風速センサーとは
風速センサー (風速計) とは、空気などの気体の流れる速さを測定するセンサです。
センサの方式や種類も多く、使用する場所、目的によって適切なセンサを選定する必要があります。配管内部の気体の流れる速さを測定する際にも使用できますが、配管のように流れる向きが一定の閉じた空間の風速を測定する流量計が用いられ、そこから計算で換算される場合が多いです。
配管を使用した流体の測定は流速よりも流量が重視されることが多いことが、理由として挙げられます。また圧力を測定することで、風速を算出する場合も多くあります。
風速センサーの使用用途
風速センサーは工業用、スポーツ競技、気象観測など様々な用途で使用されています。具体的な使用用途は、以下のとおりです。
1. 屋内
- 空調設備のメンテナンスや検査
- 分煙効果の確認
- 換気扇の風速測定
- 空調設備の排気測定
- 室内の対流測定
- クリーンルームの空気環境調査
- 製造現場での室内環境調査
2. 屋外
- 屋外や高所などの安全管理・風速管理
- クレーンや屋外現場に固定し測定
- 気象観測
- ドローン飛行条件の確認
風速センサーの原理
図1. 風速センサーの原理
風速センサーはいくつかの種類があり、それぞれのセンサーで風速を測定する原理が異なります。
1. 風杯風速センサ
カップのような形状をした風杯が風の強さによって、表側と裏側でうける風圧による力が異なることを利用して回転します。この回転数を測定することで、風速を測定するタイプです。共に回転するという動作を伴うため、風速の変化に対しての応答が遅く、また微風速度域の測定には不向きです。
2. 超音波風速センサ
屋外用途として用いられます。超複数の方向に設置された超音波送受信器であるトランスデューサーが風が吹くことで、ドップラー効果により送受信のタイミングが変化することを利用し、風速と風向きを同時に測定が可能となっています。可動部がないため耐久性にも優れています。
3. 風向風速計
風杯風速センサと同様に、プロペラの回転数から風速を測定すると同時に垂直尾翼が風見鶏になっており、風向きにあわせて自動的に風向きにあわせて全体が回転します。この垂直尾翼の向きから風向も測定できるタイプです。
図2. 風速センサーの種類
4. 熱線式風速計
室内用途で多いタイプです。センサー先端に熱によって抵抗値が変化する抵抗体が設置されており、風を受けるとセンサが冷却されて熱線の温度が下がります。流れが速いほど冷却は早いため、この流速と冷却熱量の関係を利用することで抵抗値風速を測定します。
この関係式は、KINGの関係式と呼ばれています。屋外であると太陽の熱などで温度が変化してしまうため正確な測定ができません。構造が簡単なため、コンパクトな測定器です。また、風温や湿度などほかの特性も同時に測定することができます。
5. ピトー管式風速センサ
産業用途でよく使用されています。ピトー管式風速センサは、風の流れに対して正面と側面に小さな穴を設け、その圧力差を測定してベルヌーイの定理から風速を測定するタイプです。空気の流れに対して垂直に向けていないと正確な流速は得られませんが、原理が単純なため安価なものが多くあります。
6. ベーン式風速センサ
ベーンホイール風速センサは、流体により回転するベーン (羽根車) の回転数を計測して速度を演算します。回転数は速度に対して比例するという原理に基づきます。回転数は流体の密度、圧力および温度からの影響はほとんど受けません。
ベーンの回転数は、近接スイッチやフォトカプラによりカウントされます。熱線式に比べて、熱の影響を受けないため屋外でも使用可能ですが微風領域の精度が低くなり、応答速度も遅いため風速が小刻みに変化する場合には適しません。
風速センサーの選び方
図3. 風速センサーの選定
風速センサーを選ぶ際は、まず屋外で使用するか、屋内で使用するか決めます。用途によって選ぶべき風速計が大きく異なるためです。
また、風速センサーを固定して使うか、持ち運びしながら使うかによっても適切な風速計は変わります。この2つの観点を軸に選定した場合は、図3のようになります。例外ももちろんあるので、あくまでも参考程度にしてください。
用途によって風速計の種類が決まったら、最後に風速センサのスペックを決めていきます。例えば、熱線風速計ではプローブによって測定風速範囲や使用温度、測定精度、応答速度などが異なります。
参考文献
http://www.kanomax.co.jp/technical/detail_0038.html
https://www.transtech.co.jp/product/tsi_anemometer_appnote_1