キシリトールとは
キシリトールとは、果実や野菜に含まれている天然甘味料の1種です。
英名をXylitol、別名をキシリットといいます。CAS番号は87-99-0、分子量152.15です。砂糖と同等の甘味と持ちながら、砂糖よりカロリーが低く冷涼な食味を持っています。
キシリトールの使用用途
キシリトールは後味がさっぱりとした甘味料として、医薬品分野では、錠剤や顆粒、シロップ、静注、内用液剤に使用されています。また、ガムなどの菓子類や、歯磨き、マウスウォッシュなどにも使用されています。
1. 虫歯予防
虫歯の原因とされるミュータンス菌は、口の中の糖分を分解して酸を作り出して虫歯の元を作ります。キシリトールはミュータンス菌に分解されず、酸がつくられないため虫歯の元を作りません。
また、カルシウムと結合して歯の修復 (再石灰化) も促します。そのため、キシリトールは虫歯ができないようサポート的役割をしていると言われます。ただし、歯磨きが必要ないわけではありません。
2. 糖尿病予防
キシリトールは、ほかの糖アルコールと同様に口に入れると甘いため唾液が出ます。吸収速度が遅く血糖値が急に上がらないことに加え、代謝にインスリンを必要としないため、糖尿病の人も比較的摂取しやすい糖類と言えます。
キシリトールの原理
キシリトールは糖アルコールに分類される物質ですが、虫歯を予防すると、北欧諸国で多用されてきました。世界保健機関(WHO)や 国連食糧農業機関(FAO)も認めています。
日本でも、チューイングガムやタブレットなどに使用されていますが、あくまでも食品であるため、特定保健用食品を除いて効果効能について表記することは不可能です。
キシリトールの構造
キシリトールは糖アルコールの一種です。
糖アルコールは、糖質が持つカルボニル基に水素を添加した糖質のことで、植物や動物の生体内に存在したり微生物によって作られたりして自然界に広く分布しています。構造的には還元等の持つカルボニル基 (-CHO) が還元され、ヒドロキシル基 (-CH2OH) になったものです。キシリトールのもとになる糖は、キシロースになります。
糖アルコールは、キシリトールやソルビトール、マンニトールと共通して以下のような特徴があります。
- 熱、酸、アルカリに強く安定
- 微生物が栄養としにくいので腐食しにくい
- 消化吸収されにくいので、太りにくい
キシリトールのその他情報
1. 法的分類
キシリトールは、日本薬局方、医薬部外品原料規格、食品添加物公定書に収載されています。食品添加物としては、食品衛生法第12条に基づき、厚生労働大臣が定めた指定添加物となっています。
また特定保健用食品を除くキシリトール入りガムについては、薬事監視における「健康食品」の監視において、薬事法第68条に抵触するため、身体の組織機能の増強および促進を目的とした表現は、医薬品的な効能効果に該当するため広告できません。
2. 製造方法
工業的にキシリトールは、白樺やトウモロコシの茎などを加水分解して得たキシロースを原料にしています。これを、ニッケルを触媒として高温・高圧で水素化します。
近年では、金属の使用抑止や収率の向上を目指して、微生物を使った方法も開発されています。
3. 人体への影響
キシリトールなどの糖アルコール類は、難消化性糖質と呼ばれることがあります。消化が難しいため一度に多量に摂取すると腹痛や下痢を引き起こす場合があります。これは乳糖不耐症の人が、牛乳を飲んでお腹が緩くなる現象と同じ原理で一過性のものです。小腸で消化吸収できなかった糖アルコール類が大腸にまで移行すると、大腸内の浸透圧が上昇するためと考えられます。