油水分離桝

油水分離枡とは

油水分離桝とは、排水に含まれる油分を水分と分離して下水道への流出を防ぐ設備です。

油分で汚れた水がそのまま下水管へ流れてしまうと、冷えた油が固まって配管を詰まらせるトラブルが発生します。悪臭が発生する場合もあります。これらを防止するために油水分離枡を設置します。水と油の比重差を利用して分離する仕組みであり、水よりも軽い油が浮上する性質を使って排水から油分を取り除きます。

構造としてはいくつかに分かれた槽が排水の流速を落とすことで分離します。浮いた油脂と沈んだ固体のみをその場に留め、きれいな水だけを排水管へ流します。ただし、溜まった油やゴミは定期的に清掃しなければ機能しなくなるため、日々のメンテナンスが欠かせません。適切な管理を行うことで、衛生的な環境を維持する役割を果たします。

油水分離枡の使用用途

油水分離枡は以下のような用途で使用します。

1. 飲食店

レストランやホテルの厨房など、調理で大量の食用油や肉の脂を使う場所では設置が必須です。調理器具や食器を洗った際に出る排水には、多くの油脂が含まれます。油水分離桝を通さずに流すと、配管内で油が冷えて固まり、管を閉塞させます。また、野菜くずや残飯などの固形物も同時にキャッチし、公共の下水道への負荷を減らします。

2. ガソリンスタンド・整備工場

自動車を扱う施設では、ガソリンやエンジンオイルなどの鉱物油が排水に混ざる可能性があります。また、洗車排水には泥や砂も多量に含まれるため、油分と一緒にこれらを沈殿させて取り除く必要があります。油水分離桝を設置することで引火の危険性がある鉱物油を取り除き、安全を確保します。

3. 工場・駐車場

機械工場や大型駐車場では、床にこぼれた機械油や車両からのオイル漏れが雨水と一緒に流れ出るリスクがあります。こうした油混じりの水が側溝を通じて敷地外へ流出するのを防ぐために油水分離桝を設置します。雨天時にも溜まった油が流出しないように、処理能力に余裕を持った設計の製品を選定する傾向にあります。