圧着工具とは
圧着工具は、電線と圧着端子を接合するために用いられる工具です。
圧着工具は大別して、手動片手式工具、手動両手式工具、手動油圧式工具、電動油圧式工具に分類され、圧着端子には裸圧着端子や絶縁被覆付圧着端子など、いくつかの種類があります。
電気機器によって使用されている端子の種類と端子寸法が異なり、圧着工具はこれらの端子に対応できるものが必要になります。
使用範囲(端子呼び寸法)は、一般的に手動片手式工具が14mm²以下、手動両手式工具が100mm²以下、手動油圧式工具で150mm²以下となります。
圧着された端子の信頼性を保証するため、圧着後の性能はJISによって規定される値を満足する必要があります。
圧着工具の使用用途
圧着工具は、主に電気機器用配線、屋内配線、電装品用配線において、電線に端子を接合するのに使用されています。
圧着工具には複数の寸法のダイスが備わっており、圧着は端子の呼び寸法に合ったダイス位置で行います。圧着後の端子には寸法が刻印されます。
圧着する電線の断面積は、使用する端子の抱合が可能な範囲とします。抱合が範囲から脱落している場合には「電線抜け」、範囲から逸脱している場合には「電線切れ」などの事故の原因となります。接合部分を安定して加締めるためには、電線の心線部が端子から約1mm出た状態で圧着を行うことを推奨しています。
手動片手式工具などでは、成形確認機能(ラチェット機能)により圧着が完了するまでハンドルが開かない構造になって、成形が完全に行われたことを常に確認できるものもあります。
圧着工具の選び方
圧着工具を選ぶ際のポイントは、以下の通りになります。
- 適正工具の選定方法
例えば 、絶縁付端子を裸端子用工具で圧着すると、 絶縁体が裂け、端子の金属部が露出して、ショートの原因となる場合があります。電線寸法および圧着端子寸法によっても対応する工具を選ぶ必要があります。さらに、自動車の電装関係に用いる電装用と電気機器に用いる電工用では圧着工具が異なる場合もあるため、用途に合わせて選ぶことも大切です。
電工用など現場で使用するものは、操作が楽にできることが重要です。軽い力で圧着することが可能で、ハンドルが最大に開いても片手操作ができることが大切です。また、成形確認機能(ラチェット機能)を備えてダイス間が適正な圧着接続の範囲になければ、接続端子を工具から離脱できないこともポイントのひとつになります。
工具の信頼についても選定する上で重要となります。
圧着後の端子にサイズが刻印され、工程のトレースが可能なことや圧着成形試験により圧着成形高さが製造管理されていることが信頼性を評価する上で大切なポイントです。そのほかにも、接続性能が接続性能試験で定められた値を満足していることも工具の選定を行う上で大切になります。