テレビン油

テレビン油とは

テレビン油とは、マツ科植物から水蒸気蒸留して得られる精油のことです。

マツ科植物の生松脂に15%程含まれています。テレビン油は別名、テレピン油とも呼ばれます。テレビン油の組成は、マツの種類によって異なります。例えば、アメリカ産のテレビン油には、α‐ピネンが50~60%、β‐ピネンが25~35%含まれる他、若干のテルペン類が含まれています。

テレビン油は、無色または淡黄色をした、粘土の高い液体です。特異な香気をもち、味は辛いことが特徴として挙げられます。また、テレビン油は、水には不溶ですが、アルコールには少し溶けます。さらに、テレビン油には、空気に触れると固化する性質があり、揮発しやすく点火しやすいことも特徴の1つです。

一般的に松脂や杉脂から抽出されますが、木材や製紙工場の副産物として得られる場合もあります。

テレビン油の使用用途

テレビン油は、防腐剤や香料、溶剤、医薬品など、多くの分野で使用される天然の揮発性オイルです。また、ペイントやラッカーといった塗料の製造にも使用されています。

1. 防腐剤

テレビン油は、木材や木製品に塗布され、防虫や腐朽予防の効果があります。また、船舶や鉄道車両の木材部分にも使用されます。

2. 香料

テレビン油は、強い香りがあるため、香料として使用されます。特に、パインの香りを付けるのに適しています。

3. 溶剤

テレビン油は、溶剤として使用されます。油絵の油として使われるほか、油性ペイントやラッカー、接着剤、接合剤、シーラント、塗料の調整剤などの製造原料になります。

4. 医薬品

テレビン油は、かつては傷や炎症を治療するために使用されていました。現在では、皮膚刺激薬や消毒薬として使用されています。

テレビン油の性質

テレビン油は、常温常圧で揮発性が高く、容易に気化します。空気中で徐々に酸化されて粘性が高くなり、やがて樹脂状に固まることが知られているため、長期間の保存には注意が必要です。 

沸点は約155℃、比重は約0.87です。テレビン油は溶剤として多くの物質を溶かしますが、水に不溶、アルコールやエーテルには溶性します。引火性が高く燃焼しやすいため、火気には注意が必要です。

テレビン油は、パインのような強い香りがあります。この香りは、主にα-ピネンやβ-ピネン、リモネンなどの化合物に由来しています。

テレビン油の構造

テレビン油は、ピネンやカンフェン、フェランドレンといったモノテルペン炭化水素からなる複雑な混合物です。その組成は、蒸留に用いる樹木の生育環境によって異なります。モノテルペンは、化学的には2つのイソプレン単位からなる炭化水素であり、化学式C10H16で表される構造です。

テレビン油の主成分であるピネンは、六員環と四員環からなる炭化水素で、二重結合の位置が異なる「α-ピネン」と「β-ピネン」の2つの構造異性体、およびそれぞれ2つの鏡像異性体が存在します。

アメリカ産のテレビン油には、α‐ピネンが50~60%、β‐ピネンが25~35%含まれています。

テレビン油のその他情報

テレビン油の製造方法

テレビン油は、主にマツ科樹木の蒸留によって得られます。
一般的なテレビン油の生産プロセスは以下の通りです。

  1. 樹木から樹脂を採取する。
  2. 樹脂を加熱し、テレビン油を蒸留する。

単位原料あたりで製造可能なテレビン油の量は、採取された樹脂の種類や原料となる樹木の種類によって異なります。一部のテレビン油は、木材の加工過程で得られる木屑やチップから製造されることもあります。

また、テレビン油を蒸留した後の蒸留残留物からは、松脂油を製造することが可能です。現代的なテレビン油の生産方法として、製紙工場や木材加工工場などで発生する廃棄物を用いて、加熱・蒸留する方法もあります。

一方、テレビン油の化学合成法は存在しません。テレビン油は化学的に複雑な混合物なので、化学合成は困難かつ実用的ではありません。そのため、テレビン油は自然界から採取されることが一般的です。

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