ミラーとは
ミラーとは、光を反射させる光学デバイスの一種です。
ミラーは一般家庭にもある鏡のことですが、工業分野では幅広い種類のミラーが存在します。例えば反射する面が球面である球面ミラー、X軸とY軸で曲率が異なるトロイダルミラー、焦点から出た光をすべて平行にする (逆に平行な光を一点に集める) 放物面鏡、ある点から発せられた光を別の点に集光する楕円面鏡などが挙げられます。
反射面には高純度のアルミが用いられる場合が多く、銀や金の薄膜が利用され、とくに赤外光の反射では金薄膜を使用可能です。
ミラーの使用用途
ミラーは家庭にあるドレッサーや化粧台などの鏡として使用されています。その一方で工業的には計測機器として分光光度計や光検出器、FTIRなどの光学機器で使用可能です。
民生品の光学機器としてプロジェクターやカメラ、CDやDVD、顕微鏡でも使われています。
レンズを使った光学機器の場合にはミラーがないと焦点の関係で長細い形状になり、ミラーを使って光路を折り曲げると光学機器を小さくできます。
ミラーの原理
光路を構成する光学素子にはミラーの他にレンズもあります。レンズの場合には屈折率の差で光を集光したり平行光に変えますが、波長によって屈折率が異なるため、色収差と呼ばれる波長ごとに集光される位置が変化する問題があります。それに対してミラーはすべての波長で同じように反射でき、波長ごとに進路が変わる問題を回避可能です。
最近は求められる反射面の形状の自由度が高くなっています。ダイヤモンドターニングは自由曲面のミラーを製作する方法で、アルミをダイヤモンドターニングマシンで直接加工し、幅広い曲面のミラーを製作可能です。
ミラーの構造
ミラーの形状には、平面鏡、球面鏡、非球面鏡などがあります。
1. 平面鏡
一般的な形をした平面のミラーです。1方向の像だけを写し、立体の正面は見えますが、側面は見えません。そのためミラーを複数組み合わせる場合もあり、通常鏡台は三面鏡になっています。
2. 球面鏡
球を切り取った形状の面を有します。凸面鏡は鏡面が凸面にあるタイプで、凹面鏡は鏡面が凹面にあるタイプです。
3. 非球面鏡
球面以外の曲面を有するミラーです。具体例は反射望遠鏡に使用される放物面鏡などです。
ミラーの種類
1. クリアミラー
姿見や洗面所の鏡など、普段よく目にするミラーです。厚みは5mmが一般的で、曇り止めコーティングを施したタイプもあります。
2. 高透過ミラー
クリアミラーより青みが少なく、そのまま色味が見えます。美容室や高級ブティックでもよく用いられ、化粧品売り場などで淡い色を見る場合に効果的です。的確に色を把握でき、顔だけを確認する際に向いています。
3. 耐湿ミラー
エポキシミラーとも呼ばれ、サビやシケに強いです。水廻りのミラーとして使用されます。
4. グレーミラー
濃いグレーのガラスです。落ち着いた雰囲気で引き締まって見え、使い方次第では空間に開放感を与えます。白い壁やコンクリート打ち放しの壁で用いると映えます。
5. ブロンズミラー
ブロンズ色をしたガラスです。全体的に赤く見え、飲食店、美容室、高級ブティックなどで使用されます。
6. タペミラー
砂で鏡の表面に細かい傷を付けてフッ酸処理したミラーです。表面の映り込みがなく、照明と組み合わせると間接的な照明効果を演出できます。
7. 薄板ミラー
厚さが2mm〜3mmの薄いミラーです。
8. マジックミラー
部屋の明暗で見え方が変わり、明るい部屋からは鏡になり、暗い部屋からは透けて見えます。プライバシーを保護したり、相手を緊張させず観察したい場合に間仕切りや扉として用いられます。
ミラーの選び方
ミラーの選定では耐久性が重要です。紫外線を受けると表面が劣化して経年的に反射率の低下を引き起こします。耐久性を高めるためアルミ面の上にフッ化マグネシウムなどでコーティングされています。