壁高欄

壁高欄とは

壁高欄とは、橋梁や高速道路などに設置される鉄筋コンクリート製の防護柵です。

一般的に道路で見かけるガードレールとは異なり、壁高欄は道路の床部分と一体化している点が特徴です。車両が車線の外へ逸脱するのを防ぐ強固な壁として機能します。単なる垂直な壁ではなく、足元部分に傾斜が設けられている構造が多く採用されます。走行中の車両が接触した際、この傾斜がタイヤをスムーズに持ち上げることで、車体を車線側へ押し戻す仕組みです。

車両の衝突エネルギーを壁全体で受け止める構造になっているため、乗員への衝撃を緩和しつつ車両が対向車線や高架下へ飛び出す重大事故を防ぎます。また、鋼鉄製の柵と比較して継ぎ目が少なく、連続した美しいラインを描きます。これにより、道路全体の景観をすっきりと見せる効果もあります。

壁高欄の使用用途

壁高欄は以下のような用途で使用します。

1. 橋梁・高架道路

壁高欄は高い強度が求められる場所で優先的に採用されます。特に高速道路の高架区間や河川を渡る橋の上では、万が一車両が柵を突き破ると大事故につながりかねません。鉄筋コンクリートによる堅牢な壁高欄が、重量車の衝突に対してもこれらの大事故を未然に防ぎます。

2. 市街地・住宅地

コンクリートという材質の特性を活かし、周辺地域への騒音を低減する目的でも使用します。金属製の支柱とビームで構成されたガードレールは隙間が多く、タイヤと路面の摩擦音やエンジン音が外部へ漏れやすい傾向にあります。一方で壁のような形状をした壁高欄は、音を遮断する遮音壁としての機能も兼ね備えています。

3. 塩害地域

海岸沿いの道路は塩害によって金属が腐食しやすい環境です。したがって、鋼鉄製の防護柵は経年劣化や塩分による錆の発生が避けられず、定期的な塗装の塗り直しや部材交換が必要です。しかし、コンクリート製の壁高欄は錆びる心配がなく、耐久性に優れているため、長期間にわたって性能を維持できます。建設時の初期費用はかかるものの、長期的な視点で見ると補修頻度を減らすことができ、ライフサイクルコストの削減に貢献します。