ランタン

ランタンとは

ランタンとは、元素記号がLaで表される元素です。

1839年にスウェーデンの化学者であるカール・グスタフ・モサンデル (英: Carl Gustaf Mosander) によって、硝酸セリウムの不純物として発見されました。周期表3族に属する元素で、ランタンからルテチウム (Lu) までの15個存在する分子グループであるランタノイド (英: lanthanoid) の、名前の由来でもあります。

希土類元素ですが、地殻には鉛のおよそ3倍も存在し、リン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩などの鉱物に含まれます。

ランタンの使用用途

ランタンの酸化物であるLa2O3が、セラミックコンデンサや光学レンズの材料に利用されています。LaNi5は水素吸蔵機能を持つ合金として研究されており、ニッケル・水素充電池の負極材に使用される材料の1つとして注目されています。

また、ランタンは他のランタノイド系金属からの単離精製がコスト的に困難です。そのため、純粋なランタンの代わりにランタンを50%以上含むミッシュメタル (英: misch metal) として、開発が進んでいます。

さらに、炭酸ランタンは腎不全患者のリン吸収阻害薬として使用されています。腸管内でリン吸収阻害薬は、リン化合物を形成し、吸収を阻害可能です。

ランタンの性質

ランタンは展延性がある銀白色の金属です。空気に触れるとゆっくりと錆び、ナイフで切れるほど柔らかいです。

室温でランタンとハロゲンが反応すると、三ハロゲン化物が生じます。熱すると非金属のホウ素、炭素、窒素、リン、硫黄、ケイ素、セレン、ヒ素などと二元化合物が得られます。水との反応によって、化学式がLa(OH)3である水酸化ランタン (III) を生成可能です。希硫酸によって水和三陽性イオンである[La(H2O)9]3+を生じます。La3+にはf電子がないため、無色の水溶液です。

ランタノイドの中では最も揮発性が低く、融点は920°C、沸点は3,464°Cです。

ランタンの構造

ランタンの原子量は138.91で、室温付近の密度は6.162g/cm3、融点での液体密度は5.94g/cm3です。ランタノイドの中で、最大の原子半径を持っています。電子配置は[Xe] 5d1 6s2で、価電子を3個有します。したがって、化学反応で通常の酸化数は+3です。

ほとんどのランタノイドのように、室温では六方晶構造を形成しています。310°Cで面心立方構造になり、865°Cで体心立方構造に変わります。

ランタンのその他情報

1. ランタンの製造

ランタノイドの中でランタンは、3番目に豊富に存在します。地殻には39mg/kgほど存在し、セリウム (66.5mg/kg) やネオジム (41.5mg/kg) に次ぐ量です。

フッ化水素酸とランタン酸化物を、塩化アンモニウムやフッ化アンモニウムとともに300〜400°Cで熱すると、塩化物やフッ化物が生じます。その後、真空中やアルゴン中で、アルカリ金属やアルカリ土類金属を用いて還元すると、金属ランタンを製造可能です。

高温でLaCl3またはNaClやKClの溶融混合物を電気分解しても、純粋なランタンは得られます。

2. ランタンの同位体

ランタンの同位体の原子量には117〜155が存在します。天然に生成する安定同位体は139Laと138Laです。天然存在比が99.91%である139Laが、最も豊富に存在します。138Laは放射性同位体で、半減期は105×109年です。

放射性同位体は38種類同定されています。137Laの半減期は60,000年で、140Laの半減期は1.6781日です。それ以外の大部分の同位体の半減期は24時間以内で、そのほとんどの半減期は1分以内です。ランタンには核異性体も3種類知られています。

3. ランタンの危険性

ランタンには低度から中度の毒性があり、取り扱いに注意が必要です。ランタン溶液を注射した際には、低血圧や高血糖症のほか、肝臓の変化や脾臓の変性などが起きます。

ランタンはヒトの代謝にも影響を与えます。具体的には、コレステロール値、食欲、血圧、血液凝固のリスクなどの低下です。脳に注射した際には、モルヒネやアヘン剤と同じく、鎮痛剤として機能します。

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