて、ラジカル開始剤を用いたビニル重合反応を行うことにより、ゴム-ビニル樹脂グラフト共重合体を生成する方法が挙げられます。生成されたグラフト共重合体は、主にゴム履物用の塗料として使用されています。グラフト共重合体の塗料への応用は、発展がめざましく、ゴム用の塗料として注目を集めています。

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