グルタミン酸

グルタミン酸とは

グルタミン酸とは、体内で合成可能な非必須アミノ酸の1種です。

シナプス間の神経伝達物質としての役割を担います。脳内でグルタミン酸が、その受容体に結合することで受容体を活性化させ、学習の情報を伝達します。また、グルタミン酸は、旨味成分としても有用です。

グルタミン酸の製造方法には、加水分解法や抽出法、化学合成法などいくつか存在します。現在は、サトウキビの糖蜜を発酵菌により発酵させてグルタミン酸を得るアミノ酸発酵法が主流です。

グルタミン酸の使用用途

グルタミン酸の主な使用用途として、調味料とサプリメントが挙げられます。

1. 調味料

グルタミン酸は、旨味成分の1種であるため、グルタミン酸塩であるグルタミン酸ナトリウムがうまみ調味料として製品化され販売されています。

化学調味料の場合は、ナトリウムと結合したグルタミン酸なトリムという水に溶解しやすい状態で、販売されています。グルタミン酸は、昆布などの海藻や白菜、緑茶、トマトなどの植物性食品に豊富に含まれています。

2. サプリメント

グルタミン酸は、脳の神経伝達物質の1つとしての機能に加えて、アンモニアの解毒作用や、筋肉や免疫力を強化するタンパク質の構成成分になるなど、生体にとって重要な機能を担います。

そのため、グルタミン酸不足は、脳の機能低下や排尿阻害につながる可能性があります。グルタミン酸不足を補うことを目的に、サプリメントとして製品化されています。

また、グルタミン酸には、脳の興奮を鎮めるGABAを生成する働きもあります。GABAはアミノ酸の1種で、ストレスを軽減させ、リラックス効果があるため、近年サプリメントや食品に配合されている成分です。

グルタミン酸の性質

グルタミン酸は、非必須アミノ酸の1つで、アラニン、アスパラギン酸、セリンをつくる際ために必要なアミノ酸です。Glu、Eの略号で表わされ、自然界ではL-グルタミン酸として存在しています。CAS登録番号は56-86-0です。

1. 物理的性質

グルタミン酸は、分子式C5H9NO4、分子量147.13の白色無臭の結晶性粉末です。沸点は249℃で、融点、引火点、分解温度はありません。可燃性もないことから、比較的安全に取り扱うことが可能です。

2. 化学的性質

水に溶けにくく、エタノールおよびジエチルエーテルにはほどんど溶けません。混触危険物質は強酸化剤であるため、保管、使用の際は、強酸化剤との接触を避ける必要があります。

熱分解時に、刺激性のある有毒なガスと蒸気を放出する可能性が高いです。局所排気装置の設置された場所で作業を行い、高温での使用は避けます。

グルタミン酸のその他情報

1. グルタミン酸の歴史

グルタミン酸は1866年、ドイツの化学者リットハウゼン氏によって、小麦のタンパク質であるグルテンの加水分解物として発見されました。その後、1908年、東京帝国大学 (現東京大学) 教授であった池田菊苗氏は、グルタミン酸が旨味を持つことを発見しました。そして、グルタミン酸は「甘味、塩味、酸味、苦味」の4つの基本味に加え、5番目の基本味として「旨味」が存在することを発表しました。

また、ナトリウムと結びついた形にすることで、水に溶けやすく、旨味がより増すことも明らかになりました。味の素の創設者である鈴木三郎助氏が、グルタミン酸ナトリウムの商品化に取り組み、1909年に世界初の化学調味料が発売されました。

2. グルタミン酸の安全性

天然のグルタミン酸は、過剰に摂取すると、睡眠障害神経症、幻覚などが生じる危険性があります。また、化学調味料であるグルタミン酸ナトリウムを過剰に摂取すると、頭痛や火照り、手足のしびれが起きるといわれています。

一方で、適切な摂取は人体にとって、脳の働きの活性化、アンモニアの解毒、利尿効果に加え、脂肪の蓄積を抑える効果や、美肌効果、血圧を下げる効果などの研究結果が報告されています。

水や塩などと同様に、過剰摂取すると人体に必要な物質であっても毒となるため、使用時は、用法容量を守る必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です