フィルムテープとは
フィルムテープとは、合成樹脂製の薄い膜を基材として粘着剤を塗布したテープ製品です。
紙製や布製のテープとは異なり、基材にポリエステルやポリイミドといったプラスチック素材を使用している点が特徴です。合成樹脂ならではの特性として、優れた透明性や耐水性、高い引張強度を有します。紙テープのように手でちぎれる製品もありますが、多くのフィルムテープはハサミやカッターを用いて切断する必要があるほど丈夫です。
工業分野では、使用される樹脂の種類によって多様な機能を発揮します。例えば、ポリエステルフィルムは電気絶縁性が高く、電子機器の内部で電流を遮断する役割を果たします。一方で、フッ素樹脂を用いたフィルムテープは滑りやすさや耐熱性に優れており、高温環境下での製造プロセスで重宝されます。
フィルムテープの使用用途
フィルムテープは以下のような用途で使用されます。
1. 電気絶縁
スマートフォンやパソコンなどの電子機器内部では、フィルムテープが高い電気絶縁性を活かして利用されます。特にポリエステルフィルムやポリイミドフィルムを用いたテープは、電圧がかかる箇所でのショートを防ぐための絶縁層として不可欠です。変圧器のコイルを巻く際の層間絶縁や、外装の固定にも用います。
2. 梱包
製品を出荷する際や加工する過程で、傷や汚れから表面を守るためにフィルムテープを用います。液晶ディスプレイの画面や建材の金属板などに貼られる表面保護テープが代表的な使用例です。これらは輸送中の振動や接触による擦り傷を防ぎ、顧客の手元に届くまで製品の美観を維持します。
3. マスキング
塗装やハンダ付けの工程において、特定の部分を保護するマスキング用途で使用します。プリント基板の製造では、高温のハンダ槽に基板を通す際、端子部分にハンダが付着しないよう耐熱性のあるポリイミドテープで覆います。塗装工程においても同様に、色が乗ってはいけない部分をフィルムテープで保護します。高温での焼き付け塗装に耐えうる耐熱性と、工程終了後にテープを剥がした際、被着体に糊が残らない性質が求められます。