マンガン鋼

マンガン鋼とはマンガン鋼

0.3~0.5%の炭素鋼に1%前後のマンガンを添加したものが機械構造用マンガン鋼です。歯車や車軸などの駆動力伝達機構部品に用いられることが多いです。

マンガン含有量の少ない低マンガン鋼は、張力が高く、高マンガン鋼は、耐磨耗性にすぐれます。また、炭素鋼にマンガンを添加すると焼入れ性が向上します。

熱処理は、高温から徐冷すると結晶粒界に炭化物が析出して低靭性となるため、高温から急冷する処理(水靭処理)が実施されています。

マンガン鋼の使用用途

マンガンは、シリコンと同様に、機械的性質の張力と靭性を向上させます。マンガンが1.5%以上になると伸びが減少しますが、炭素量を低めにして、マンガンを加えることで、張力を低下させずに靭性を高めることができます。鉄に有害な硫黄との親和力が高いので、赤熱ぜい性を防ぐ働きもあります。

JISでは、4種類の成分のマンガン鋼について規格化されています。

駆動力伝達機構部品のコネクティングロッド、フロントアクスル、リヤアクスルシャフト、ボールジョイント等に使用されることが多く、高張力ボルトやUボルト等にも使用されます。他に、加工性を良くするためにマンガンを増し、炭素を減らしたものが非磁性鋼として用いられています。

マンガン鋼の種類

JISでは、4つのマンガン鋼が規程されています。英語文字記号の後ろの数字が大きいほど、炭素量が多くなり、靭性の高い鋼材となります。SMn420は、マンガン鋼の規格の中で、炭素含有量が0.17%から0.23%と最も低い種類の鋼材です。マンガン鋼の規格中、ただ一つの肌焼鋼です。比較的安価で、摩耗耐久性が優れています。

SMn433は、炭素含有量は0.30%から0.36%です。機械構造用合金鋼のなかでは、耐衝撃性に優れている強靭鋼です。水冷焼入れ+空冷焼戻しを実施します。

SMn438は、炭素含有量0.35から0.41%の強靭鋼です。油冷焼入れ+急冷焼戻しを実施します。

SMn443は、炭素含有量が0.40から0.46%と最も多い、強靭鋼です。硬度も229HBW~302HBWと高硬度です。高硬度なため、JISマンガン鋼4種類の規格の中で、降伏点が最高となっています。熱処理の方法は、SMn438と同じです。

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