トコフェロール

トコフェロールとは

トコフェロールとは、一般的にビタミンEとして知られている物質です。

ビタミンEの成分の一種であり、ビタミンEはトコフェロール以外にトコトリエノールも含んでいます。トコフェロールは、植物などから抽出して得ることができる他、化学合成によって得ることも可能です。

トコフェロールは4種類あります。具体的には、α(アルファ)-トコフェロール、β(ベータ)-トコフェロール、γ(ガンマ)-トコフェロール、δ(デルタ)-トコフェロールです。なかでも、α-トコフェロールが自然界に広く存在し、生体内におけるフリーラジカルを消去する等の重要な作用を発揮します。

後に詳しく解説しますが、トコフェロールにはD体およびL体という鏡像異性体が存在します。天然型のトコフェロールはD体である一方、合成されたトコフェロールにはD体およびL体の両方が含まれています。

トコフェロールの使用用途

トコフェロールの主な使用用途は、サプリメントの主成分、動物用飼料の添加剤などです。その他、酸化防止のための微量添加物として使用される場合もあります。例として、食品または化粧品の酸化防止剤などが挙げられます。

トコフェロールは、酸化防止効果を利用して、アンチエイジングを目的とした製品に使用される場合があります。1日あたりの推奨摂取量は、年齢や性別によって異なりますが6.0mg~6.5mg/日です。油溶性で体内に蓄積しやすく、過剰に摂取すると健康被害をおよぼす可能性があるため注意が必要です。

トコフェロールの特徴

トコフェロールは、水に溶解しない油溶性です。そのため、ビタミンEは脂溶性ビタミンといわれています。

強い抗酸化効果を有し、トコフェロールは自らが酸化されることで酸化防止効果を発揮します。酸化されたトコフェロール (詳しくはラジカル) は、ビタミンCなどの抗酸化物質によって、元の状態に戻ります。

トコフェロールは、細胞膜のなかに存在し、生体膜を構成する不飽和脂肪酸の酸化を防いで血管を正常な状態に保ちます。また、血中のLDLコレステロールの酸化を抑える作用、生殖を正常に保つ作用、赤血球の溶血を防止する作用、生殖を正常に保つ作用などを有します。したがって、トコフェロールを摂取すると老化防止などの点で有効です。

トコフェロールの構造

トコフェロールの構造 (分子構造) は1つではありません。 トコフェロールには、上述したようにαからδの各トコフェロールが存在するほか、D体およびL体という鏡像異性体も存在します。例えば、α-トコフェロールには、D体およびL体という鏡像異性体が存在します。そのため、トコフェロールの構造 (分子構造) を1つの分子構造式で表すことは困難ですが、いずれのトコフェロールも基本的な分子構造は同じです。

αからδの各トコフェロールは、分子中のベンゼン環構造に結合しているメチル基 (-CH3) の位置および数が互いに異なっています。生体に対する効果の点ではα-トコフェロールが最も高いといわれていますが、抗酸化作用の持続性の点ではδ-トコフェロールが最も高いといわれています。

鏡像異性体であるD体およびL体のトコフェロールのうち、生物に対して作用を発揮できるのは主にD体です。鏡像異性体とは、分子構造式で表すと同じであるものの、立体構造を互いに重ね合わせることができない化合物同士を指します。例えるとしたら、右手と左手のような関係性にあるといえます。

トコフェロールのその他情報

トコフェロールの応用

トコフェロールは、そのままの状態では酸化されやすい性質を有するため、酸化されにくい誘導体のかたちで使用される場合があります。例えば、トコフェロールと酢酸を結合させた酢酸トコフェロールという物質が代表的です。酢酸トコフェロールは酸化されにくく、体内に入ってからトコフェロールとなって上述したような作用を発揮できます。

参考文献
https://www.fsc.go.jp/
https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/T2309

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