プロピルアルコール

プロピルアルコールとは

プロピルアルコールとは、分子式がC3H8Oである脂肪族アルコールの総称です。

n-プロピルアルコールとイソプロピルアルコールという2種の異性体が存在します。n-プロピルアルコールは末端炭素に水酸基をもつ1級アルコールで構造式はCH3CH2CH2OHとなり、1-プロパノールとも呼ばれます。一方、イソプロピルアルコールは3つのうち中央の炭素に水酸基がある2級アルコールで構造式はCH3CH(OH)CH3となり、2-プロパノール、ジメチルカルビノール、プロパン-2-オールとも呼ばれます。

プロピルアルコールの使用用途

n-プロピルアルコールは、工業用溶剤として幅広く利用されており、印刷用インク、繊維用途、化粧品・乳液、窓清掃剤、研磨剤、防腐剤などに用いられています。

イソプロピルアルコールは、容易に酸化されアセトンに変わるため、アセトンの合成原料として用いられています。また、その他にも、消毒液、溶剤、メガネやコンタクトレンズ、CD等の洗浄液、自動車の燃料タンクの水抜き剤としても利用されています。

プロピルアルコールの性質

1. n-プロピルアルコール

n-プロピルアルコールは、エタノールに似た香りをもつ無色の液体で、フーゼル油中に数%含まれています。融点が -126.5 ℃、沸点が 97.2 ℃ で、水、エタノール、ジエチルエーテルによく溶けます。引火点は 24℃であるため常温で引火します。

n-プロピルアルコールは、消防法では「危険物第4類アルコール類」に、労働安全衛生法では「名称等を表示・通知すべき危険物及び有害物」、「危険物・引火性の物」に、それぞれ指定されており、取り扱いには注意が必要です。

2. イソプロピルアルコール

イソプロピルアルコールは、引火性と揮発性を有した無色の液体で、融点が -89.5℃、沸点が 82.4 ℃ で、水、アルコール、エーテルなどによく溶けます。引火点 は11.7℃であるため常温で引火します。またイソプロピル基が酸化によりメチルケトンになる性質をもつため、ヨードホルム反応を示します。

イソプロピルアルコールは、消防法では「危険物第4類アルコール類」に、労働安全衛生法では「名称等を表示・通知すべき危険物及び有害物」、「第2種有機溶剤等」、「危険物・引火性の物」に、それぞれ指定されており、取り扱いには注意が必要です。 

プロピルアルコールのその他情報

プロピルアルコールの製造方法

1. n-プロピルアルコール
工業的には、フーゼル油から分留することで生成するか、プロピオンアルデヒドを水素化することによって合成されます。現在はエチレンのヒドロホルミル化によって得られるプロピオンアルデヒドを、ロジウム錯体等の触媒によって水素化する方法で作られています。

  C2H4+CO+H2⟶CH3CH2CHO
  CH3CH2CHO+H2⟶CH3CH2CH2OH

2. イソプロピルアルコール
工業的には、石油分解ガスから分離したプロピレンを原料として水分子を付加させる水和反応により作られます。酸化タングステンや酸化チタンなどの金属酸化物の存在下、水蒸気を25MPa、270℃の高温高圧で直接付加させる直接水和法と、硫酸化した後、加水分解を行う間接水和法の2つがあります。

間接水和法は古くからある方法で、世界的には間接水和法が主流ですが、日本国内は直接水和法で製造しているメーカーが多いです。また、近年はアセトン法と呼ばれる別のプロセスで製造する事例も増えてきています。

  • 直接水和法
    CH3CH=CH2+H2O ⟶ CH3CH(OH)CH3
  • 間接水和法
    CH3CH=CH2+H2SO4⟶CH3CH(OSO3H)CH3
    CH3CH(OSO3H)CH3+H2O⟶CH3CH(OH)CH3+H2SO4

参考文献
https://docs.google.com/document/d/1rzLq5LOxbqC9zkAOURYXKkGOqZ30eh8_cqICGQClw7A/edit
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0116-0483JGHEJP.pdf
https://www.nihs.go.jp/hse/ehc/sum2/ehc102/ehc102.html

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